そして、その日の夜――――
蒼真「(家の外で、夜風に吹かれながら刀を手に1人立っており)………子供たちは、もう眠ったかい?(自身の背後に向けて言葉をかけ)」
レフィア「(蒼真の背後から現れ)………えぇ、もう大丈夫………ぐっすり、眠ってる。」
蒼真「よし……… それじゃぁ、行こうか。(レフィアの言葉を聞き、安堵した様子で歩き出す)」
幸助「どこへ行くって?(突然、蒼真とレフィアの前に現れ)こんな時間に、2人でデート・・・ってわけでもないよな?」
蒼真「!! ……こ、幸助!? どうして、ここに………?」
レフィア「え………(目を見開き、かなり驚いた様子で)………嘘……… 私、ちゃんと確認したのに………。」
幸助「あまり俺を見くびるなよ?父さんと母さんの目を欺くくらい、今の俺なら余裕だ・・・ 前々から何か怪しいと思ってたんだが、2人共あの博士と一緒になって何か隠してるだろ?おそらく、幸一郎と明に関することをな・・・そうだろ・・・!(2人を睨み付け)」
蒼真「………!(余裕って、マジかよ…… いや、実際声を掛けられるまで俺達はこいつに気が付かなかった…… この歳で、もうそこまで忍びの技術を…… 何て成長スピードだ……… これは、参ったな………)……ははっ、まさかここまでやるとはな…… 凄い奴だよ幸助、凄すぎて父ちゃんドン引きだわ……… そうか、分かっちまったか。やっぱお前にゃ隠し事は出来ねぇかぁ……。(観念したような様子で)」
幸助「やっぱり、そうか・・・俺は、言ったはずだぜ?困っている時は何でも言ってくれ、必ず力になるからって・・・2人の気持ちはわかるさ、俺を巻き込みたくないんだろ?けど俺だっていつまでも守られるだけの子供じゃないと、今ので分かっただろ・・・ 教えてくれ、幸一郎と明に何があった?俺に出来ることがあるなら何でもするから、頼む・・・ 俺も兄貴として、あいつらを助けたい・・・!!(頭を下げて)」
レフィア「………とうとう、この日が来たのね………。(幸助に歩み寄り)……2人の事、いつかは貴方にも話そうと思ってた……… でもそれは、もっと先……… 貴方が、立派に成長して…… どんな辛いことも受け止められるくらい、強くなってから……… そう思ってたんだけど……… こんなに早く、その日が来るなんて………。」
蒼真「あぁ、全くだな…… けど、こうなっちゃ仕方ない………(背を屈め、幸助と目線を合わせるような体勢で)顔を上げろ、幸助。お前の思いは、よく分かった……… だが、この話をするには条件がある…… 幸一郎と明の件は、今俺達がやっている任務と深く関わる"極秘事項"なんだ。例え身内であろうと、任務に携わる者以外に口外することは出来ない…… だから、お前が2人の事を知り、助けたいというのであれば――――――(懐から封筒を1つ取り出して)――――――お前も、この任務に参加する必要がある。」
幸助「・・・!(顔を上げて)俺が、任務に・・・ ?(封筒を見て)・・・それは・・・?」
蒼真「……今まで隠していたが、幸助…… お前の実力と素質は、とっくに政府のお偉いさん方に認められてたんだよ。これは、お前が俺達と一緒に任務に携わる資格を得たことを記した"認定証"だ…… お前に参加の意思があるなら、すぐにでも加わることが出来る…… だが、この任務は難易度も危険度もトップクラスだ、それなりの覚悟をして挑む必要がある…… そんな任務にいきなり参加させて良いものか、ずっと迷っていた……。」
幸助「・・・!! マジかよ・・・そんな大事な事、どうして黙ってたんだよ!?言ってくれたら俺は迷わず承諾したのに・・・! 2人と一緒に仕事をするのは、俺の夢だった・・・ その為にずっと鍛錬してきた・・・ 政府も認めてるんだったら、そんなに迷う必要なんて・・・!」
