邦訳年表
| 年 原題/訳題 | 邦訳年, 訳者 |
|---|---|
| 1971 The Dragon Hoard / ドラゴン探索号の冒険 | 1990, 井辻朱美 |
| 1975 The Birthgrave | |
| 1975 Companions on the Road / アヴィリスの妖杯 | 1982, 森下弓子 |
| 1976 The Winter Players / 冬物語 | 1982, 室住信子 |
| 1976 The Storm Lord (Vis 1) | |
| 1976 Don't Bite the Sun / バイティング・ザ・サン | 2004, 環早苗 |
| 1977 Drinking Sapphire Wine / バイティング・ザ・サン | 2004, 環早苗 |
| 1977 Volkhavaar / 幻魔の虜囚 | 1983, 浅羽莢子 |
| 1977 East of Midnight / 月と太陽の魔道師 | 1982, 汀奈津子 |
| 1978 Shadowfire (The Birthgrave 2) | |
| 1978 Hunting the White Witch (The Birthgrave 3) | |
| 1978 Night's Master (Flat Earth 1) / 闇の公子 | 1982, 浅羽莢子 |
| 1978 The Castle of Dark / 闇の城 | 1983, こだまともこ |
| 1979 Death's Master (Flat Earth 2) / 死の王 | 1986, 室住信子 |
| 1979 Shon the Taken / 死霊の都 | 1983, 森下弓子 |
| 1979 Electric Forest | |
| 1980 Sabella | |
| 1980 Kill the Dead | |
| 1980 Day by Night | |
| 1981 Delusion's Master (Flat Earth 3) / 惑乱の公子 | 1986, 浅羽莢子 |
| 1981 Silver Metal Lover / 銀色の恋人 | 1987, 井辻朱美 |
| 1981 Lycanthia | |
| 1981 Unsilent Night | |
| 1982 Prince on a White Horse / 白馬の王子 | 1983, 井辻朱美 |
| 1982 Cyrion | |
| 1983 Sung in Shadow / 影に歌えば | 1986, 井辻朱美 |
| 1983 Red As Blood / 血のごとく赤く | 1997, 木村由利子・室住信子 |
| 1983 Anackire (Vis 2) | |
| 1984 Tamastara or The Indian Nights / タマスターラー | 1987, 酒井昭伸 |
| 1985 Days of Grass | |
| 1985 The Gorgon and Other Beastly Tales / ゴルゴン | 1996, 木村由利子・佐田千織 |
| 1986 Delirium's Mistress (Flat Earth 4) / 熱夢の女王 | 1989, 浅羽莢子 |
| 1987 Night's Sorceries (Flat Earth 5) / 妖魔の戯れ | 1990, 浅羽莢子 |
| 1988 The Book of the Damned (Paradys 1) / 堕ちたる者の書 | 1992, 浅羽莢子 |
| 1988 The Book of the Beast (Paradys 2) / 幻獣の書 | 1992, 浅羽莢子 |
| 1988 The White Serpent (Vis 3) | |
| 1979-88 悪魔の薔薇 (日本オリジナル短編集) | 2007, 安野玲・市田泉 (解説:中村融) |
| 1989 A Heroine of the World |
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この表はタニス・リー通読のわたしの読書進捗チャートから、ISFDBからの引用で作っている。その目的なのできちんと網羅しているかには怪しさがある。
リーの邦訳出版には過去およそ三波あり、
あと散発的に数点。諸々のアンソロジー所収の小品、雑誌掲載以後どこにも再録されていないものがある。『黄金の魔獣』はパラディス外伝と思っていい。
訳者名では浅羽莢子さんが日本のファンには有名で、要所で井辻朱美さんも押さえている。「平たい地球」シリーズとともに浅羽訳の支持の声は高いのだけど、浅羽・井辻両氏ともにかなり御自分の持ち味は訳文に反映していると思う。わたしは室住信子さんを結構推している、のようなことは先に書いておく。
これにリーの作風の変遷について少し書き足すと、1971からしばらく、子供向けの作品を書いている。「The Birthgrave」がやはり衝撃的であり、作家としての認知では実質これがデビュー作品にもかかわらず「畢生の大作」(中村融)のように言われていたりする。その後ひっきりなしに多作を続けるが、70~80年代が人気では黄金期とみなされているようだ。
バースグレイブに傾けられている作家の熱情はその後の志向を決定づけたようで、80年代までの数々の作品中にはバースグレイブで一度挑んだテーマへの再話であったり、セルフオマージュのような跡が点々と読み取れる。多作な内にも、作家の中ではいつも繋がっているものがあるのだろう。
90年代からは作風がやや変わってくる。辛辣なユーモアや、ものすごく個性的でエキセントリックなキャラクターは影を潜めて、暗く沈んで浮かない雰囲気のパラディス、ヴェヌスのシリーズが続く。やや難解な作品が増えるにつれて往年の人気もそこまで付いてこない。ホラー趣味を出してきたよりは、創作について齢とともに考え直すような転機があったらしい。それは後で考える。このあともう一転してジュブナイルに返るような向きもあるようだが、邦訳事情はそこまで作家の内的経緯をフォローしていない。