かとかの記憶

The Word for World is Forest 世界の合言葉は森 / 6

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この文庫本の前半、「世界の合言葉は森」まで読了。
上の話は、「消えゆく民族」のようなストーリーをするなら19世紀末までか、1920年代くらいまでが下限。その下限を区切るのは、わたしにはちょうどカレン・ブリクセンの経歴を目安にしていて、ブリクセン夫人はその時代の最後を経験した人だが、その小説作品はすでにそれが主題にはならなかった。次の時代へ行った、と考える。

ル・グインが何を読んで育ったかはル・グインが書いている。ハイニッシュ等のシリーズになるSFの発端がコードウェイナー・スミスだったというのは、1961年(アルファ・ラルファ大通り)。SFのジャンルで神話ファンタジーに与するというか、創作神話のようなロマンチックな運動ができることを知って、それが大いに刺激になった。SFでそれが新しいと思えたのが、じつに1960年代まで下る。ジャック・ヴァンスなどもこの世代に入るんだろう。

それで、ル・グインはそれより後の世代になる。1972年のル・グインが踏襲しているジャンル伝統はフェミニズムであったり、ベトナム戦争だったり、被支配側の視点だったりするが、それはこの当時のチャレンジングではない。今読むとデイビッドソン大尉がかわいそうなくらいだ。目線のあるのはThe Word for World is Forest……アスシー人の言葉では「世界」に当たる語は「森」を意味する、それぞれを表す別の言葉はそこに持たないのだった、というところ。それ自体は、2020年代の読者に気持ちを揺さぶることになりにくいのだが、この話の当時はそこに揺れるということを思い出せればよい。

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    katka_yg 2025/12/08 (月) 17:04:47 修正 >> 6

    「アスシー」

    アスシー人の世界という言葉には、森という意味もあるのです。

    「シャアブ」

    シャアブには神、神霊的実在、強い力をもつもの、という意味がある。それから、まったくちがうもう一つの意味もあるのだがリュボフはそれが何であったか思いだせない。……(中略)……そうだった、シャアブ、通訳。

    神=通訳というのも刺激的な設定じゃないか?