突然すみません。
多分バレますが形式上は匿名でやります。(色々当時やらかしたので)
なお当初は、本家2に繋げる形でやるつもりでした。
最後まで書けたら良いけども……
見やすいようにPIXIVもあります。
注釈:7話まで描き終わってるので8話から更新遅くなります。添削や加筆修正等もしてるので投稿頻度は元々遅いです。
また、アニメ版、漫画版、Nexonアプリ版の記事を参考に書いています。
(ここの文sageで更新したい)
突然すみません。
多分バレますが形式上は匿名でやります。(色々当時やらかしたので)
なお当初は、本家2に繋げる形でやるつもりでした。
最後まで書けたら良いけども……
見やすいようにPIXIVもあります。
注釈:7話まで描き終わってるので8話から更新遅くなります。添削や加筆修正等もしてるので投稿頻度は元々遅いです。
また、アニメ版、漫画版、Nexonアプリ版の記事を参考に書いています。
(ここの文sageで更新したい)
次のコードをWIKIWIKIのページに埋め込むと最新のコメントがその場に表示されます。
// generating...
タイトル背景・アイコン募集中🐍
週間フレンズ+月刊けものを統合し、総合ファンスレとしてリニューアル
詳しい事はスレで
2025/2/19
本日、子どもが生まれました。ここまでこれたのはけもフレとけもねおのお陰だと思います。暫く夜泣き、お風呂、食事があるので大変ですがこれからも宜しくお願いします。
トラたぬより
2025/09/01
もう夏休みって年でもないんだけどやっぱり8月が終わるともの悲しい気持ちになる
ここまでがあなたのコンテンツ
ここからもあなたのコンテンツ
第1話「はまべちほー」
「デデデ、電池……バスノ電池が。」
ラッキービーストがそう言うと、海の上で動いていた、船に改造された“ジャパリバス”が停止した。
「ここで〜っ!?」
そんな止まったバスの中で、沖のど真ん中に取り残されたかばんがそんな悲鳴を上げた。
「あ、ヤバイよ! こっちも止まらなきゃ!わ、わ〜っ! ストップ! スト〜ップ!」
かばんの後ろで、こっそりと付いてきていた5人のフレンズの内の1人……サーバルが、彼女の下にいたアライグマとフェネックに、船を漕ぐことを止めるよう、そう促した。
そんなサーバルの言葉に応え、アライグマとフェネックは船を漕ぐ足を止めた。
ドシーン!
そんな重い音が、サーバル達の乗った船とかばんが乗った船がぶつかって鳴った。しかしそんな船に重傷を及ぼしそうな音に反して、あくまでもゆっくりとだったため、それぞれの船に目立った外傷は付かなかった。
「うわっ!?」
ぶつかったのに驚き、かばんはそう叫んだ。
そして、なんだなんだとかばんが後ろを振り返ると。
そこにはキョウシュウエリアで共に旅をし、何日、何十日間……いや、何ヵ月間も一緒に過ごした、親友のサーバル、それと……、今まで特に親しくしてきたフレンズ達……アライグマ、フェネック、アフリカオオコノハズク、ワシミミズク、それに、ロッジで漫画を描いていた、タイリクオオカミがいた。
「さ、サーバルちゃん! ……みんなー!」
かばんがサーバルを見て、驚きの声を上げる。
サーバルはそんなかばんに、無邪気に、笑いながら言った。
「えへへへへっ。ついて来ちゃった! みんなもかばんちゃんが心配なんだって!」
彼女のそんな笑い方、表情がかばんの涙を誘う。
「はい、帽子!」
サーバルがそう言い、かばんに帽子を差し伸べる。
「え、サーバルちゃん、要らないの?」
かばんは彼女に、そんな事を聞いた。
「うん! 私は、かばんちゃんと過ごせるだけでいいから!」
そんなサーバルの言葉に、かばんは一粒、大きな涙を流した。
かばんはその涙を人差し指で拭い、アライグマへと顔を向けた。
「かばんさん!」
アライグマが彼女の名前を、再び呼んだ。
「はい。……なんでしょう。」
かばんが優しい口調で、にっこりと笑みを浮かべながらアライグマに集合言った。
「アライさん、かばんさんが心配だったのだ~!」
「私はアライさんに付いてきただけだよー。」
アライグマ、フェネックがそんな言葉をかばんに口々に話す。
「我々は、お前たちが迷惑を掛けないように付いてきただけなのです。」
「そうなのです。勘違いはダメなのですよ?」
アフリカオオコノハズク、ワシミミズクがそんな「ツン」と「照れ」の混ざりあったような感情をうっすらと含め、そんな事を言う。
「あはは、分かってますって。」
かばんはそんな感情を軽く受け取りながら、微笑してそう言った。
そしてかばんは、もう1人のいる方向を振り向き、言った。
「タイリクオオカミさんは……何故……?」
そんなかばんの問い掛けに、タイリクオオカミは答えた。
「いやあ、漫画のネタになりそうだな。と思ってね。」
「そうですか……。あれ、じゃあ、アミメキリンさんは……。」
かばんがそう言うとタイリクオオカミは一息吐いて言った。
「アイツは……来ないさ。」
そんなタイリクオオカミの言った言葉に、かばんは戸惑いを隠さなかった。
「……え? なんで……。一番のファンだったはずじゃ……? タイリクオオカミさんの漫画をいつも読んでて……。」
かばんのその言葉を遮るように、タイリクオオカミは再び口を開いた。
「……彼女は言った。『遠くに行っても、ずっと応援してますから。』……って。」
かばんがその言葉を聞いて口を開こうとしたが、タイリクオオカミはその言葉をさらに掻き消すように、続けた。
「それに、『アリツカゲラさんの話し相手が居なくなりますからね!』ともな。」
タイリクオオカミのそんな言葉に、かばんは下を向いて少し微笑みながら言った。
「そうですか……。まあ、ある意味アミメキリンさんらしいというか……。僕も、そこまで良くはアミメキリンさんのこと、知りませんけど……。」
かばんが言ったその言葉を境に、波打つ音がより一層と際立って聞こえるようになった。
サーバルはその淀んだ空気をなんとか立ち直らせようと、口を開いた。
「……まあ、他の子は予定があって来れなかったんだけど、予定が一段落したら、来るって言ってたよ。」
「そうですか……。楽しみですね。皆さんが来るの。」
「またアライさんのときみたいに追いかけっこになったりしてー。」
「たしかに!」
アライグマの一言で、一斉にその場に笑いが訪れる。
……そんな話をしていると、海の表面が軽く盛り上がり、フレンズが水中から顔を出してきた。
そして、そのフレンズはかばんの顔を見て言った。
「なになに、どこいくのぉ~っ?」
そんなフレンズの顔を見て、微笑みながらかばんは聞いた。
「ああっ。あなたは、何のフレンズさんですか?」
続けてサーバルが、笑い掛けながらそのフレンズに言った。
「お友達になろうよ!」
波が砂浜を打つ。
ザザーン。ザザーン。
とても心地の良い音が、8人の周りで静かに鳴り続けた。
~けものフレンズ2~
陸に上がり、かばんとサーバル、アライグマにフェネック、アフリカオオコノハズクとワシミミズク、それとタイリクオオカミが浜辺へ足を着く。
まあ、アフリカオオコノハズクやワシミミズクは飛べるので、暑い砂浜にわざわざ足をつけずに飛んでいる訳だが。
そんなことはともかく、かばんらはその、フレンズを見つめて言った。
「あたしはマイルカ! マルカって呼んでね!」
▼■■■■■▼鯨偶蹄目マイルカ科マイルカ属
■ ■ ■
■ ■ ■マイルカ
■ ■ ■
■■ ■ Common Dolphin
はまべに着いて、一番に彼女は言った。
「データベースシュトクカンリョウ。データノロードヲカイシシマス。」
近くでラッキービーストがそんな言葉を発する中、かばん達は話を続けた。
「マイルカさん。……よろしくお願いします。」
「マルカだってば。」
マイルカ……、マルカのそんな言葉に、かばんは頭を下げながら言った。
「ああ、すみません。マルカ……さん。えーと。ここはどんなちほーですか?」
「ここははまべちほーって言うんだ。海に住んでるフレンズとかまあ、その他いっぱいいるよー。」
「は、はあ……。」
そんな大雑把な説明を終え、彼女はあっという間に海へと去っていった。
「じゃあねー!」
「ま、またー!」
彼女にそんな別れの言葉を言い、かばん達が振り向くと、そこには、ゴコクエリアのラッキービーストが居た。
キョウシュウエリアでは色は青だったが、ここでは緑だった。
それでも尚、前のラッキービーストの体の、面影が残っているような、そんな気がし、かばんはそのラッキービーストに抱きついた。
キョウシュウエリアで出会ったラッキービーストが、居なくなった訳でもないのに。
そんな、緑色のラッキービーストがかばんを見て声を上げた。
「あっ。ここにもラッキーさんがいますね。……そういえば、ラッキービーストを一つのエリアに2、3体設置しておいたの、忘れてましたー。……結局、キョウシュウエリアでの抵抗は、失敗に終わってしまいました。そして私達、パークの職員は、このゴコクエリアへ避難することになった訳ですが……。サーバルさん達……大丈夫でしょうか……。……まあ、あの子達なら、多分、大丈夫ですね。それに、いつまでも嘆いていても、仕方ありませんね。今はあの子達が、私が戻るまで生きていることを願うのみです。」
そして、そのラッキービーストはあの声を上げた。
「ハジメマシテ。ボクハラッキービーストダヨ。キミノナマエヲオシエテ――。」
そして、そんなラッキービーストの声と共に、かばん達が今まで一緒に旅をしてきた、もう一人(?)の方のラッキービーストの、99という文字が100へ変わった。
「ハマベチホーノデータロードガカンリョウシマシタ。……カバン。」
そんなもう一人のラッキービーストの呼び掛けに、かばんは答えた。
「はい。なんでしょう?」
すると、ラッキービーストは言った。
「ボクヲ、ソコニイルラッキービーストニ、トリツケテクレナイカナ。」
そんなラッキービーストの声に、かばんは答えた。
「え……。あっ、はい。」
そんなあどけない返事をし、かばんはその、緑色のラッキービーストの体に小さくなったラッキービーストを取り付ける。
「ゴコクエリアノデータベースヲシュトクチュウ。カバン。ボクノヨコニアルボタンヲオシテクレナイカナ。」
ラッキービーストのそんな無機質な声に、かばんは答える。
「あ、はい。」
そしてかばんは、ラッキービーストの横にあるその、小さなボタンを押した。
「データコード:12201714。データメイ:『Record of the journey of the Kyoshu』……データノイコウガカンリョウシマシタ。」
そんな声を境にその、小さくなったラッキービーストは声を出さなくなった。
「……ラッキーさん?」
かばんがそんな声を掛けると、緑のラッキービーストに元々あった似たような形状をしたものが光りだし、喋った。
「カバン、ボクハコッチダヨ。ウミノミズデヌレタカラ、コワレルマエニデータヲイコウシタンダ。モチロン、ゴコクエリアノデータモシッカリハイッテルヨ。」
それを見てかばんは、少し驚いた。
「ラッキーさん!?」
「モウマエノホウハトリハズシテクレテモカマワナイヨ。……モッテルノモジユウダケド。」
そんなラッキービーストの言葉を聞き、かばんはそれを取り外し、“かばん”へとしまい込んだ。
そんなかばんの動きを見届けた後、ラッキービーストは言った。
「ジャア、イコウカ。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
わくわく水族館シードーナツあおやまおにいさん(くまもと) ※本当にある水族館
「えー。マイルカはですねー。ま、名前の通り、普通のイルカでしてー。水族館などで手懐ければ、大ジャンプだとか、輪くぐりだとかしてくれますねー。まー、あとはですねー。好物はまー、魚ですねー。鰯とか良く食べてて、ってかあまりに食べすぎて予算が……」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「うーん……。」
「ボス、まだー?」
「どこまで行っても、“はまべ”ですね……。」
フェネック、サーバル、かばんの順に、それぞれがそんな言葉をガイド中のラッキービーストに放つ。
「モウスコシダカラ、ガンバッテアルイテ。」
ラッキービーストのその言葉に、かばんはふとあることを聞きたくなり、その口を開いた。
「……そういえば、はまべちほーは具体的にどんなちほーなんですか?」
かばんのそんな問いかけに、ラッキービーストは答える。
「ハマベチホーハ、オモニウミノチカクニスムフレンズナドガオオクセイソクシテイルヨ。……サッキノマイルカハ、ウミデアソンデイタヨウダネ。」
ラッキービーストはそんなことを、後ろ歩きで語り始める。
「はあ……。」
そんなかばんがよく分からない、といったような返事をした。
「ホントウハマイルカイガイニモイロイロナフレンズガイテ、サメ……オモニホホジロザメナドノチョットキショウガアラクテアブナイフレンズモイタリ、」
「ええっ……!」
かばんがラッキービーストの「気性が荒くて危ないフレンズ」という説明に戸惑い、そんな声を上げた。
危ないとはどういうことだろうか。とかばんは疑問に思うが、そんなかばんをお構い無しにラッキービーストは話を続けた。
「……ヒカクテキメズラシイドウブツノフレンズモフクスウイルヨ。」
「へえ。そうなんですか。」
珍しいフレンズさんか……。見てみたい気もするなあ……。
かばんがそんな事を考えていた時、ラッキービーストが足を止めた。
「アトハ……。ア、ソウコウシテイルウチニツイタミタイダネ。ソレジャア、ハイロウカ。」
目の前にあった古びた木の扉を確認して、ラッキービーストは言った。
ラッキービーストがピョコピョコと奥へ入って行く中、アライグマ達サーバルを除くフレンズが、かばんの肩をポンと叩き言った。
「かばんさん! アライさんはちょっとそこらを探検して来るのだ!」
アライグマはそんな事を言って明後日の方向へと走って行った。
「私もアライさんに付いて……待ってよアラ〜イさ〜ん。」
フェネックが話の途中でアライグマを追いかけに行ってしまうが、去り際に
「かばん。我々も少しこの辺を見回りして来るのです。後でその建物の中がどうなってたのか、教えるのです。」
アフリカオオコノハズクがそう言うと、かばんは頷いて言った。
「はい。」
「それじゃあ助手……。行くのです。」
アフリカオオコノハズクのそんな言葉に、
「分かりました。博士。」
