かとかの記憶

リーンの翼 / 306

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katka_yg 2025/12/02 (火) 15:35:13 修正

至誠と桜花

旧48新30まで、約6(3)章にわたる暗い道のりの追跡行が終わる。発端の呟きは「至誠に悖るなかりしか」、この章末はふたたび「桜花」の和歌に返る。旧版ではここにその歌を吟じる理由は書いていない。心の中のわだかまりが消えていることを知った、とのみ。

完全版では、なんでそんな歌がこんな時に、と自分で呆然としながら、「それはアンマへの返歌であることは否定できない」と言って閉じる。返歌、というからにはアンマから迫水へまず投げかけたクエスチョンに対していうので、アンマのそれは、前夜の慟哭した「なぜ信じてくれなかったのか」「聖戦士がどうしてそんなに自信がないのか」だっただろう。

海軍五省のうち「至誠」について、前章の旧版のほうにやや詳しい。

 至誠とは、対象があって初めて完結する観念である。
 国家か天皇か……。
 それが、迫水の年代の明晰な対象である。
 でなければ、家族に対して……か……。

そのいずれも、バイストン・ウェルに迫水は持たない。だからあえてアマルガンなりリンレイを仮の対象として筋を通そうとしてきた。それは誠と言えたのか、が曖昧な疑問符になっていた。追跡行をへてアンマに再会してやっと言えたことは「今日まで俺を生かしてくれた人々に、俺のできる限りのことはして見せなければ」という戦意表明になった。それが迫水の中で前後相通じたことに、迫水自身が知ることなく、言った、という経緯。旧版の上の箇所が、完全版では抜いてある。その代わりに「アンマへの返歌」と書き足してある。

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    katka_yg 2025/12/02 (火) 15:41:10 修正 >> 306

    迫水はバイストン・ウェルの者ではない。死に損ないの自分の情熱を燃やし尽くすためだけに闘うにしても、バイストン・ウェルの人々に対して究極的に責任をもてないという意識を自覚しつつあったんだ。それでは至誠とは言えん、確かに。

    異世界から来てこの世界のために戦う戦士がどれくらい誠実であるべきかという問いは、2025年とかの今でもできると思う。まず問われているかというその意味も含めて、だな。