レフィア「………えぇ、知ってる。だから、言えなかったの……… 貴方の強さと素質は私達が一番よく知ってるし、上層部の人達も認めてくれてるけど……… それでも、怖かった。 ……誰よりも家族思いな貴方は、迷わず付いて来る………そして、どんな敵が相手でも臆さず向かっていく………… それでもし、貴方の身に何かあったら……… もし、あなたを失うような事があったら……… 私は………。(微かに震える声で)」
蒼真「(レフィアの様子を見た後、幸助の方に目を向け)………お前には言ってなかったけど、お前が事故で死にかけていた時、一番取り乱していたのは母さんなんだ。いつも冷静で、滅多な事じゃ顔色1つ変えない母さんが、あんなに泣いた姿は、俺も今まで見たことが無かった……… 最初は、幸助を拾うことに反対すらしてたのに…… それだけお前は、母さんの中で大切な存在になっているんだよ。」
幸助「嘘だろ、あの母さんが・・・? そこまで、俺の事を・・・ 本当に、あの時は心配をかけてしまって・・・ 悪かったと、思ってる・・・ けど・・・!」
蒼真「……お前の事を信用してないわけじゃないし、息子と一緒に任務を共に出来るのは、俺も母さんも嬉しく思う…… お前がどうしてもやるというなら、その思いを尊重するつもりだ。だが、その代わりこれだけは絶対に約束しろ……… 何があっても、父さんと母さんより先に死ぬな。どんな真実が待ち受けていたとしても、幸一郎と明の"兄ちゃん"でいろ……… 出来るか?幸助。(真剣な眼差しを幸助に向け、封筒を差し出し)」
幸助「・・・(数秒程沈黙した後)・・・誰に言ってるんだよ、父さん?俺はあんた達の――――― 最強の忍者の息子だぜ!(蒼真の手から封筒を取って)兄ちゃんでいろだって?言われなくても最初からそのつもりだ・・・ ちゃちゃっと任務をクリアして、2人に思いきり自慢してやるよ。俺がすげー兄ちゃんだって事、しっかり分からせてやる・・・ 誓うよ、絶対に父さんと母さんが悲しむような事はしない、だから安心してくれ、改めて俺をチームに入れてくれ・・・!(強い決意を秘めた瞳を2人に向け)」
レフィア「…………! ………分かった……… 母さんの、負けだよ………(幸助を抱きしめて)………本当に……… 立派に、なったね………。」
蒼真「……良い目だ……… お前の覚悟、しかと受け取った!!(幸助の肩を叩き)それじゃぁ一緒に、博士の研究室(ラボ)に急ごう…… そこで、すべてを教えてもらえるはずだ。(幸助に手を差し伸べ)――――――一緒に、2人を助けるぞ!」
幸助「! か、母さん、やめてくれよ・・・(赤面しながら)・・・! 勿論だ・・・弟と妹を守るのは、兄貴の役目だからな!(そう言って、蒼真の手を取る)」
蒼真「よし……… そんじゃ、行きますか!(手を離して立ち上がると、刀を鞘から抜いて)正式に俺達のバディになった記念に、見せてやろう―――――― 俺の、とっておきの『術』を。 チャキッッ―――――(刀を構えて)――――――でやあぁっ!!!」
ヴ オ ン ッ ッ ッ――――(蒼真が刀で空を切った場所に、空間の"裂け目"が出現する)
幸助「!? ・・・こ、これは一体・・・?」
レフィア「ふふ…… すごいでしょ。(幸助を離して)これが、桐岡家に代々伝わる技の1つ……… 空間を切り裂いて、どんな場所にも瞬時に移動できる……… 数々の任務や戦闘で、とても重宝された…… お父さんだけが持つ得意技だよ………。」
蒼真「いやぁ、それほどでもぉ~。σ(*´∀` )とまぁ、おふざけはこれくらいにして――――――― 行くぜ、2人共。(空間の前に立ち、手招きして)」
幸助「マジかよ・・・ すごすぎだろ・・・!(目を輝かせながら)・・・! あぁ、分かった!(空間の裂け目に向けて駆け出していき)」
レフィア「………(立ち上がり、家の方に目を向けて)…………行ってくるね……… 幸一郎、明…………。(そう言って、蒼真たちの方へと歩いていく)」
ヴヴヴ……… パ シ ュ ゥ ン ッ ッ ッ―――――――(3人を迎え入れた後、"裂け目"は閉じて綺麗さっぱり消滅する)