村の中枢、クリスタルが光を放ち、傾いている。
その光は、見てわかる程に薄れており、クリスタルの死が近い事を示していた。
「この時間から外に出るのは危険だ」
「明日の朝、港まで送る。今日はもう寝ておけ」
後ろから追いかけてきた老人の声。
すると、ややざわつき始めた家々から、一人、二人と姿を現し、目を擦る事もなく、心配気に俺を見る。
「あ、おにいさん」
聞き覚えのある少女の声。
それは徐々に近づき、俺の足元にまで来た。
「もう、身体は大丈夫?」
「……」
「あの、ごめんなさい……」
「おにいさんは死にたがっていたかもしれないけど――」
「思い出、なんだろ」
「……?」
「旅は、楽しい方がいい」
「俺を介して哀しい思いするんだったら」
「それは……いい思い出になって欲しい……」
「俺が生きてりゃ、君にとって、良い思い出になる」
「うん」
「……」
「どうか、この先も」
「君達は希望を紡いでくれ」
「……おい」
「レビ」
「――」
「レビー!」
「――」
「レビ氏」
「――」
「レビ!」
「――」
「行ってらっしゃい」
手元のクリスタルケージを掲げる。
夜空一面で輝く星と、それにそっとかかる月の光の下で、
美しく一本の光の線を作り上げながらゲージ内の雫は天へと消えて行く。
「何して――!」
俺の集めた希望は、ティパの村のクリスタルに取り込まれ、美しく輝きを取り戻した。
「それは、ティダの村の――」
「いいんだ……」
「もう、やっちまったことなんだから……」
「――」
「おにいさん」
「俺が死なないように、色々してくれただろ」
「お礼だよ……」
「……ありがとう、おにいさん」
衝動的で、理由も付かない行動だった。
ティパの村に俺達のしずくを分け与える義理などなかった。
でも、そうしたのは、君が傍に居てくれたとしたら、
そうしようって言ってくれると思ったからなんだ。