ワシミミズクはそう言って彼女の背中に付いていった。
「悪いが私もついて行けない。ちょっとこの辺の物を絵のモデルに使いたいんでな。」
「え、あ……はい。分かりました。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
かばんが目の前のドアノブを捻り、前へ押す。
「すみませーん。誰か居ますか~?」
扉を開け、一番にそんな声を出したのは、かばんだった。
……しかし、返事は無く、その沈黙の中からは水の滴る音が「ピチャ、ピチャ」と鳴っていた。
……暗すぎる建物内。
少しでも奥へ入ると、足先すら見えなくなる。
かばんはそんな光景に少しながら恐怖を抱いた。
しかしかばんは、そんな恐怖心にも負けず、奥へ奥へと進んで行った。
そして、その「ピチャ、ピチャ」という音の正体を見つけた。
「なんだ……。この音か。」
正体が分かり、かばんはホッと胸を撫で下ろした。
正体は水道から漏れ出て滴る水だった。
かばんは水道から漏れ出る水を、手に取った。
……そんな時。
「あれっ? 見かけない顔だな。」
突然聞こえたその声に、
「うわあああああ!!」
かばん達は驚き、悲鳴を上げた。
カチ、という音が鳴ったかと思うとあっと言う間に部屋に明かりが灯り、そのフレンズはかばん達の前に姿を現した。
「ははっ。驚かせてごめんよ〜。」
黄色いその眼を光らせ、そのフレンズは言う。
「こ、こちらこそ……騒がせてしまってすみません。」
「びっくりしたよー。」
かばん達二人が口々にそんな事を言い、少し間が空いてから、かばんはそのフレンズに問い掛けた。
「お名前は……なんて言うんですか?」
鋭い目付きでありながらも、優しい表情を浮かべ、彼女はかばん達を片目で見つめながらとても元気に言った。
「私? 私はホホジロザメってんだ! まあ、ホホジロとでも呼んでくれ!」
▼■■■■■▼ネズミザメ目ネズミザメ科ホホジロザメ
■ ■ ■
■ ■ ■ホホジロザメ
■ ■ ■
■■ ■ carcharodon carcarias
そんな事を言ってホホジロザメが目の前を改めて見る。
「……あれ?」
かばん達は……ホホジロザメの目の前から消えていた。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
その頃。
アライグマ達は。
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ。」
荒い息を繰り返しながら走り続けるアライグマの傍らで、フェネックがその背中を追いかけながら言う。
「アライさーん。またやってしまったねえー。」
そんな声に、アライグマは立ち止まり、空に向かって叫んだ。
「ここは……どこなのだあ~っ!」
……彼女らは、完璧に迷子になっていた。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「ちょっと、ラッキーさん! ホホジロザメって、さっき危ないとか言ってたフレンズですよね! 大丈夫なんですか!?」
かばんがひそひそと、ラッキービーストにそんな事を言った。
かばん達はホホジロザメと聞き、急いで彼女から見えないよう、物陰に隠れていた。
「イマハオトナシイカラ、トクニモンダイハナイヨ。」
そんな無機質な声で、ラッキービーストはかばんのその問いかけに答えた。
「そ、そうは言っても……。」
ラッキービーストの発した答えに戸惑うかばん達の後ろから、黒く大きな影がゆっくりと寄ってくる。
……そして。
「……わあっ!」
その影の持ち主……ホホジロザメは、かばん達の後ろでそう叫んだ。
「うわああああああああああああああ!」
突然発されたホホジロザメの大きな声に、かばん達は悲鳴を上げた。
「アハッ! ハハッ! ハハハハハハッ! ……やっぱり君達、面白いねえ!」
ホホジロザメが腹を抱えて笑いながらそんな事を言う。
「ちょっと、驚かさないで下さいよ!」
「ビックリしたよ!」
かばんの緩めの怒声とサーバルの言葉で、その場に柔らかな空気が流れる。
「ごめん、ごめんって!」
そんな軽い謝罪のあった後、「ところで……」と耳打ちをしてホホジロザメは言った。
「そういえば聞いてなかったけど、名前は?」
そんなホホジロザメの問いに、「あ……、はい。」と返事をしてかばんは口を開いた。
「ボクは、かばんと言います。そしてこっちは……。」
そんなかばんの言葉に続け、サーバルも同様、口を開いた。
「私はサーバルキャットのサーバルだよ! よろしくね!」
そんな自己紹介が終わり、かばんはホホジロザメの顔を伺った。
「……食べたりしないから。大丈夫だよ。」
ホホジロザメはかばんが考えている事を読み取り、そう答えた。
「なんで分かったんですか!?」
「さっき話しているのを聞いたんだよ。『さっき危ないとか言ってたフレンズですよね!?』」
ホホジロザメがかばんの声を真似しながら言った。
「あ、聞いてたんですか……。」
かばんはそう言い、あることを思った。
なんだか、タイリクオオカミさんと若干ゃ雰囲気が似てるフレンズさんだなあ……。
……ところで、ラッキーさん。ボク達ここに何しに来たんですっけ?」
かばんが聞くと、ラッキービーストがあくまでも無機質な声で「ア。」と言って答えた。
「ココニキタリユウヲセツメイスルネ。……ココハモトモト、“ロッジ”ダッタンダ。キョウハコノロッジニトマリニキタンダ。ケド……」
ラッキービーストがそう言い、かばんはある事を聞いた。
「ロッジ……。それって、アリツカゲラさんが経営していたような建物ですか? とてもそうは見えませんけど……。」
そんなかばんの問いに、ラッキービーストは答えた。
「ソウダヨ。」
そしてラッキービーストは、こう続けた。
「アト、コノタテモノガロッジラシクミエナイノハ、タブンダイブボロボロダカラダネ。……カバン。」
「はい。」
かばんはそう返した。
「ヨカッタラ、コノロッジヲナオスノヲテツダッテクレナイカナ。」
ラッキービーストのその言葉に、かばんはコクリと頷きながら返した。
「分かりました。じゃあ、サーバルちゃん……あと、ホホジロザメさんも……。」
かばんが言うと、何か遊んでいた二人が顔を上げて言った。
「分かったよ!」
「オーケー。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「それじゃあ、まず何をすれば良いんでしょうか。」
かばんがそう聞くと、ラッキービーストは歩き始め、言った。
「マズハ、コノロッジノハシラト、カベヲコウセイスルモクザイヲトッテキテモライタインダケド、イイカナ。」
かばんは、ラッキービーストのその言葉に「はい。」と答えた。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「木材、木材……。あっ。これ辺りなんか良さそうですね。」
かばんの目の前には、軽く5mは超えるであろう大木が、堂々と立っていた。
「見つけたけど……。これ、どうやって運ぶんだ?」
ホホジロザメがそんな疑問をかばんに放つ。
そんなホホジロザメの顔をチラリと見て、答えを彼女に返した。
「一つだけ、方法が。」
「うみゃみゃみゃ……みゃあっ!」
サーバルがそんな声を上げ、大木を持ち上げる。
「サーバルちゃん大丈夫? 重くない?」
サーバルの横から、かばんはそんな言葉を彼女に掛けた。
「大丈夫だよ! むしろこんなの、軽い軽い!」
サーバルがそんな事を言って片手で大木を持ち始める。
「ちょ、サーバルちゃん! 危ないよ!」
かばんは彼女にそう、注意を促した。
「はーい。」
サーバルはそんな軽い返事をして、大木を持ち直した。
「それじゃあ、行こう。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「チャントモッテコレタミタイダネ。ケガハナイカナ。」
ラッキービーストがかばんにそう問い掛ける。
「はい。……特に無いよね。サーバルちゃん。」
かばんがラッキービーストの言葉を聞き、ややたらい回し気味にサーバルに問い掛けた。
「うん。だいじょーぶだよ! ほら、こんなに元気だもん!」
サーバルはそう言いながら、幾度か大きく跳躍した。
「という訳で……まあ、大丈夫です。」
かばんはサーバルの様子を見ながら言った。
「ナラヨカッタヨ。マダツギニヤッテモライタイコトガアルンダ。」
ラッキービーストは言った。
「はい。何でしょう。」
かばんがそう問いかけると、ラッキービーストはピョコピョコと歩きながら言った。
「コノタテモノデ、ナオサナイトイケナイカショハダイタイミツケオワッタカラ、ソノキヲキッテ、ナオシテホシインダ。……アメリカビーバートオグロプレーリードッグガイエヲタテテタトキミタイニネ。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「出来たー!」
その場に居た三人が手を上げて、声を揃えてそう叫ぶ。
その前方には、先程までは古びて、今にも壊れそうだったロッジが、綺麗に、汚れ無く建っている姿があった。
「おおー! 凄いな!」
ホホジロザメがロッジを見上げながらそんな事を言っている中、五人のフレンズが戻ってきた。
「やっと戻ってこれたのだ~!」
「やったね~。アライさ~ん。」
「特に異常は無かったのです。」
「この辺りは安全なのです。」
「あー。良い絵が描けたよ。」
アライグマ、フェネック、アフリカオオコノハズク、ワシミミズク、タイリクオオカミが口々にそう言い かばんの元へと向かう。
「要件は終わったのですか。」
アフリカオオコノハズクが、真っ先にかばんにそう質問をした。
「ええ。完璧に終わりました。」
かばんはそう応えると後ろを向いて歩き始めた。
「みなさん、付いてきて下さい。」
「うわああああああ! 何なのだこれはあああああ!」
その部屋に入り、アライグマが一番にそんな声を上げた。
「すごいのです。木材の切れ目が全て一定なのです。」
「前とは全然雰囲気が違うな。」
タイリクオオカミは先程来たときにスケッチしたものと、現在の実物を見比べて言った。
「ここはアリツカゲラさんの経営していたロッジの種類の中の一つらしいです。」
かばんがそんな簡単な説明を終えると、アライグマがロッジを見ながら言った。
「 じゃあ、このロッジのけーえーしゃは誰なのだー?」
かばんがそんなアライグマの疑問に答える。
「 ああ、そういえば決めてませんでしたね。」
かばんはそう答えると、ホホジロザメへと目を向けた。
「……え。え、ええっ!?」
ホホジロザメが戸惑い、そんな声を出す。
「お願いしますホホジロザメさん! フレンズが泊まる度に、ジャパリまんを貰えますから!」
かばんのそんな訴えかけに、ホホジロザメはじゅるり、と一度舌なめずりをして、その訴えかけに答えた。
「……なるほど。……まあ、それだったら悪くないかもな。」
そんなホホジロザメを見てかばんはまた口を開いた。
「あ、でも、一人のフレンズが一回泊まるのにつき、ジャパリまんは一つくらいにしておいてくださいね。」
「分かったよ。」
ホホジロザメのその返事を聞きかばんはコクリと頷いて言った。
「それじゃあ、ロッジの営業再開……? ですね!」
かばんがそんな事を言うと、ぞろぞろと9人がロッジの中へと入って行った。
「早く料理を食わせるのです。」
「腹ペコなのです。」
二人がフォークとスプーンを両手に持ちながら、かばんにそう料理を催促した。
「もー。ちょっと待って下さいよ。博士さん、助手さん。」
ロッジ内に、美味しそうな料理の匂いが充満する。
その匂いを嗅いだフレンズ達が、野に住む獣が獲物を捉えるかのように、ロッジの中でも、ロッジ外からも、続々とその場で様子を見ていた。
……そんなこんなであっと言う間に夕食が終わり、かばんはキョウシュウで泊まった時と同じような雰囲気の部屋を選び。
明日は何があるのだろうと 期待に胸を膨らませながら、ベッドの、サーバルの隣で、深い眠りについたのだった。
ざわざわと、風によって木々がざわめき、そのざわめきがよりかばんの眠りを深い物へと変えて行った。
【オープニング】
翌朝。
「……ふああ。」
かばんはサーバルの横で目覚めた。
なぜか、ベッドから転げ落ちていたのは言うほどでもない出来事ではある。
「うーん。いたた……。」
そんな声を出し、かばんは起き上がった。
「ちょっと、サーバルちゃん……耳、噛まないでよ……。」
甘噛みなら良いのだが、少し強い。
そんなサーバルの肩を、かばんはポンポンと片手で優しく叩いた。
「うみゃ……。かばんちゃん……。」
サーバルがそんな声を、目を擦りながら出した。
「サーバルちゃん、噛まないで……。」
「……! か、かばんちゃん、ごめんね!」
サーバルがその言葉の意味に気付いてそう言い、すぐさまかばんにほんの少し刺さっている歯をそっと抜き、かばんから少し離れた。
「痛くない!?」
サーバルはかばんにそう聞いた。
「すこーし、痛かったかな。」
かばんはサーバルの問い掛けにそう答えた。
「ご、ごめんね! いま、かばんちゃんがあの黒セルリアンに食べられちゃった時の夢を見ちゃって……。」
かばんはそう言って泣き出したサーバルに、こう声掛けた。
「……大丈夫。大丈夫だから。」
……思い出す悪夢。
その夢は本当に《《あった》》ことなのか、これから《《ある》》ことなのか。
またセルリアンに補食されてしまう……その可能性は0%ではない。
それに、通常のセルリアン、ボクの身体すら残さず食べてしまう、そんなセルリアンがでても、おかしい事は何一つ無い。
いつだって危険はどこかに潜んでるんだから、気をつけよう。
……サーバルちゃんのためにも。
―――――――――――――――――
の の
の の
の の タイリク予告 の の
の の
の の
―――――――――――――――――
どうも。タイリクオオカミだ。
今期では私が次回予告を担当させてもらう。
今回、予習するキーワードは……「レストラン」。
ご飯や、料理等を食べる場所だな。
私も、私が描いた漫画の(名探偵ギロギロの)作中で何度か描いた事があるから知っている。
まあ、色々な種類があるな。
ファミレス、高級レストラン……良く知らんが、その他にも結構沢山ある。
まあ、私はどのレストランであっても、そこで食べれる物が美味しくて、毒などが無く、安全でさえあればいいがな。
……さてと。
次回、「れすとらん」!
