Moons Over Sea (C.S.E. Cooney)
一人称小説なので紹介してみようか。
あたしは海の妖魔の娘で、女王でもある母に生まれてすぐに捨てられた。顔も知らないそいつの呪いで、水に触れるとこの身は業火にまとわれ、そのせいで海に帰ることはできないが悲観はしていない。人間の両親(両母)に拾われて、血の繋がらない四人のステキな兄弟と育った。
あと、水には触れないが、汚れても汚れは燃え尽きてしまうので不潔ではない。
なにその阿呆みてーなナメた設定。マキリップのトリビュートでやればいいのに。
と。前の数話のヒネくれた気分から一転して、妖魔の能力でほとんど何でもできるがあたしのせいじゃない――みたいな、タニス・リーファンの読者がそのアンソロジーを手に取るならこういうのが読みたいでしょ?のいかにも妥当なところを真っ正直に衝いて来やがって、この作者媚びてんじゃないの?
それはこの本の中の特殊な前後印象なので、それを除けば、ストレートに好ましいファンタジー。ライトノベル風のフェアリーテイルが好きな読者はグッジョブして笑顔になるのは請け合い。とは言いたいけど、話の落ちどころがクサいのは結局感心しなかったり。デメテル神話のような含意もあるんだろうと思う。
文章が面白くて、ここしばらく上の数話に難渋していたのに較べて気持ちも軽くよどみなく読んでしまう。ちょっと気になるところでは、この小説の物語ではないところに点々と喚起する連想がどうも「小さなアズュラーン」みたいなものを思わせる、アズュリアズではなく。平球シリーズの通読している読者だと必然的に感じる要素がきっとある。このdemonは日本語ならやはり「妖魔」と訳すべきなんだろうな。
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それと、若干この節もある。