カオスドラマX

Gray Traveller / 706

706
わったん 2026/07/26 (日) 23:14:46 修正 >> 703

「お前さんが記憶を無くしてなけりゃ、今までどこで何してたとか」
「これからどうするつもりなのか、色々語りたいところだったんだ」
「まだ他にも、話せることはある」
「つーか、本当は聞きたい事があった」
「そんでもってそれも全部見てきた」
「都市の技術、折れた特異点を買いあげて、お前さんの記録を見た」
「あそこでN社に居たらタブーハンターに捕まってただろうな」
「『里帰り』」
「あれほどお前さんが成し遂げたかった事と、同じ名前のねじれと対峙してから」
「俺達の意志が紡がれなくなっちまったところまで」

「……意志……」
「……」
「ガンパウダー工房ってところの人か」

「そこんところのフィクサーって言いふらしてくれていただけの甲斐はあったみたいだな」
「まぁ、覚えているって訳じゃねェんだろ」
「ガンパウダー工房所長のヴォールカだ」
「つっても、もう廃業した工房だけどな」
「今は親指の特殊弾丸生成工房になっちまってる」
「中央本部で造ってりゃいいものを、わざわざウチのところ奪うなんざ、まさしく指って感じだよな」
「あのダンクとかいう野郎ぶん殴っといてくれよ。まだ居んだろアイツ」

「俺に何の用だ」
「もう何も覚えていない」
「軌跡を描く事さえ、俺は出来ない」

「初めて会った時は焦燥感に駆られた感じだったってのに」
「随分と怠惰な雰囲気纏うようになったじゃねェの」

「俺はもう、アンタの知るユンフじゃねぇんだよ」

「今のお前さんのように、暗すぎる顔も、陰鬱な雰囲気も」
「確かにしなかったな」

「……」

「んで、それがどうしたってんだい」
「お前さんに声を掛けちゃいけない理由にでもなんのか」

「アンタの知る理想のユンフを、俺は都市で担う事は出来ねぇ」
「アンタが作った意志を、俺は踏み躙ったんだ」

「都市の復讐に加担するなって話か」
「サミーの意志。それを形にしたのが、お前さんが握ってるガンブレードだ」
「クソッタレみたいな武器だよな。都市を生きるにはあまりにも釣り合っちゃいねぇ低ランク装備」
「……まぁ、それが崩れちまった事を気にしてねェってのは嘘にはなるか」
「だが、其処に染みついた血には、誰かを護る為の意志があったはずだ」
「俺はそれを、都市の流れとしてではなく、お前さん個人の意志として尊重する」

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