次回も是非見てくれよ。
きゅうしゅうちほー続編を彷彿とさせる雰囲気がよくでている作品ですのだ

ボリュームがメガ盛りでいっぺんでは読み切れないほどの量ですのだ!!
印象に残ったシーンの感想画ですのだ
カバンたち一行に向けて突然シャウトするホホジロザメ
>> 3
1話の時点で11000文字あります
雑誌によくあるロングインタビューを軽く超えているのだ!
第2話「れすとらん」
「フレンズの皆さん。お早う御座います。今日は、とても良い天気ですね。」
そんな明るく、はっきりとした、すき通ったような声――ミライの声だ――がパーク中に響き渡り、それと同時に、夜行性ではないフレンズたちが身支度をし始め、それぞれの場所へ向かう。
街中で仲間との会話を楽しむフレンズ達も居れば、一人で黙々と、勉強に励み続けるフレンズも居る――まさに十人十色。
それぞれがそれぞれ、お互いの特性を理解しあって、寄りそう。
のけものは、本当に一匹もいない。
「そんなあの頃が、今まで生きてきた中で一番幸せだった」と、そのフレンズは、青く澄み渡る空を見つめながら、その光景を脳内に浮かべながら思った。
「さあ……行きますか。」
そのフレンズはそう言った。
そしてゆっくりと、かつ静かに、その場所へ向かって、歩き出した。
【オープニング】
広大に広がる花畑の中を、1台の“バス"が走る。その“バス"はボディが黄色く、その上にはこげ茶色の水玉模様がまるで重なり合ったり、重なり合わなかったり、さらに、そのバスの先頭につく猫のような耳が、バスに1つのデザインを見出だしていた。
その中では、8人のフレンズと、1匹のラッキービーストが乗っていた。
「それにしても、さっきは大変でしたね。」
かばんが、他の7人のフレンズに語りかけるように言う。
――時間は少し遡り。
朝。
かばんが目覚めると、外から騒がしい声が聞こえた。
かばんは窓の外を眺めた。
外には、8人のフレンズが話をしながら、座っている姿があった。
そんなフレンズ達を見たかばんが目を擦りながら、フロントへと向かう。
「オハヨウ。カバン。」
物陰から顔を出し、ラッキービーストはかばんにそう言った。
「あっ。ラッキーさん。おはようございます。」
かばんが寝ぼけながらそんな返事をすると、ラッキービーストが目を緑に光らせて言った。
「……カバン。ヤッテモライタイコトガアルンダ。」
「はい。」
かばんはラッキービーストの言葉に、そう答えた。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「うんしょ、よいしょ!」
そんな声を出しながら、かばんを除いた、サーバル、アライグマ、フェネック、アフリカオオコノハズク、ワシミミズク、タイリクオオカミ……それと、ホホジロザメの8人が、船に改造されたジャパリバスを引き上げた。
「そのまま、こっちへ!」
ズシーン!
と、その重い音が辺りに鳴り響き、それが地に降ろされる。
「これをどうするのです?」
アフリカオオコノハズクがかばんに聞いた。
するとかばんは、ラッキービーストに目を向けて言った。
「えと……ラッキーさん。 これをどうすればいいんですか?」
するとラッキービーストは、無機質な声でかばんの問いに答えた。
「コレヲ、モトノ“バス”ニモドシテホシインダ。……タシカ、バスノウシロニタイヤガアッタハズダケド。」
かばんはラッキービーストの放った“たいや”という単語に疑問を浮かべ、ラッキービーストに問い返した。
「“たいや”……って、何ですか?」
かばんが言うと、ラッキービーストは目を緑に光らせ、壁に何かを映し出し、言った。
「マルクテシカククテ、アナガアイタ、コレノコトダヨ。」
その壁に映し出された、ラッキービーストがタイヤと呼んだ物。
それは、黒く、円い形をした図太い輪っかの中に、細長い楕円の穴がいくつか空いた、白い、鉄で作られた物が入れ込まれた大きな物だった。
かばんは、それに見覚えがあった。
「あ。これなら見た事あります。」
かばんはそう言って、バスの方を振り向き、運転席の後ろ側に近づく。
「これ……ですかね?」
かばんが言って、その物を指指す。
「コレダヨ、コレダヨ。」
ラッキービーストが、ピョンピョンと無邪気に跳ねながら言った。
「……良かった。」
かばんがそう言い、胸を撫で下ろす。
「それで、これを何に使うんでしょうか?」
かばんが聞くと、ラッキービーストは“たいや”の解説をし始めた。
「タイヤトイウノハ、ジャパリバスノヨウナクルマトヨバレルモノヲ、リクノウエデウゴカスタメニツクラレタモノナンダ。」
そんなラッキービーストの説明の一文を聞き、かばんは「ああ!」と言い、自らで考えた推測を言い出した。
「つまり、これをジャパリバスに付ければ陸でバスが動かせるようになるってことですね!」
「ソウダヨ、ソウダヨ。」
そんな言葉を発しながら、ピョンピョン、ピョンピョンと、ラッキービーストが跳ねる。
「……ア。」
跳ねていたラッキービーストがまるで何かを思い出したように突然止まり、また言い始めた。
「デモ、アトタイヤハイツツヒツヨウダネ。カバン、ホカニタイヤハナイカナ。」
かばんはラッキービーストの言葉に、こう答えた。
「……ありませんね……。」
そんなかばんの言葉に、ラッキービーストは言った。
「ジャア、ミンナニテツダッテモラオウカ。」
そしてかばんは、ラッキービーストのその言葉に、コクリと頷いた。
「っていうことで、みなさん、これと同じ物を見付けて下さい。」
かばんはそう言って、タイヤを指指した。
そんなかばんの言葉に、アフリカオオコノハズクと、ワシミミズクが答えた。
「何言ってるのですか?」
「それはそこの袋の中に入ってるのですよ。」
アフリカオオコノハズクの続けてワシミミズクはそう言うと、一つの袋を指指した。
かばんはそんなワシミミズクの言葉に、袋へ近付き、それを開けた――。
――そこには、タイヤが三つ入っていた。
「これをどこで?」
かばんはそう、ワシミミズクに問い掛けた。
「ここに来るちょっと前(※12.1話「ばすてき」参照。)に、アライグマとフェネックに探すよう、命令したのです。」
ワシミミズクがはそう答えた。
そしてアフリカオオコノハズクと共にこう続けて言った。
「「我々は島の長なので。」」
そんなハモりも他所に、アフリカオオコノハズクが続けて言った。
「それで、アライグマとフェネックの二人が見付けてきたタイヤを、我々がその袋に入れたのです。」
かばんはそのアフリカオオコノハズクの言葉を聞き、アライグマとフェネック二人の居る方向を向いて言った。
「そうですか。……ありがとうございます。アライグマさん、フェネックさん。」
そんなかばんの言葉に、躍起になったアライグマは心して答えた。
「どういたしましてなのだ!」
続けてフェネックも、淡々と述べた。
「私はアライさんと同じ事をしただけだよー。」
「わ、我々には感謝はないので……」
「博士さんも、助手さんも、ありがとうございます。」
少しだけ嫉妬したのか、アフリカオオコノハズクが嫉妬したような面持ちで続けたが、かばんはアフリカオオコノハズクの言葉を遮りながら、彼女と、ワシミミズクの居る方向を見て言った。
かばんからの言葉を受け取った後に、二人は頬を赤らめてタジタジとした。
「さあ、タイヤを着けましょう。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
――とまあ、そんなこんなでバスにタイヤを着け終わった。
「ホホジロザメさん。手伝って下さって、どうもありがとうございました!」
かばんはバスの窓から、そんな言葉を発してホホジロザメにお辞儀をすると、彼女に向かって手を振った。
ホホジロザメも、そんなかばんに答えるように手を振った。
「……どう致しまして。」
――
――――
―――
「ツイタヨ。」
ラッキービーストがそんな言葉を発し、ブレーキを掛けた。
バスがゆっくりと速度を落とし、停車した。
かばんはバスが完全に停車したのを確認すると、バスから降り、その建物を見た。
「わあ!」
その建物を見て、かばんはそんな、歓喜の声を上げた。
かばんはその建物へ近付くと、ラッキービーストにこう聞いた。
「これは、なんて言う建物なんですか? ラッキーさん。」
そんなかばんの問いに、ラッキービーストはこう答えた。
「ココハレストラントイウタテモノデ、インショクテントヨバレルミセノヒトツナンダ。」
かばんはラッキービーストの言った“いんしょくてん”という言葉に疑問を持ち、ラッキービーストにこう問い掛けた。
「いんしょくてん……って、なんですか?」
ラッキービーストは、そんなかばんの問いにこう答えた。
「インショクテントイウノハ、ノミモノヤタベモノヲテイキョウスル、ミセノコトダヨ。」
「へえーっ。」
かばんはラッキービーストの言葉に頷きながら、そんな声を発した。
そして、こう続けた。
「あ、つまり、アルパカさんのジャパリカフェも飲食店ってことですか?」
そんなかばんの問いに、ラッキービーストは尾を揺らしながら答えた。
「ソウダヨ。」
かばんは、ラッキービーストのそんな答えを聞くと、ドアに手を掛けて、引いた。
「誰か、居ますかー?」
かばんはドアの横から顔を出しながらそう聞いた。
「はーい。」
そんなか細い声が返ってきた。
そんな中、かばんに他の7人のフレンズ達と出てきたサーバルが聞いた。
「どう? 誰かいた?」
「うん。でも……。」
サーバルの問いに、かばんはそう言ってその中を再び見た。
レストランの中。
……そこはまるで台風でも通ったかのように……、ぐちゃぐちゃになっていた。
キャベツはバラバラに飛び散り…….
