カオスドラマX

Gray Traveller / 602

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わったん 2026/04/26 (日) 21:30:30 >> 598

「……」

「……」

「旦那、気を使わせて悪かったな」
「再三だが、俺は大丈夫だ」
「傷は癒えちゃいないが、時間が解決してくれたものもある」
「思い出が薄れて、零れ落ちるものもあったから」

「レビ、今日はもう寝ろ」
「明日は休んでていい。鍛冶屋には俺から伝えておく」

「……」

旦那は俺の肩に手を置き、数度叩いてから部屋に戻った。
月明かりが、急激に影を落とした。


帰る理由が明白だった日々。
身体の傷を無視して、帰る為に前を向く。
過去を振り返りながらも、振り向く事をせず、
必ず辿り着くはずだった希望のキャラバン。
俺は、瓦解した。
だから、もう帰る事は出来ないと思った。
身体だけが残った俺の存在は、感情として確立されていない。
でも、あの手紙に残っていたのは、
俺に生きていて欲しいという願いだった。

「……」

滲んだ字が、感情を揺さぶった。
気丈に振舞った手紙。だが、最後の文で見せた本心。
魂が叫ぶ。
俺は、帰るべきだと。

「……」

また絶望に彩られるかもしれない。
だが、どうだろうか。
俺は、帰る。
帰らねばならない。

「……」

希望は確かに絶望に塗り替えられた。
だが、希望を紡ぐ事は出来た。
そしてまだ、希望は燻っている。
俺という、希望が。
なればその凱旋をあげるには、俺が立ち止まっていてはいけないんだ。

「……」

月夜の灯りが、俺の目を照らす。
家の端にあった鏡には、俺の目に光が燈っていた。

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