「噂の裏」
>ここ2年、辺庭に来る人には、参事の長離となかなか会えていない。
公の場に姿を現すことは滅多にないが、令尹の側近として、その名は誰もが知っている。
>今汐は従って令尹の権限を以て長離を令尹参事に任命したのである。それから、3年が経った。今州が軌道に乗り、民は令尹の施政に感服した。その施政のどれだけが参事の助力によって成立できたのは、誰も知る由もなかった。
「 古典に記されたあの人」
>すべては歳主の予言通りだった。客人が今州に来訪し、難局を打開して今州は安寧を手に入れた。古典と言い伝えにしか記載されていないあのぼやけた姿は、ようやくはっきりと見えてきた。
最初に出会ったあの日、彼女は明庭から遠路はるばる今州に戻ったばかり。あの客人が雨の中の渡し場で何かを思案しているところを見た。
(中略)「ーー雨にお困りかな?」
3年前から参事として今汐の後ろ盾にはなっていた(それで長離が政治の実権を握っていると考える人もいた)けど、実際の今州の統治は今汐が自分でしていて、長離は明庭で漂白者について調べることに集中してたってことだと思う
だから漂泊者が現れるまではずっと明庭にいたし、そこで出会ったであろうカンタレラが「明庭の友人」って呼ぶのも不思議はない
通報 ...