ソースは、床にこぼれていた。
「なんですか? 何か用でもあるんですか?」
再び、奥からそんなだらけたような声が聞こえた。
そのフレンズは面倒臭そうに顔を上げた。
そして、どんどんシルエットが露になってきた――。
「用がないから帰ってくだ――……って、サーバルさん!?」
そのフレンズは、なぜかサーバルの顔を見て、彼女の名前を呼んだ。
「え……?」
サーバルは、そのフレンズが突然自分の名前を呼んで来た事に戸惑い、そんな声を漏らした。
「わ、私の事、知ってるの!?」
サーバルは自身の戸惑い、そして驚きをそんな言葉にして、そのフレンズにぶつけた。
「はい。知ってますよ。姿も、声も、表情だって。」
そのフレンズはサーバルの問いに、そう答えた。
そして、こう続けた。
「もしかして……、忘れ…ちゃいましたか? 菜々さんのことも、他の皆のことも……。」
そのフレンズはそう、悲しげに言った。
「え? 忘れたって……。それに、菜々さんって、誰の事?」
サーバルは彼女にそう聞いた。
そのフレンズはそんなサーバルの言葉に、眉を八の字にして言った。
「いえ、もう良いんです。今の話は……、忘れて下さい。」
そんな二人の会話。
かばんはこっそりと、サーバルに聞いた。
「知ってるフレンズさんなの?」
サーバルはかばんのそんな問いかけに、かばんのように小さな声で答えた。
「ううん。まったく知らない子。」
かばんはサーバルの言葉を聞くと、そのフレンズに、敢えてその話題には触れないで、こう問いかけた。
「あの……。ところであなたは、何のフレンズなんですか?」
かばんのそんな問いかけ。
その問いかけに、そのフレンズはかばんへと目を向けて言った。
「……ああ。 そういえば言うの、忘れてましたね。」
そして、こう続けた。
「私はコアラと言います。雑食です。あ、怪我とかしてたら、パップあげますよ。」
▼■■■■■▼ 双前歯目コアラ科コアラ属
■ ■ ■
■ ■ ■ コアラ
■ ■ ■
■■ ■ Phascoalerctos cinereuse
サーバルは、その名前に聞き覚えがあった。
だが、どうしても全て思い出せない。
そしてサーバルには、もう一つ気になる事があった。
「パップってなに!?」
そんな サーバルの唐突な質問に、コアラが嬉しそうに顔を上げた。
コアラさんって、けっこう表情がコロコロ変わりますね……。
かばんがそう思う最中、コアラはサーバルに、自身の腹部のポケットから、ジャパリまんが小さくなったようなものを取り出して、言った。
「これのことですよ。」
「なにそれなにそれ!」
サーバルが、コアラが取り出したそれを見つめながら聞いた。
コアラは目を輝かせながら言い始めた。
「それが実はですね! 私の……。」
コアラがそこまで言った時、ラッキービーストがとても甲高く、大きな音を鳴らし始めた。
「ボスー!」
サーバルが、コアラの声が聞こえない、といったようなトーンで、ラッキービーストにそう言った。
ラッキービーストはその、甲高くて大きな音をピタリと止めると、サーバルの方を向き、こう言った。
「ヨノナカニハ、シラナクテイイコトモアルンダヨ。」
ラッキービーストのそんな言葉に、サーバルは落ち込み、ガックリと項垂れた。
そして、そんな落ち込むサーバルに、かばんはこんな言葉を掛けた。
「サーバルちゃん、諦めよう。」
かばんは再びコアラの方に振り向くと、彼女にこんな質問をした。
「あの、ところであなたは、何をしていたんですか?」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
横浜市立金沢動物園 あかざかおにいさん(かながわ)「えー。コアラはですねー。日中から良く木に登ってまして、ユーカリなどを食べてゆったりと過ごしている、とても可愛らしい動物ですね。ちなみにユーカリには毒があるんですが、コアラは体内でその毒をも無効化する事が出来るんですよ。そこがまあ、コアラの滅茶苦茶格好いい所なんですよね。あとはー、親のコアラはお腹の袋に子供を入れて、守ったりしてますね。まあこれは他の動物にも同じようなのがいるんですけどね。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「ところであなたは、何をしていたんですか?」
かばんは彼女にそう聞いた。
彼女はそんなかばんの質問に答えた。
「あの、ここで店の営業をするために、料理を作ろうとしてたんですけど……。」
彼女の答えに、かばんは再度聞き返しす。
「それで、どうしたんですか?」
かばんが聞くと、彼女は少し眉を潜めながら言った。
「何回やっても失敗しちゃって……。文字も読めないし……。」
かばんは彼女のその言葉を聞くと、ニコリと笑みを浮かべながら言った。
「なら、ボクが料理の作り方を教えてあげますよ。」
「本当ですか!?」
コアラはかばんの言葉に、嬉しそうに笑いながらそんな声を上げた。
かばんはそんなコアラを見ると、周りを見渡して彼女に聞いた。
「調理場はどこですか?」
コアラはそんなかばんの質問に答えた。
「あ、こっちです。」
それがある場所へと向かい、歩き出した。
コアラが、カウンターの横にある扉から入り、かばんもそれに付いていくように扉から入る。
かばんは扉を閉める前に後ろを振り向き、サーバル達に声を掛けた。
「皆さんは、あそこに座ってて下さい。」
このままでは料理がままならない。
かばんは今までの経験から、それが分かった。
何故分かるかって?
それは、アフリカオオコノハズクとワシミミズクの二人が、躊躇もなくだらだらと涎を垂らしているからだ。
かばんは扉を閉めると、調理場の中を見回した。
そこには、ほぼ全ての調理器具が揃っていた。
だが、火を着けるような物がない。
かばんはその事に気付き、コアラに聞いた。
「あの、火を着けるようなものって、どこにあるんですか?」
コアラはそんなかばんの問いに、眉を八の字にして答えた。
「それが……。いくら探しても、見つからないんですよね……。」
すると、かばんの横にいたラッキービーストが、それの方向を見ながら、彼女達に言った。
「コレダヨ。コレダヨ。」
かばんはラッキービーストの向いている方向を見て、こんな声を上げた。
「これは……?」
それは、一見ただの真っ黒な四角い箱。
しかし真上から見ると、白い輪が二つ描かれ、その一方には「IH」という文字が書かれていた。
さらに、その輪の手前には、ボタンや時間などが設定できるパネルが着いていた。
かばんがそれを見つめていると、横にいたラッキービーストが言った。
「コレガ、ヒノカワリニナルヨ。」
「え……?」
予想外のラッキービーストの発言に、かばんは驚き、声を漏らした。
「ど、どうやって、使うんですか?」
たどたどしく質問を返すかばんに、ラッキービーストはいつも通りの淡々とした声で返す。
「モジヲミレバ、ダイタイワカルデショ。」
そんなラッキービーストの言葉に一度冷静になったかばんは、再びそれをしっかり見ると、頷いてコアラに聞いた。
「レシピの本を見せて下さい。」
かばんの言葉に、コアラはレシピ本を差し出した。
まず、一ページ目を開いた。
そこには、料理の基礎、厚焼き卵のレシピが載っていた。
かばんがフライパンの中心が輪の中心に来るように置き、サラダ油を垂らした。
「玉子、ありますか?」
かばんがコアラに聞いた。
コアラは彼女の言葉に、卵一ダースを手渡した。
手際よく、的確にかばんが玉子の殻を割り、ボウルへ中身を流し込む。
そんな作業を終えると、かばんはボウルへ入れた玉子に調味料を加え、味付けをした。
そして、その内のほんの少しを指にとって舐め、その味によって健康に支障をきたさないか、美味しいと感じられるような味付けであるかなどを確認した。
……味付けは完璧だった。
かばんはフライパンの底面にサラダ油が均等に行き渡るように、フライパンを何度か小さく傾けた。
そしてかばんは、割った卵をフライパンへと流し込んだ。
流し込んだ瞬間、「ジュー。」そんな気持ちの良い音がして、調理場に玉子の焼ける、とても良い匂いが広がった。
ある程度焼けたことを見兼ね、かばんはまだ生の部分が薄く残っている表面と、その裏側をくっつけるように、ヘラを器用に使って巻いた。
そして完全にその部分がくっついたことを確認すると、急いでそれをフライパンからまな板へと移し、包丁で一口分に切った。
それを切り終えると、かばんはそれを皿へ移した。
「次は……サラダですね。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「これで、この本にある料理を殆ど全て作り終わりました。」
かばんがそう言って、テーブルの上に手のひらを向けた。
コアラがノートの上に、必死になりながら作り方を絵にして夢中で描いている中、その場にいたフレンズは涎を垂らしながら、テーブルに広がる魅惑の空間に目を向けていた。
「なんなの? このすっごく良い匂い!」
「はやく食べたいのだ!」
「ダメだよー。アライさーん。」
「食欲がそそられるのです。」
サーバル、アライグマ、フェネック、アフリカオオコノハズクのそんな声が飛び交う。
「いいねえ。マンガに使える。」
タイリクオオカミが冷静そうにそんなことを口走っているが、鼻腔をくすぐられ、目の前の料理に対する欲求は、抑え切れない位高まっているに違いない。
その証拠に、喋る時、口を開ける度に、アフリカオオコノハズクや、ワシミミズクと同じ位の、とてつもない量の涎が流れ出ている。
「ねえ、かばんちゃん! これ食べてもいい!?」
サーバルがそう言いながら、一つの料理……“はんばーぐ”を指指す。
かばんはサーバルのそんな問いに答えた。
「もうちょっと待っててね。」
そしてこう続けた。
「……そろそろ出来たかな?」
かばんはそう言うと、フライパンの蓋を開けた。
そしてそこにあったものを見た。
「……よし。」
かばんはそう言うと、それを皿へ移した。
そしてその皿をサーバル達の群がるテーブルへと置く。
かばんはその料理を、ナイフとフォークを巧みに使って切った。
中から、たっぷりの肉汁が飛び出す。
……これはステーキだ。
「みなさん、もう食べてもいいですよ。」
かばんは言った。
そしてだらだらと涎を垂らすサーバル達を見て続ける。
「……でも、食べ過ぎないようにしてくださいね。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「今日は、本ッ当にありがとうございました!」
コアラがかばんに、そう言って頭を下げた。
「いえいえ、そんな。お礼を言うのはボクの方ですよ。」
かばんはコアラに言った。
「え?」
コアラはそんな疑念の声を上げた。
かばんはコアラが漏らした疑念の声に答えた。
「だって、コアラさんと会わないと、ボク、カレー以外の料理の作り方を知る事なんてなかったでしょうし。」
コアラはかばんのそんな言葉に何故か恥ずかしさを感じ、目線を左下へと向けた。
そんなコアラの行動を見ながら、かばんは続けて言った。
「レストラン、頑張って下さいね。」
コアラはそんなかばんの言葉を聞き、顔を見上げた。
かばんはそんなコアラに、優しく笑い掛けた。
コアラはかばんの笑顔に圧倒され、思わず言った。
「は……はいっ! 頑張ります!」
そんなコアラの言葉を聞き届け、かばんは言った。
「じゃあ。……ほら、皆さんも。」
かばんのそんな声に押され、他のフレンズ達も、「さようなら」と口々に言った。
かばん達は店から出ると、バスへと乗り込んだ。
コアラも店から出て、彼女らに手を振った。
かばんはそんな彼女を見付けると、バスから身を乗り出しながら手を振った。
「それでは、またいつか!」
「次に来たときは、いっぱい料理、振る舞ってあげますね!」
彼女達がそんな会話を交わしたのち、バスは発進した。
……だが、かばんは未だに気になっていた。
コアラの、最初のサーバルに対する態度に。
“サーバルさん!?”
……まるで、数年振りに会ったような声。
“覚えていますよ。姿も、声も、表情だって。”
とても、切ない声。
だが、サーバルは全く、彼女の事を覚えていない。
“ううん。全く知らない子。”
これから言うに……。
……サーバルちゃんは……。
……コアラさんは……。
そして、キョウシュウエリアで度々聞こえた、「人類滅亡」。
ミライさんの記録からしても……。
これは、なにか関係があるのかな……。
ジャパリパークって……。
……一体……?
「もしかして……。」
かばんは勘づいた。
彼女の声にサーバルは気付き、こう聞いた。
「どうしたの? かばんちゃん?」
かばんはサーバルのそんな問い掛けに、俯きながらこう答えた。
「ううん……。なんでも……ないよ……。」
「かばんちゃん、変だよ? 何か変な物でも食べた?」
サーバルはかばんにそう聞いた。
かばんは彼女の質問に、少しだけ笑みを浮かべて答えた。
「そうかも知れないね。」
かばんは、自分の推測……その内容を、絶対に信じたくはなかった。
でも、もしこの推測が本当の答えなのだとしたら――
【エンディング】
バスの中、運転をしながらラッキービーストが声を上げた。
「今日はレストランにやって来ました! 店内に入る前から、料理の良い香りが広がって……。ジュルッ」
ラッキービーストが映す映像の中では、ミライがそう言いながらよだれを垂らしているのが伺える。
「さあ、入りましょうか!」
ミライは、よだれを片手で拭いながら、もう片方の手で扉を開けた。
ミライが席に座った。
すると、横に居た1人のフレンズが、そんなミライを見て声を上げた。
「ミ、ミライさんじゃないですか!?」
そんな声を発したのは、映像から見るに先程のコアラだった。
そしてその前には、ミライが立っている。
「無事だったんですね!」
映像の中で、コアラが、彼女……ミライに言った。
「ええ。」
彼女は答えた。
「あれ? ミライさん、サーバルさんはどうしたんですか?」
映像で、コアラがそう聞いた。
だが、ミライは何も答えなかった。
「……ミライさん?」
コアラは、彼女の顔を見ようと覗きこみながら、そんな事を言い――
そこで、映像はプツリと切れた。
そんな映像を見たかばんは、こんな声を上げた。
「ラッキーさん……今のって……?」
ラッキービーストはそんなかばんの質問に、何一つ答えようとはしなかった。
……バスの中に、これまでにない静寂が訪れた。
――――――――――――――――
の の
の の
の の タイリク予告 の の
の の
の の
――――――――――――――――
どうも。
タイリクオオカミだ。
今回は羊について予習しておこう。
羊は、鯨偶蹄目ウシ科ヤギ亜科の動物であり、その体は羊毛と呼ばれる毛で包まれている。
ヤギ亜科……だから、もしアミメキリンが、「あなたは、ヤギね!」と言っても、決して間違ってるとは言えないな。
さて……。
次回、「おかちほー」。
それじゃあ、この言葉で締めよう。
「あなたは、ヤギね!」
あ、あははっ。
……言ってみたものの、あまり似てなくて恥ずかしい……。///
じ、次回も見るんだぞっ!///
じゃあなっ!///
れすとらんでのコアラの謎の料理!
