あぽ~ん
『古くは鉛汚染から銅山の汚染、放射線被害、産業廃棄物、各種薬害による健康被害のほとんどが、無知によるものだ。科学技術が進歩して原因が判明すれば、人権弁護士はそれらをもって半世紀前の事件も指弾するが、どうじに殺意なきは殺人ではないといいつのるのは、決定的な矛盾がある。あぽ~ん』
〝あぽ~ん〟は、バカといった雰囲気全般をおさえている言葉らしいのだが、自分の立場をぼかす機能ももっていて、現実に対決しない姿勢をにおわせるのだから、質の悪い言葉だ。
小説の『リーンの翼』中の2ch語の表現はやはりフィクションのもので、どんな世代の読者が読んでも多かれ少なかれ「変だわ」という気にはなると思う。
まず、あぼ~んではなくあぽ~んというのを読者は見たことがあるか、どうか。その意味説明にも違和感があるが、著者の富野由悠季は2ちゃねらーではあるまいし、あくまで一通りの取材の上で、現実の2chとは違う作中に通じるネット語を創作したのかもしれない。
そのうえで、ここで『質の悪い言葉だ』と評しているのは、著者による評言なのか、この場面での主人公格を担っているロウリィの気分なのかというと、後者だろう。
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