かとかの記憶

生き神様考 / 10

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katka_yg 2025/08/29 (金) 14:41:09 修正 >> 9

滅びゆく民族態度の、文芸での成果ではやはり昨年、フィオナ・マクラウドを再読した感想がある。

ケルト民話集 katkaさんの感想 - 読書メーター
ケルト民話集。妖精文庫版です。松村みね子から続きで、荒俣宏さんの文章をことに強調しているわけではないですが……この悲愴とか寂寥ではない感傷に浸るのは、良いことですが、言い尽くせない必死さで、夢病的とか、あえていえば一本調子でゆとりがない。「翻ってさりげなく目的地に着地する」ような軽妙さとは無縁な、悲しいとなったら目の前の救いを...
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幻想文学の古典としては非常な名作。文学古典としては文句なく名作だが、現代に読むファンタジー読者としても、ここに燃えている情熱は美しいが、哀感も通りこして病的になっていないかという気分は必ずある。

それも、「それではだめだ」じゃなく、……それくらいにのめり込みたい時にはこうなってもいい。こうなるんだ……という肯定的な意味での前回の理解だった。わたしはマクラウド(シャープ)のような態度についてもわたしなりの共感がある。その病的な感情もなくて、ただただ美しいなあ・鮮やかなイメージだなあ、で受ける読者層にはそんな気持ちはわからなくていい。

  • 上の文中の「ゆとりのなさ」についてはダンセイニ卿を比較の念頭にしている。滅亡する人間の運命を描いたとしても、ダンセイニ卿のゆとりある文章にそんな切羽詰まった調子では迫られない。後期になるほど洗練されていく。
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    そのテーマを関心にしてその後、追っていたわけではない。ただ、ちょうど同時に読み合わせて……、アフリカを舞台に「消えゆく民族」イデオロギーの只中に生きたあと、その一時代の過ぎたあとに北欧で独自の文芸の方法を模索した作家にカレン・ブリクセンを通し読んだ。

    運命綺譚 katkaさんの感想 - 読書メーター
    運命綺譚。『冬物語』(1942)では、読んでみてよくできた話、でもちょっと出来過ぎたようなお話が揃っていた。締めくくりで冒頭の台詞に戻ってヒネるとか、「この物語の出来事はやがて人々に忘れられ、今では誰も憶えていない」――だとか。結末に既にリアルでなくなり、ファンシー世界に片足踏むという……。本作品集(1958)では、訳者あ...
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    ブリクセン夫人の後の小説には、エッセイは除き、アフリカ体験を直接語るものはほぼない。その心の経緯は作中には反映されているらしく、後の研究の関心ではマジック・リアリズムの運動と比較される。また、60-70年代以降のフェミニズム作家のリスペクトを受けているようだ。