そしてサーバルの世代交代の謎がチラリ
あと誰かの卵・・・
※ハンバーグは謎肉なので問題ないです
※卵は無精卵です
安心安全の食べ物ですのだ
更新の前に。Pixiv版にて、こちらで載せたものをさらに加筆及び修正もしております。よければそちらの方もご覧ください。
「……げ……!」
黒く、大きな塊が、パークに猛威を奮う。
「にげ……!」
その映像の撮影者は、必死に逃げ惑う人々を誘導しながら、その塊を見つめ続けた。
「げて……!逃げて……!」
その塊が巻き上げた砂が、画面を一瞬で埋め、その瞬間に音は一切聞こえなくなり、光は消え、その映像は暗闇の中へと沈んで行った。
【オープニング】
「キ、キィーーーーーーーーーーーーーーッ!」
そんな、甲高く、大きな音を立てながら、バスは緩やかに停車した――遠くにある草むらの中、何者かがその音に驚いて遠退き、その草むらがザワザワと音を奏でる。
「ココデスコシ、キュウケイシヨウカ。」
ラッキービーストは、車体が完全に停車し、辺りが静かになった事を確認すると、かばん達の居る方向を向いてそう言った後、バスを降りた。
「ここは、なにちほーなんですか?」
かばんはラッキービーストの後を追うようにバスを降り、辺りを見回しながらラッキービーストに問いかけた。
ラッキービーストは、なにやら車の前を開けながら答えた。
「ココハ、オカチホーダヨ。スコシダケヒョウコウガタカイチホーデ、ソウショクドウブツヤザッショクドウブツノフレンズガオオイケド、マレニニクショクドウブツノフレンズモイルカラ、サガシテミルノモオモシロイカモネ。」
「へぇー!」
嬉々としてかばんは再び辺りを見回すも、ラッキービーストの行動に目を向け、少しだけ困惑した表情で問いかけた。
「え、えっと……。何をしてるんですか?」
ラッキービーストはかばんのそんな疑問に、彼女に身体を向けて答えた。
「バスハタマニ、テンケンヲシナイトイケナインダ。ウミヲワタッタアトダシ、サビガデキテソノセイデウゴケナクナッテモコマルカラネ。」
「あ、この前のタイヤを付け替えた時には、特に点検はしてなかったんですね?」
「イマハスコシダケ、ヨユウモアリソウダカラネ。」
ラッキービーストの言葉を聞き終わると、かばんはサーバルが顔を出しているバスの扉へと目を向けた。
「サーバルちゃん、なにをしようか?」
かばんはサーバルに聞いた。
「なんだかさっき、音が聞こえたから、そこに行こうよ!」
サーバルはそう言って、草むらの真っ只中を指指した。
確かに、草むらの中で何かが動いているのが、草の様子から伺える。
「うん!そうしよう!」
かばんはそう、彼女の言葉に答えた。
「アライさんも付いていくのだ!」
アライグマが言った。
「じゃあ私も付いていくよー。」
アライグマに続けて、フェネックがそう言った。
そして、そんな二人に続け、
「我々も付いていくのです。」
「そうするのです。我々は、島の長なので。」
アフリカオオコノハズク、ワシミミズクもそう言った。
そして彼女達は歩き出した。
「テンケンガオワッタラマタシュッパツスルヨ。ダカラ、ソノトキマデニハモドッテキテネ。」
ラッキービーストは、彼女達の去り際に言った。
「わかりました!」
かばんはラッキービーストの言葉にそう答えた。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「うーん。たしか、ここら辺から音がした……はずなんだけど……。」
サーバルがそう言って、草むらを掻き分けながら、辺りを見回す。
「博士、助手。何かあったー?」
サーバルは空を飛ぶ二人にそう聞いた。
「いや、何も無いのです。」
「ここからは何も見えないのです。」
二人はそう答えた。
続いてサーバルは、アライグマとフェネックの居る方向へと身体を向けて、彼女達に聞いた。
「アライグマー。フェネックー。そっちはどう?」
「何も見つからないのだ。」
アライグマはサーバルの問いに、そう答えた。
「私も何も……」
フェネックも答えたが、途中で言葉を止めて、再び口を開いた。
「ん? なんだろう。この白い糸の塊。」
フェネックはそう言うと、草むらから顔を出す、その白い糸の塊に触れた――
「ぴゃああああああああああああああ!」
そんな悲鳴がおかちほー全体に響き渡り、周りに居た野生の鳥達が、一斉に飛び立った。
そして、そんな悲鳴を聞いて驚いたアライグマが――、
「なな、な、なんなのだぁぁぁあああああ!?」
――連鎖的に悲鳴を上げた――。
――が、そんなアライグマの肩にフェネックは手を置いて、目の前にいるフレンズを指差しながら言った。
「アライさーん。大丈夫だよー。怖いものじゃないから。」
アライグマは震える身体を落ち着かせると、そんなフェネックの言葉に、少し怯えた声色ながら問い返した。
「じゃ……じゃあ、一体あの声は何なのだ?」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「す、すみまひぇん! 私……、驚かせてしまって。」
白く、フサフサの毛を纏ったフレンズが、アライグマに頭を下げながら言った。
そして、そんなフレンズの目の前を、7人のフレンズが、彼女を暖かい目で見つめながら――前1列のアライグマ、フェネックを始めとして、その後ろの1列には、かばん、サーバル、タイリクオオカミ、その上をアフリカオオコノハズクとワシミミズクの二人が飛びながら――並ぶ。
アライグマはそんな彼女の言葉に、若干ゃ慌てた表情を見せながら謝った。
「つ、次からは気をつけるのだ!」
フェネックも同様、そんなフレンズを見つめながら言う。
「まあ、私が尻尾を握った(ホントは鷲掴みなんだけどね)ってのものも原因だと思うしさー、そこはごめんねー。」
そしてアライグマは、フェネックがそう言い終わった事を確かめると、そのフレンズにこう問いかけた。
「ところで、お前は誰なのだ?」
そんなアライグマの言葉に、そのフレンズは自身の真っ白な髪をいじりながらこう答えた。
「ああ、そういえば。……私はサフ。サフォークっていう、羊のフレンズです。」
▼■■■■■▼ 鯨偶蹄目 牛科 ヤギ亜科 羊属サフォーク
■ ■ ■
■ ■ ■ サフォーク
■ ■ ■
■■ ■ Suffolk seep
彼女の言葉にサーバルが言った。
「サフちゃん、よろしくね!」
そして、そんなサーバルの言葉に続く様に、他の四人が言った。
「サフさん……よろしくお願いします。」
「よろしくなのだ!」
「よろしくねー。」
「よろしくな。」
挨拶が終わると、アフリカオオコノハズクが「ところで」と言い、それに続けるように、ワシミミズクが言った。
「お前は一体、ここで何をしてたのですか?」
サフォークは、アフリカオオコノハズクとワシミミズクの言葉に、こう答えた。
「ああ……実は、家の場所を忘れちゃって。探してたら、貴方達の乗った、バス?が来て、驚いて……」
かばんは彼女の言葉を聞くと、それを遮るように言った。
「要するに、家に帰りたい……ってことですね?」
そんなかばんの問い掛けに、サフォークは答える。
「はい。」
かばんはサフォークの答えに、少し考えたのちに言った。
「それなら、ボク達も手伝います。でも、家が分からないとボク達も探せないので……家の特徴は覚えてますか?」
サフォークは答えた。
「うーん。四角い部屋が2つで、入り口がある方の部屋には三角の屋根があって……。すみません。ここまでしか……。」
サフォークの言葉を聞いたかばんは、アフリカオオコノハズク、ワシミミズクの二人に言った。
「博士さん、助手さん。今、サフォークさんが言った特徴と似ている家を探して来てくれませんか?」
「分かったのです。」
アフリカオオコノハズクは言った。
そしてこう続けた。
「でも、今度“ろーるけーき”という物を作ってくれると約束するのです。」
かばんは若干困りながら答えた。
「今度、ラッキーさんに作り方聞いてみますね……;」
かばんの答えを聞くと、アフリカオオコノハズクは満足気に微笑みを浮かべ、“助手”であるワシミミズクと共にサフォークの家を探す為、飛び去っていった。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
数分が経つと、アフリカオオコノハズクが戻ってきた。
「どうですか? 何かサフさんの言ったような特徴の家はありましたか?」
かばんはアフリカオオコノハズクにそう聞いた。
そして、そんなかばんの質問に、アフリカオオコノハズクは答えた。
「あったのです。」
「そうですか。」
かばんはそう相槌をうつと――もう一人……ワシミミズクがいない事に気付き、彼女に続けて問い掛けた。
「……あれ? 助手さんは……?」
アフリカオオコノハズクは答えた。
「あいつはその家がある所で待たせているのです。案内してやるから着いてくるのです。」
そして、彼女はその場所へ向かい、ゆっくりと羽ばたき始めた。
「着いたのです。」
アフリカオオコノハズクはそう言うと、飛翔するスピードを遅めて地上へと降り立った。
「着いたのですか。博士。」
ワシミミズクがアフリカオオコノハズクに行った。
「ええ。着いたのです。ミミ……/// ゴホン。助手。」
アフリカオオコノハズクが一瞬言い間違えたようだが、二人とも微笑を浮かべているので悪い話ではないだろう。
「そうだ。家って……。」
かばんはそう呟くと、その家がある方向を振り向いた――。
「……へ?」
――そこには、サフォークの言った特徴と一致する住居が、何百軒も並んでいた。
「おお……これ全部がサフの家なのか?」
「多すぎるのだあーっ!」
タイリクオオカミとアライグマが、それを見るやいなや、そんな声を上げた。
「ち、違いますよ! 私の家はこの中のどれかです!」
サフォークは言った。
「なるほど……それで、どの家なんですか!?」
かばんは聞いた。
「えー……っとー。」
サフォークはそう言いながら指を指して辺りを見回し――。
「どれでしたっけ……。」
――そう呟いた。
「どうやって探すんですかぁーっ!」
そんなかばんの叫ぶ声が、大空に響いた。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
とある農場 ぶらいあんおにいさん(ぶらじる)
「Suffolk é uma ovelha criada principalmente para o consumo de carne de ovelha, é claro, é mantida com a finalidade de colher lã, etc.Meu rosto é preto como carne queimada e, ocasionalmente, não sei onde estão meus olhos.Suffolk é muitas vezes tratado em numerosos trabalhos de mídia, e falando em sua obra-prima, este é Suffolk, que é fácil de desenhar imagens em cores em um tipo que está aparecendo em "Sheep in Sheep".
