「――」
読み終えた時に過ったのは、
俺が選択を間違えたあの豪雨の時。
流され、意識を喪っている最中。
その時、ティダの村はどうしていたのだろうかという絶望。
心に与える大きな傷は、未だ広く冴えわたり、
指先から凍える感覚が再び心に影を纏わせた。
ガチャ……。
「おぉ、帰ってきたか」
「農家の連中の水汲み、大変だったろ?今日は早く寝――」
「――」
背後から旦那の声が途切れる。
俺は振り向いてはいなかったけど、
きっと俺の表情が見えたんだろう。
丸め切った背中は、手紙を見た時の俺の心境を表していたはずだ。
「……」
「すまない……いつか渡そうとは思っていたんだ……だが……」
「……大丈夫……」
「俺は、大丈夫だ……」
「……俺が眠っている最中に、届いたのか……?」
「……2回目、お前が此処に運ばれた時だ……」
「覚えているか……?」
「あぁ……ミルラのしずくを、クリスタルに吸わせたときだったか……」
「……教えてくれ」
「モグは、レターモグは、何か言ってたか?」
「……」
「大丈夫。受け止めたいんだ」
「これは、必要な事なんだ」
「……」
「……」
「モグがお前宛てに、と」
「ただ、それだけを言って帰った」
「返信は要らない。そう言うかのように」
「……」
「……」
「……だよな……」
モグが俺を探し当てられなかった時。
一度ティダの村に帰るなりしているはずだ。
その時、惨状を確認すれば分かるだろう。
手紙の返信の有無。
それは、生存の証。
改めて感じる。
終わったんだと。
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