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「……」
「ユンフ」
「……俺は――」
「ユンフだ、お前さんは」
「……」
「……はぁ……いいか、ユンフ」
「お前さんが生きている今、これは都市の物語」
「元来、お前さんが生きていた世界とは土台が違う」
「お前さんの生き方の土台は、まるで違うんだ」
「海で育つか、陸で育つか」
「そういうレベルの、異なった環境だ」
「あくまでわかりやすく伝えようとしているだけだぞ。真に受けんなよ」
「自分で話の腰折るなよ」
「感情の揺れ幅も、その分異なる」
「都市の感情表現しか俺は知らねェけど、お前さんが元々生きていた世界とは絶対的に違う」
「他者からの言葉をどれだけ親身に受け止めるか、自我をどれほど出せるか」
「お前さんはその両方が、あまりにも不安定になっている」
「そしてその不安定さは、『自分がユンフじゃないから』『自分自身を確立させたいから』ってところに繋がってんだろ」
「……だから俺は、ねじれたアイツを救えなかった……」
「その感情自体は、無意識に存在している」
「ユンフ、一つの物語に対する感傷の言葉は、個人それぞれが持つ過去から算出された思い出の結晶だ」
「都市の人間として振舞うはずのお前さんが、何故そのねじれ一つに其処まで感情を零す」
「……わからねぇ」
「なるほど」
「ならお前さんは都市の問題に直面する、嘗てのユンフそのものだ」
「……」
「諭しに来たわけじゃねェ」
「お前さんは都市の流れに逆らおうとしながら、向き合おうとしている」
「その向き合う最中で、お前さんに立ちはだかる感情の受け取り方があまりにも愚直すぎて」
「感情の整理に追いついていないだけ」
「その整理は、向き合わないための整理なのか」
「お前さんが今書いた線」
「それはなんだ?」
「直感的に書いたんだろ」
「自分自身の旅路、軌跡だ」
「お前さんはこの線を見て、どう感じる」
「過去が無い」
「そうだ。軌跡と言うには、あまりにも寂しいもんだな」
「お前さんは『生きた走馬灯』と一緒に、この軌跡の並列を望んだんだろう」
「だが、そうするには都市という世界はあまりにも残酷で、身が持たない」
「あの人は、お前さんが瓦解する事を知った上で」
「『過去』になる事を選んだ」