Além disso, Suffolk é ...」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
「―――――――――――――――――
「どうやって探すんですか~っ!」
かばんがそう、大きな声で叫び、その声は目の前に広がるいくつもの建物に何度もこだまして響いた。
「……あ。」
サフォークが呟いた。
そしてそんなサフォークの呟きにかばんは気付き、こう聞いた。
「何か、思い出しましたか?」
彼女はかばんのその質問に、こう答えた。
「はい。……確か、何かの絵が描かれた看板が有ったと思います。」
かばんは聞いた。
「……絵?」
「はい。」
サフォークは頷いて言った。
かばんはサフォークの答えに、更にこう聞いた。
「どんな絵ですか?」
サフォークは答えた。
「確か、上の先端が左に折れ曲がった縦の棒が二つと、その真ん中に縦に伸びた輪があったと思います。」
かばんはそんなサフォークの言葉を聞き、その形を思い浮かべた。
「上の先端が左に折れ曲がった縦の棒……その真ん中に縦に伸びた輪……?あっ!分かりました。」
「へ?」
サフォークは突然のかばんのそんな言葉に、疑念の表情を浮かべた。
「それってきっと、数字の“101”ですよ。つまり……。」
かばんは言った。
そして続けた。
「部屋にはそれぞれ番号が振り分けられていて、サフォークさんの部屋の番号は“101”なんです!」
サフォークは思わず「何を言っているんだろう。この人は。」とでも言わんばかりに眉をひそめた。
そして彼女は口を開き、その疑問をかばんへと投げ掛けた。
「すみません……。何が何だか……。」
そんなサフォークの問い掛けに、かばんは言った。
「分からなくても良いです。まずは何か、他に手掛かりがないか探しましょう!」
サフォークはため息を漏らしながら言った。
「はあ……。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「ありました。……これ、部屋の番号が書かれている看板です。」
かばんはそう、その看板に指を指しながら言った。
他の七人のフレンズが、その言葉を聞いて彼女へと駆け寄る。
かばんは全員が近くに来たことを確認すると、その看板に指を指しながら話し始めた。
「まず、今場所がここなので……。」
かばんは赤の矢印が指している方向を指した。
その前方には、複数の数字が並んでいる。
左から、10を数える毎に一つずつ、0から500まで。
「ここが……250と260の前なので、左の方向に進んで行けば、サフォークさんの家は見つかると思います。ただ……。」
かばんは息を飲み込んで続けた。
「……遠い……、ですね……。しかも、明確な数字が書いてません……。」
かばんはガクリと落ち込んだ。
すると、そんなかばんに、サーバルが突然、こんな提案をした。
「とりあえず、行ってみたら良いんじゃないかなあ?」
かばんはサーバルの突発的な提案に微笑を浮かべながら答えた。
「そうだね。」
かばんは看板から目を離すと、7人のフレンズ達の居る方向を向いて言った。
「とりあえず、この看板の“100”の数字の列がある辺りまで行ってみましょう。」
かばんはその方向に指を指した。
周りのフレンズ達は頷き、その方向へと歩き出した。
かばんは頭を抱えた。
そんなかばんの様子に気づいたサーバルが、彼女に向かって振り向いて、他の六人に「ちょっと待って」と声を掛けて止めると、そんなかばんに向かって大きな声でこう声掛けた。
「かばんちゃーん! 早く来ないと、置いてっちゃうよー!」
そんなサーバルの言葉に気付き、かばんは苦悶の表情を隠して笑顔を作ると、彼女と他の六人のフレンズにこんな声を掛けながら、離れ行く彼女達の背中を追いかけて行った。
「みなさん、待って下さいよー!」
かばんが彼女達に追い付くと、軽い笑い声が辺りに響いた。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
――数分後。
「うう……。」
かばんが息を荒げながら歩き続ける。
「ちょ……、ちょっと……。待って下さい……。」
かばんはそう言うと立ち止まった。
あれから何メートル程歩いたのだろうか。
やたらと登り坂が多く進みずらい道。
こんなに進みずらい道を、ミライ達は歩いたのだろうか。
あのサーバルであってもへとへとなのだ。
何か、別の移動手段で移動していたのではないだろうか。
「そういえば、ばすの点検は終わったんでしょうか……?」
かばんはふと、そんな考えを口にした。
すると、そんな時だった。
「オワッタヨ。」
突然草むらから飛び出してきたパークガイドロボット……、ラッキービーストが、そんな声を上げた。
かばんはその声に気付くと、ラッキビーストに言った。
「ラッキーさん……! どうしてボク達がここに居ると分かったんですか!?」
ラッキービーストは答えた。
「オモッタヨリモテンケンガハヤクオワッテ、コッソリツイテキテタンダ。サフォークノジュウキョヲサガシテイルヨウダッタシ、ボクモキョウリョクシヨウトオモッテネ。バスモモッテキタヨ。」
ラッキービーストは言い終えると、瞳を緑に光らせた。
その瞬間、いつも通りの黄色く、猫耳のついた茶色の水玉模様のバスが、茂みの中から顔を出した。
「ありがとうございます。ラッキーさん。」
かばんはラッキービーストに、そう言いながら頭を下げた。
「ドウイタシマシテ。」
そんな、無機質な声が、ラッキービーストから返ってきた。
だが、その声はやけに嬉しげだった。
かばんは他七人のフレンズ達と共にバスへと乗り込んだ。
彼女はラッキービーストのいる運転席の近くの座席に座ると、ラッキービーストに言った。
「101号室の前までお願いします。」
「ワカッタヨ。」
ラッキービーストはそう答えた。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「ツイタヨ。」
ラッキービーストが言った。
かばんがふと窓の外を見ると、そこには“101”という数字を型どられた看板が、一つの部屋の入口にピタリと設置されている光景が伺える。
「ここです! ここここ!」
サフォークは嬉しそうに微笑みながら、そんな声を上げた。
まるで、お菓子を買って貰う幼い子供のように。
彼女はバスから飛び降りた。
「~~♪ ~~~♪ ~~♪」
鼻歌が聞こえる。
そんな中、かばんはやや彼女を追いかけるように、急いでバスから降りた。
サーバルもそれを追うようにその後を行く。
するとそんな時、その場を通りかかった一人のフレンズが声を上げた。
「あれ、誰かと思ったらサフォークじゃん。」
サーバルはそのフレンズを見て一番に言った。
「ああっ! また見たことのないフレンズが居るよ!」
そして彼女は、続けてそのフレンズに聞いた。
「君は誰? 何のフレンズなの?」
かばんもそんな彼女の問いに重ねるように、そのフレンズに聞いた。
「あなたはなんのフレンズなんですか?」
そのフレンズは二人に向かって振り向くと、その問いに対しこう答えた。
「私はホルスタイン。名前が名前だから、好きに呼んでくれていいですよ。」
▼■■■■■▼ 鯨偶蹄目 ウシ科 ウシ属
■ ■ ■
■ ■ ■ ホルスタイン
■ ■ ■
■■ ■ Holstein Friesian cattle
彼女はその言葉を続けた。
「ところで……、あなた達は?」
「あ、すみません。(また忘れてた……。)」
かばんはそう答えると、続けて言った。
「……ボクはかばん。“元”ヒトのフレンズです。」
ホルスタインは聞いた。
「元……とは?」
すると、そんなホルスタインの問いに、サーバルが答えた。
「ああ、かばんちゃんは《《元》》はヒトのフレンズだったんだけど、いろいろあってフレンズじゃなくなっちゃったんだ!」
ホルスタインは言った。
「それって……。普通にヒトってことになりません……?」
サーバルは答えた。
「うーん。どうなんだろう? わっかんないや!」
辺りに静寂が訪れた――。
「サーバルちゃん、自分の紹介忘れてるよ。」
かばんがサーバルに囁いた。
「あ、そういえば!」
サーバルはそう言うと、続けて言った。
「私はサーバルキャットのサーバルだよ! 宜しくね!」
そんな二人の自己紹介が終わると、他の五人も彼女達と同じように、自己紹介をし始めた――。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「ところで、そろそろ日が落ちて来ましたね。」
かばんが言った。
気付けば辺りは、夕凪の美しい橙色に染まっている。
「ソレジャアキョウハ、ココニトマロウカ。」
かばんの言葉を聞き、ラッキービーストが言った。
かばんはそんなラッキービーストの言葉に、とある疑問を覚え、聞いた。
「ここって泊まれるんですか?」
ラッキービーストは答えた。
「ココハモトモト、シュクハクシセツダッタカラネ。セイビモシッカリシテイルシ、アルテイドハカイテキニスゴセルトオモウヨ。」
「そうなんですか。」
かばんは頷いた。
「それじゃあ、今日はここに泊まりましょうか。」
かばんは言った。
ラッキビーストはかばんのそんな言葉を聞いて、こう言った。
「ソレジャア、ヘヤハフタツトッタホウガイイネ。103ゴウシツト108ゴウシツヲアケテオクヨ。ヘヤヲムカイアワセテオイタホウガアスシュッパツシヤスイダロウカラネ。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
――翌朝。
「こーけこっこぉー! 起きて下さい! 朝ですよー!」
そんな、やや間抜けたようなフレンズの声が聞こえ、かばんは起きて部屋のドアを開けた。
かばんが目を擦りながらを前を見ると、アフリカオオコノハズク達が泊まっている部屋の前に、真っ白な羽を纏ったフレンズが見えた。
「あさ……。」
かばんは呟いて空を見上げた。
ライトブルーがどこまでも、果てしなく続いている光景が見える。
今日は雲一つ無い晴天だ。
白の羽を纏ったフレンズは、大きな声で言った。
「こーけこっこぉー……あれ? 見たことのないフレンズがいる~!」
彼女はかばんを見付けると、かばんに近づき、その身体をジロジロと見回した。
「な……なんですか……?」
かばんは言った。
すると、その瞬間彼女は顔を上げて言った。
「私はアヒル! ニワトリ先輩に憧れて、ここの目覚まし時計の役割を担ってるんだ!」
▼■■■■■▼ カモ目 カモ科 マガモ属
■ ■ ■
■ ■ ■ アヒル
■ ■ ■
■■ ■ Domestic Duck
「は……、はあ……。」
かばんは困り顔になりながら言った。
そんなかばんに、彼女は聞く。
「きみ、何のフレンズ? ここでなにしてたの? 名前は? おうちはどこ?朝おこしてあげるよ!」
「え……ふえええええええ!?」
かばんは戸惑ってそんな声を上げた。
寝起きだと言うこともあり、未だこの状況に混乱している。
「こら、アル。お客さんを困らせちゃダメですよ。」
部屋から出てきたホルスタインが言った。
「はーい。」
アルと呼ばれたフレンズが、彼女の言葉にそう答え、かばんから遠のく。
「すみません。あの子、好奇心旺盛で……。」
ホルスタインは言った。
「いいんです。フレンズは十人十色、ですからね。」
かばんはそう答えた。
ガチャリ、と音がし、扉中からアフリカオオコノハズクが出てくる。
その反対側にある扉も開き、そこからサーバルが出てきて言った。
「何なの~? 今の声?」
アフリカオオコノハズクも、ほぼ同時に言った。
「全く……。何なのですか……?」
かばんはホルスタインと目を合わせると、微笑しながら言った。
「そろそろ行きますね。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
サーバルがバスに乗り込むと、かばんもそれを追うように乗り込む。
かばんはバスに乗り終えると、窓から顔を出し、手を振りながら言った。
「それじゃあ、また!」
数秒が経った後、バスはゆっくりと動き出した。
【エンディング】
「次はどこに向かってるんですか?」
かばんがラッキービーストに聞いた。
「デンチノザンリョウガ、ソロソロナクナッテキタカラネ。キョウキュウヲシタイカラ、マチヘムカウヨ。」
ラッキービーストがそう言って、胸元のデバイスから、バスに入っている電池の様子を映し出す。
かばんがそれを見ると、緑の横線が四つ姿を消し、残りの一本は緑色から赤色へと色を変えている。
かばんは前を見た。
気付くと、広大な河川が目の前に広がっている。
「ら、ラッキーさん! 危ないですよ!」
かばんは言った。
「ダイジョウブダヨ。コノカセンニアルハシハ、バスガトオッタトキニジドウデ、ジメンノシタカラセリアガッテクルヨウニナッテイルンダ。」
ラッキービーストはそう答えた。
「そうなんですか……。」
かばんは頷いた。
みるみるうちに、バスは河川へと近付いていく――。
――バッシャーーーーーーーーーン!
――――――――――――――――
の の
の の
の の タイリク予告 の の
の の
の の
――――――――――――――――
どうも。
タイリクオオカミだ。
今回は「泳ぎ」について予習しておこう。
「泳ぎ」――すなわち“水泳”は、人間もしくはその他の動物が水面、水中にいる際に使う移動手段で、スポーツ等にも用いられたりする。
そのスポーツの一つとして、「競泳」がある。
「競泳」というのは、複数の選手がそれぞれ得意な泳ぎ方で泳ぎ、そのタイムを競う……まあ、一言でいえば、一番泳ぎの速い人を決めるスポーツだな。
他にも……
次回、「かせん」
サフォークというといわゆる
ヒツジのショーン的なイメージなのだ
ヒトのいなくなったパークに
まだ何百軒もの建物が残っている風景が幻想的ですのだ
4話加筆修正に手間取ってて遅くなるかもです
と思ったら意外と早く修正終わったんで早めに投稿します。
6時ごろがいいかな?
仮眠取ろうとしたら熟睡してしまった……とりあえず今から投稿します
バッシャーーーーン!
そんな音を立てて、バスがガクンと傾き、前方を川へ落として停車した。
大量の水しぶきが河川から飛んで空を舞い、一部はバスの中に、それ以外は元の場所へ向かって落ちていく。
「アワワ、アワワ、アワワワワワワ……」
ラッキービーストが慌てて、そんな声を上げた。
「ど、どど、どうしたんですか!? 一体何が!?」
頓狂な声を上げたかばんが、バスの運転席へと身を乗り出してラッキービーストに聞く。
「バババ、バスガ、アワワワ、アワワワワワワワワワワワ……」
「ラッキーさんまでー?!」
【オープニング】
大量の水がしぶきとなって空を舞い、散った水がバスの中へとどんどん入り込んでくる。
「どどどどど、どうしたんですか!? 一体何が!?」
「何が起こったのだぁぁぁーーーっ!?」
つい先ほどの衝撃に、バスの中は徐々に混乱で埋め尽くされ、かばん達一行は揃いも揃って頓狂な声を上げた。
ラッキービーストはそんなかばんの問いかけに気付くと、アワワ、アワワワワなどという声を止めて、その問いかけに答えた。
「ハシガジメンカラセリアガッテコナカッタカラ、バスノシャタイゴト、カワノナカニハイッテシマッタンダ。」
「え、でも、自動で地面がせりあがって来るはずじゃ……!」
かばんは呟くように言った。
「ドウヤラシステムエラーガオキテイタヨウダネ。オカゲデジメンガセリアガレナカッタンダ。」
ラッキービーストは答えた。
そんなラッキービーストの答えに、かばんは言った。
「それじゃあ、そのシステムエラーを直しちゃえば……。」
だがその言葉を遮るようにラッキービーストは言った。
「ソレハデキナインダ。」
「え……?」
かばんは疑念の声を上げた。
「システムエラーノシュウフクニハ、ハシノシュウリヨウプログラムガヒツヨウナンダ。ボクハハシノシュウリヨウプログラムガソナワッテイナイコタイダカラ、シュウリスルコトハデキナインダ。」
ラッキービーストは答え、続けた。
「ソレニ、シュウリヨウプログラムヲインストールスルニシテモ、スデニゴコクエリアノデータシュトクトココマデノキロクニ、カナリノヨウリョウヲツカッチャッテイルカラネ。インストールモムズカシイヨ。」
「はあ……。」
かばんはラッキービーストの言葉を聞くと、疑念と困惑が入り混じるそんな声を漏らした。
あまりにも言葉が難しすぎて、言っていることはかばんにはあまり理解出来なかった。
だが、恐らくラッキービーストが言った言葉は、「無理だ」だという理解の仕方で誤りはないだろう。
「じゃ……、じゃあ……。何か他に手は……。」
酷く戸惑い、慌てふためきながら、辺りを見回すかばん。
何か思いついたのか、彼女はフレンズたちを見て合点が言ったかのように手をポン、とする動作した後、嬉々として話し出した。
「……そうだ。力持ちのフレンズさんに、向こうまでこのバスごと運んでもらうとか……。」
そんなかばんの提案に聞き耳をたてたのか、サーバルが耳をピクンと震わせてかばんのいる方向へと目を向けて手を挙げた。
「それなら私、出来るよ!」
サーバルの言葉にかばんは彼女のほうを一瞬振り返ると、ラッキービーストの方へ半分ほど向き直りながら言った。
「そ、それじゃあサーバルちゃんが……。」
「ムリダトオモウヨ。」
――が、そんなラッキービーストの言葉に、かばんの提案は遮られた。
「え? なんでー?」
サーバルが不思議そうな顔を浮かべながら、そんな疑問を声に出す。
すると、そんなサーバルの問いに答えるように、ラッキービーストは言った。
「サーバルノジャンプリョクデハ、ココカラムコウギシマデノキョリヲジャンプスルコトハ、ケイサンジョウデキナインダ。」
少しだけ間を空けて、ラッキービーストは続けた。
「ダイイチニ、モシモサーバルノジャンプリョクデムコウギシヘワタレタトシテモ、アンゼンニワタレルトハカギラナイヨ。ソレト、ココニイルミンナノチカラヲアワセタトシテモ、タリナイカモシレナイネ。」
「もし私と助手が空の方向にちょっと手助けしたとしても、流石にキツそうなのです。」
「なのですです。」
「そうなんですか……。」
少しだけ落ち込んで、かばんは俯いた。
そして再び考えた。
何か他に、川をバスごと渡る手段はないかと。
――そんな時だった。
バスの目の前、その水の表面がボコボコと形を変え始めた。
かばん達はその異変に気付き、その水の中を覗き込んだ。
「なんだろう……?」
「なになにー?!」
「なんなのだー?」
すると突然、一人のフレンズが水を纏いながら、水中から勢い良く跳躍し――空に舞った。
「な……何!?」
サーバルが驚きの表情を浮かべながらそう叫び、そのフレンズを見上げる。
そのフレンズは逆光に纏われ黒く見え、表情こそはあまり良くは見えなかった。
だが、なんとなく緑色をしていると、サーバルには分かった。
そしてそんなフレンズは彼女達が居ることに気付くと、驚き、慌てて空中でもがき始めた。
「危なぁ~いっ!」
フレンズは言った。
やがてそのフレンズの飛ぶ力は衰え、ゆっくりとスピードを落とし、かばんへ向かって落ちていった。
かばんはそのフレンズが自分の立っている場所に落ちる事に気が付き、驚いて悲鳴を上げた。
「う……うわあああああ!」
「どいて~っ!」
そのフレンズは慌ててそんな声を上げた。
だがそのフレンズがそんな言葉を放った時、かばんとそのフレンズの距離は既に1mを切っていた。
そして。
――次の瞬間、そのフレンズはかばんの足元数mm手前に着地し――
――勢い余って、かばんが避ける間もないまま、そのフレンズはかばんに覆い被さるように、巻き込んで倒れ込んだ。
「わあああああああ!」
かばんは突然の出来事に、驚きのあまり頓狂な声を上げた。
――その時、かばんの背中……そこにかかっている鞄は砂利だらけの川岸に衝突した。
鞄のお陰でかばんは怪我こそはしなかったが、もの凄い速さでぶつかる、という、その恐怖で一瞬意識が遠退いた。
「かばんちゃん、大丈夫?!」
慌てて、サーバルが駆け寄る。
かばんはふと気付くと、自身の身体の上に横たわるフレンズを見つめ、彼女の肩をポンポンと叩いた。
「ボクは大丈夫だよ。でもこの人は……えーと、…だ……、大丈夫ですか……?」
サーバルの心配に応えつつ、かばんは自身の身体の上に横たわるフレンズに、そう声がけた。
彼女はゆっくりと目を開けると、「やってしまった……!」とも言いたげな表情で取り乱しながら答えた。
「す、すみません!わわわ、私も大丈夫です!」
そのフレンズは答えると、上体を起こしてかばんの前に正座して座り込んだ。
「良かった~!」
サーバルは言った。
「ボクの後ろのが丁度良くクッションになってくれたからね。」
かばんは呟いた。
「本当に、すみませんでした……。」
一人のフレンズは言った。
「いえいえ、大丈夫ですって。……あのくらい、サーバルちゃんとあった時にありましたし。」
かばんは答えた。
「私……カッパって言うんです。……私、魚を追いかけるの好きで……。魚を捕まえる遊びをしていて……。……夢中になりすぎて……、あんな事に……。」
▼■■■■■▼ 未確認生物
■ ■ ■
■ ■ ■ カッパ
■ ■ ■
■■ ■ kappa
そのフレンズ……カッパはそう言うと、顔を赤らめ始めた。
それが何故かは……言うまでもないだろうが、先程倒れ込んだ際に、かばんの顔と自分の顔同士の距離がとてつもなく近くなっていたから……という理由である。
だが、かばんはそれに気付く事は無かった。
倒れた時の恐怖で、それに気付く余裕が彼女には無かったのだ。
「な、なにかお礼……いやお詫びの品を……。」
カッパが言葉を間違えながら言った。
「だからいいですって。」
かばんはカッパの言葉にそう答えた。
「……いえいえ。……そうだ、泳ぎ方でも教えましょうか。」
カッパは言った。
「今はいいですよ!」
突然の水泳練習の提案に、それどころの状況じゃないかばんと一行は、真っ向からその誘いを断る。
それに続いてかばんは思いついたように声を上げた。
「……そうだ。このバスを向こう岸まで持って渡れますか?」
「あっ、やってみます!」
カッパはかばんの問いにそう答えると、バスの車体に手を掛けた。
「動かしますね!」
カッパはそう言うと、後ろへ一歩踏み込んだ。
ズシーーーーン!
「動きました! その調子です! カッパさん!」
かばんはそう言うと前方を見た。
「……あれ?」
だがそこに、このバスを動かしているはずのカッパの姿はなかった。
その姿が見えないまま、数秒が経過した。
かばんは運転席からカッパがいるであろう場所を覗き込んだ。
――すると。
「ぶは……っ! すみませn……無理です~っ!」
カッパがそう言って、水面から顔を出した。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「すみません……。力になれなくて……。」
カッパが俯き、申し訳なさそうに眉を八の字に傾けながら言った。
かばんはそんなカッパに、ニコリと笑い掛けながら言った。
「いえ。問題ありません。全然大丈夫ですよ。」
「で、でも……。」
カッパは呟いた。
結局あのあと、バスが沈み掛け、カッパはそんなバスに押し潰されそうになった。
バスはかばん達のお陰で引き上げられたが、そんな彼女達を向こう岸へ渡せなかった事、更にその上に迷惑までかけてしまった事に、カッパは責任感を感じていた。
するとそんなカッパの考えを逆転させるように、かばんは呟いた。
「本当はここに、橋がせりあがってくるはずなんですから。」
「……橋?」
カッパは呟いた。
そんなカッパの呟きに、かばんが答えた。
「はい。」
「それなら、上流の方にもあったと思います!」
カッパは言った。
「本当ですか!?」
かばんはカッパの言葉に、目を輝かせながら言った。
「モウヒトツノハシハ、ケイコクチホーニアルタキノチカクニアルヨウダネ。コノカワヲワタルニハ、ソコマデイドウシナイトイケナイヨ。」
ラッキービーストはそう言うと、バスを旋回させ始めた。
「途中に私の家が在るんで、私、その辺までだったら案内しますよ。」
カッパは言い、小さめの声で続けて言った。
「……魚を、捕まえながら。」
「……ラッキーさん。」
かばんは呟いた。
「カノジョノアンナイニシタガッテ、セイキルートデハナイミチヲハシルヨ。」
ラッキービーストは言った。
カッパは川へ飛び込み、水面から顔を出した。
「出発してください!」
「デモソノマエニ、バスヲイチドヒキアゲナキャダネ。チョウドココニイルゼンインガキョウリョクシタラモトニモドセルカモシレナイネ。」
「じゃあ、みんなで引き上げよう!」
ラッキービーストの言葉を聞くや否や、かばんはその場にいるフレンズ全員に声がけた。
「おー!」
「私も協力します!」
カッパもかばんの言葉に答えるように言い、再び水中へ身体を沈めて泳ぎ出した。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「水、綺麗になってきましたね。」
かばんが、カッパの泳ぐ川の水を眺めながら言った。
「ジョウリュウニチカヅイテキタカラネ。モウシバラクジョウリュウヘチカヅイテイッタラ、ミズガトウメイニ……スケテカワノナカガミエルヨウニナルヨ。」
ラッキービーストが、かばんの言葉にそう答えた。
「へえーっ。」
かばんはラッキービーストの言葉を聞いて、川を眺めながら頷き、そう呟いた。
「……ん?」
かばんがそのまま川を眺めていると、1人のフレンズが視界に入った。
「ラッキーさん。一旦停めてください。」
かばんはラッキービーストに言った。
「ワカッタヨ。」
ラッキービーストは答えると、バスを停車させた。
カッパはその事に気付くと、泳ぐ事を止めて岸へ上がった。
かばんはバスを降りた。
「どうしたの?」
川岸へ上がり、バスへ近付いてきたカッパが、バスを降りたかばんに聞いた。
「いえ……。あのフレンズさんが……。」
かばんは答え、そのフレンズを指さした。
カッパは、かばんの指さしたそのフレンズを見た。
彼女はやや大柄の体のフレンズだった。
耳は円く、それを含んだ髪は黒く。
川を見ながら屈み込んで、時々その水面を手で打つ。
カッパはその行動で飛び散った水を見て呟いた。
「魚だ……!」
「え?」
かばんはカッパの呟きに、疑念の声を上げた。
「あのフレンズさん、泳ぎもしないで魚を採ってるんですよ!」
カッパはかばんの疑念の声に、目を輝かせながらそう答えた。
「そうですか……。」
かばんは頷いた。
「あの、別に急いでませんよね?」
カッパはかばんに顔を向けてそう聞いた。
「え……。いや……まあ。」
かばんは呟く様にそう答えた。
カッパはそんなかばんの答えを聞くと、ニコリと微笑んでそのフレンズへ身体を向け――泳ぎ出した。
――そんな時だった。
その、名も知らないフレンズが見ている水の中、そこで青い影が蠢いた。
そして、そこから飛び出した。
それはそのフレンズの図体を遥かに越える大きさの魚。
いや、良く見るとそれは魚ではなかった。
その魚に見えた生き物には、鱗や尾びれにあるようなような線がなかった。
ましてやその体は青く、その上美しく透けていて、たった一色だ。。
そう……。
それは大きな、魚型のセルリアンだった。
だが、セルリアンだとしたら、何故川の水に触れているのに動きが止まらないのだろうか……?
まあ、そんな疑問はあとだ。
早くあのセルリアンを倒さなければ……。
カッパはそう思い、そのセルリアンへ向かって走り出した。
――その瞬間。
そのセルリアンの真下にいたフレンズが、素早く後ろへ遠退くと、そのセルリアンの、魚でいう目がある場所の石へ向かって、拳で強い一撃を与えた。
するとそのセルリアンは、見る間もなくばらばらに砕け散り、その破片が辺りへ散乱した。
その光景を走りながら見ていたカッパは、驚き、目を見開いた。
そのフレンズは地面に着地すると、照りつける日を手で遮りながら言った。
「大物ゲット。」
カッパが川岸へたどり着いた頃には、その魚型のセルリアンの砕け散った破片は、既に消滅していた。
かばんはそんな光景を眺めながら、小さな声で呟いた。
「……あっぱー……?」
「かばんちゃん、何か言った?」
サーバルが聞いた。
「え……? いや、なにも……。」
かばんは答えた。
カッパはセルリアンが砕ける前にいた場所を、口を開けたまま眺めながら、その場に立ち止まっていた。
そして、そんなカッパの存在に気付いた魚型のセルリアンを倒したフレンズは、彼女に近付くと微笑みながら、その顔を見つめて言った。
「おーい。こんな所で何してんのー?」
「え……、あの……。えっと……。」
カッパは戸惑い、そう小さな声で答えながら、かばん達の居る方向を見た。
かばんはその視線の意味を理解すると、大きな声でそのフレンズに呼び掛けた。
「あのー! すみませーん!」
「おお、あっちにも居たんだ。」
かばんの発した言葉により、そのフレンズはかばん達の存在に気付いてそう言った。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「私の名前、何だか分かる?」
そのフレンズがかばんに聞いた。
「……え?」
かばんが疑念の声を漏らした。
そのフレンズはニコリと笑うと、両腕を広げて言った。
「当ててみて。」
かばんは彼女の体を見回した。
先程の影からいえば、ヒグマの様にも見えた。
だが少し、色が違う気がする。
かばんは彼女が、ヒグマでは無いことを確認した。
だが、ヒグマと同じ様な姿をしているため、彼女は恐らくその仲間なのだろう。
次にかばんは、彼女の頭部を確認した。
彼女の前髪を見た時、かばんは気付いた。
そのフレンズの前髪には三日月のような印が象られていた。
そういえばヒグマには、円……いや、楕円形のような印があったはずだ。
ヒグマの楕円形の印が|陽《ひ》だとするならば、彼女は……
「ツキグマさん……ですか?」
かばんは首を傾げながら聞いた。
するとそのフレンズは、笑みを強くすると、一息ついて言った。
「……惜しいっ! 私の名前はツキノワグマ。髪にある印の、“月の輪”から名前がつけられている……らしいよ!」
▼■■■■■▼ 食肉目 クマ科 クマ属
■ ■ ■
■ ■ ■ ニツキノワグマ
■ ■ ■
■■ ■ Asian Black Bear
「へぇーっ!」
かばんはそんなツキノワグマの解説もとい自己紹介を聞いて、感心した様子でそう返答した。
「ところで、君たちは?」
ツキノワグマと名乗ったそのフレンズは、かばん達を見ながら彼女達に聞いた。
かばんはそんなツキノワグマの言葉に帽子を下げなから答える。
「あ、紹介遅れてすみません。ボクはかばんと言います。キョウシュウエリアから来ました。」
かばんの自己紹介を皮切りに、サーバルがかばんの横で手を腰に当てながら揚々と話す。
「私はサーバルキャットのサーバルだよ! よろしくね!」
「アライグマのアライさんなのだ!」
アライグマが続けて言うと、フェネックがそんなアライグマの後ろからひょっこりと顔を出して話す。
「フェネックだよー。」
……残り3人(と1台)の紹介も続いて行われた。
そして。
「わ、私はカッパと言います!」
「よろしく。」
カッパの自己紹介が終わり、ツキノワグマが言うと、カッパは彼女に更に近寄って言った。
「さっきの魚の捕り方……凄かったです! どうか弟子にしてください!」
ツキノワグマはそんなカッパの言葉に、困惑した表情を浮かべて言った。
「ごめんなさい……。私、一匹狼だから……。」
「そうですか……。」
カッパは俯きながらそう答えた。
「じゃあ、ツキノワグマさんの家の場所を教えて下さい!」
「え……。まあ、いいですけど……。」
カッパの言葉に、ツキノワグマはそう答えた。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
ぐんまさふぁりぱーく きりゅういんおねえさん(ぐんま)
「ツキノワグマはー。そうですねー。雑食性でー。そうですねー。基本的には何でも食べましてー。そうですねー。ま、親子以外は基本的には単独生活をしててー。そうですねぇ。ツキノワグマの胆嚢はー熊胆といって薬用にされたりしていてー。そうですねぇー。まあ、そういうのに使うからか、そうですねぇー……結構ツキノワグマの個体が少なくなってるのはーそれのせいかもしれませんねー。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
話を聞いてみると、彼女……ツキノワグマの家も、カッパと同じく、この川の、さらに上流の方にあるようだった。
カッパはかばんと、他6人のフレンズから許可を得ると、ツキノワグマをバスの中に招き入れた。
「おー。すごいねぇ。」
ツキノワグマがそう言いながら、バスの中を見回す。
「バスって言うんですよ。」
かばんがツキノワグマにそう説明した。
「バスか……。いいな、一つくれ!」
ツキノワグマは言った。
「こ……、このバスは一つしかないので……。」
かばんは困惑した表情を浮かべ、両手を横に振りながらながらそう答えた。
「ソレナラ、ココカラモウスコシジョウリュウニイッタトコロニアルヨ。」
その話を聞いていたのか、運転席で運転をしていたラッキービーストが言った。
「バスってまだあったんですか?」
かばんが言った。
「コノエリアゼンタイデカゾエレバ、アトゴダイハアルヨ。」
ラッキービーストは答えた。
「そうなんですか! 知りませんでした……。」
かばんは言った。
「……そういえば、きょうしゅうえりあでも、他にバスってあったんですか?」
ラッキービーストは答えた。
「キョウシュウエリアデモ、ホントウデアレバ、アトナンダイカアッタハズナンダケド、レイノセルリアンノイッケンガオキテ、パークノショクインタチガエリアカラニゲルタメニ、ホトンドツカッタカラ……。アノイチダイイガイハ、ナカッタハズダヨ。」
「例の……一件?」
かばんは疑念の表情を浮かべながら、ラッキービーストのその言葉に聞き返した。
すると、ラッキービーストは声のトーンを普段より少し低くして言った。
「キミガ、エリアジュウノフレンズタチトキョウリョクシテタオシタ、アノセルリアンノコトダヨ。トウジノパークノショクインタチニハモウドウシヨウモスルコトガガデキナクデ、アエナクテッタイスルコトニナッタンダ。」
……辺りに沈黙が訪れた。
すると、そんな沈黙の中、一人のフレンズ……ツキノワグマが、まるでその話を気にしないかのように、立ち上がって言った。
「そんなことはともかく、バス、一つ貰って良いですよね!」
「モラッテモイイケド……ツカワナイコトヲオススメスルヨ。」
ラッキービーストはそう答えた。
すると、そんなラッキービーストの言葉を聞いて、あることに気付いたかばんがラッキービーストに聞いた。
「そういえば、ラッキーさん、最近普通にフレンズさん達と話してますけど……。」
「コンゴ、カバンノミニナニカ、キケンナコトガオキルカノウセイガタカイカラネ。モシモノトキノタメノヨボウサクダヨ、」
「そ、そう……なんですか……。」
かばんは頷きながら少し困惑しつつ話す。
「つまり、そのパークの、職員? さんでも太刀打ち出来なかった問題を、たった一晩で解決出来た私達は、と〜ってもすっごーい! ……ってことだよね!?」
サーバルが大きく身体を広げるジェスチャーをしながら意気揚々と話す。
「トウジハ、パークナイノキャクタチヲヒナンサセルノガセイイッバイダッタカラネ。ソレガナカッタブン、ヤリヤスカッタンダトオモウヨ。」
ラッキービーストは答えた。
サーバルはその言葉が、「凄くはない」という意味だという事を理解すると、耳をグッタリとさせながらもの悲しそうに言った。
「何だぁ……。」
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
しばらくすると、川のある方向とは反対側にあるバスの窓から、外を眺めていたかばんの目に、あるものが映った。
「あれは――。」
かばんが呟く。
そんなかばんが見たもの。
……それは、土の層の中に、ポッカリと空いた複数の穴。
その中には水まで浸かっているものや、地上から数m離れた位置にあるものまで、様々だった。
そして、かばんがそんな光景を眺めていると、バスに乗っていた、元のメンバー以外の二人のフレンズ……カッパとツキノワグマが、ほぼ同時に声を発した。
「「ここ、私の家です!」」
そんな声を聞いた二人は、お互いに顔を見合わせた。
「え……ツキノワグマさんも……?」
カッパがツキノワグマに聞いた。
「そう言うカッパさんも……?」
ツキノワグマが、カッパの問いに、そう聞き返した。
二人は顔を見合わせて笑い合った。
すると、そんな和やかな空気の中、ラッキービーストが更に衝撃的な事を言った。
「ドウヤラコノチカクニ、モウイチダイノバスモアルヨウダネ。」
カッパとツキノワグマは声を揃えて驚きの声を上げた。
「ええ〜〜〜〜〜っ!?」
かばんはそんな彼女達を見て、サーバルと共にかばんに付いてきたフレンズ達と、顔を合わせて静かに笑った。
―――――――――――――――――
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の
の の の の の の の の の
―――――――――――――――――
「いやあ。それにしても衝撃的でしたね〜。」
かばんが語り掛けるように言った。
「みっつの目的が、一気に達成出来るなんて……。本当にまさかだったよねー!」
サーバルがかばんの言葉にそう答える。
「そうだねー。」
かばんはサーバルの答えに頷きながら言った。
そしてかばんはふと、窓の外を見た。
「きれい……。」
気付けば辺りは、今まで見たことのないような夕焼けの空に囲まれていた。
地平線を見れば、落ち行く陽が薄紅に染まる空を、徐々に幻想的な紫色へと変えて行く。
西の空を見ると、既に月が上り始めている事が分かった。
それすなわち、夜の始まりを意味する事だ。
だから出来れば、どうか夜までに、どこか泊まる事が出来る場所が、見付かればよいのだが……
【エンディング】
「それにしても私、住んでいる所がツキノワグマさんとこんなに近かったなんて、驚きましたよ〜。」
カッパがツキノワグマの顔立ちを見つめながら言った。
「私もびっくりしたよ〜。」
カッパの言葉に、ツキノワグマがニコリと微笑みながら答えた。
カッパは少し歩くと、その穴の前で立ち止まって言った。
「「それじゃあ私、家ここなんで……。」」
カッパは気が付いた。
また、ツキノワグマと声が重なった事に。
そして、そんなツキノワグマは、自分の家に当たる穴……、その隣の穴を指さしながらその場に立ち止まっている。
そんな光景も相まって、カッパはこみ上げる笑いに、耐えるに耐えきれずに、口もとを緩めて笑い出した。
すると、ツキノワグマはそんなカッパの笑いを真似するかのように、カッパと顔を合わせたまま笑い出した。
……その日、かせんちほーに楽しそうな笑い声が長く響いた。
――――――――――――――――
の の
の の
の の タイリク予告 の の
の の
の の
――――――――――――――――
どうも、タイリクオオカミだ。
この小説、「けものフレンズ██」もやっと4話まで進んだな。
さて、次は5話となる訳だが、その前に予習しよう。
今回予習しておくのは……何だっけ?
確か……。
けい……、けい……。
そう、渓谷だ。
渓谷とは、崖に挟まれた川のある所の事だ。
通常の谷には川はないが、渓谷には川があるんだ。
漢字に、さんずい?が含まれている事からも、その事は分かるだろう……。
えーと。
次回、「けいこくちほー」。
それじゃあ次回もよろしく、な!
さて、明日は第5話更新、…といきたいところですが、その前にちょっとしたショートストーリーを投稿します。第4.1話「いんく」
第4.1話「いんく」
「……さてと。今日も良い顔が見れたな。」
タイリクオオカミが、自身の所持するスケッチブックを広げて言った。
そして、そんなスケッチブックの中には、かばん、サーバル、アライグマ、フェネック、アフリカオオコノハズク、ワシミミズク、そしてカッパとツキノワグマの顔が、それぞれ描かれている。
寝静まったバスの中。
タイリクオオカミは5人全員が確かに眠っているということを確認すると、バス内のベンチ――アメリカビーバーとオグロプレーリードッグが協力して作った物だ――を机代わりに、インクを置いて、原稿を描き始めた。
タイリクオオカミは集中しながら、原稿に向かい続けた。
そして数十分が経ち、タイリクオオカミは顔を上げた。
タイリクオオカミは背筋を伸ばすと、再び自分の描いた原稿を見つめて考えた。
今日はもう、この辺で辞めておこう。
タイリクオオカミはそう思うと、ラストスパートをかけはじめた。
そして、あともう一本曲線を描けば終わり――そんな所まで進んだ、その時だった。
「オオカミさーん。なにしてるのー?」
後ろから突然現れたフレンズがタイリクオオカミにそう声掛けた。
「う、うわあっ!」
フレンズの声掛けに驚いたタイリクオオカミは、そんな声を上げて尻餅をついた。
タイリクオオカミは冷静になってそのフレンズの姿を確認した。
彼女はフェネックだった。
「ま、まだ寝てなかったのか……。(そういえばいなかったような)」
タイリクオオカミは言った。
「いやあー。さっき暗闇の中で独りぼっちのフレンズを見付けてねー。それで話を聞いたら家がここの近くだったから、送ってあげてたのさー。」
「家に送る途中、そのフレンズには何かしたんじゃないよな……?」
タイリクオオカミはフェネックの言葉を聞いて、そう問いかけた。
「い、いやー。何もしてないってばー。」
フェネックは答えた。
そして続けて、タイリクオオカミに問いかけた。
「……で、オオカミさんはなにしてたのー?」
タイリクオオカミは両手を上げて背伸びしながら、フェネックの問いに答えた。
「ああ。漫画を描いていたんだ。今、丁度描き終わ――。」
タイリクオオカミが原稿に顔を向けると、それはインクがこぼれ、真っ黒になっていた。
フェネックはその光景を見ると呟いた。
「あちゃー……。」
そして彼女……フェネックは、何か思い出した様に顔を上げると、「あっ。」と呟いて言った。
「ちょっとさっきのフレンズに返しそびれた物があったから、返してくるねー。」
彼女はタイリクオオカミから逃げるように走り去って言った。
タイリクオオカミは真っ黒になった原稿を見ながら頭を抱えた。
カッパのフレンズ登場なのだ
たぶんけもフレ初なのだ
バス水没のシーンはハラハラしながら読みましたのだ
ツキノワちゃんはキングダムで
たいへんお世話になったフレンズなので
懐かしかったのだ
https://japari-library.com/wiki/Peeping_Kappa
たぶんぱびりおんのやつだけど、アイテムとして存在はしてたみたいなのだ
全く知らんかったのだ
チラッとカッパさん!
教えてくれてありがとうなのだ
アニメ2期再履修するのだ()
※5話加筆修正行いつつ1.9期までのプロット作ってる
ついでにけもフレ2>3への創作も考えてみるのだ
色んな考察見た感じ
漫画→NEXON→けも3→けも1→けも2が自然そうだから諦めるのだ
パビリオンは多分けも3後なのだ