katka_yg
katka
2026/04/28 (火) 12:19:55
古代オリエント集(アッカド)さらに続き
「ズーの神話」まで。冒頭の解説には『ズーはコスモスの秩序崩壊ないし破壊の根源的要因を表わすと見る』――のように書いてあるが、その神学的な意味付けのまえに、これがもともと誰が作詩して、どんなときに朗詠なりされたものか想像する。神官が作って神事のために語ったものなのか。
全く神話だが、ヒロイックな要素もありバトル描写にも古典的に面白いものがある。放った矢が届かずに返ってくる魔術的なところとか。この篇の一方の主人公はやはりズーなのだが、あくまで悪者として語られ、ずっと後世のプロメテウスやサタンのようなロマン的な面白さを聴衆が聴き取っていたのかはわからない。それはなさそうか……。
ここに訳されているテキストはズーが墜落していくところで断ち切ったように終わる。それでもいいと思うけど、このあとに本当は長々と祝詞や讃歌が続くものだったのかもしれない、のかな。
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「エタナ物語」。途中からこのテキストは曖昧模糊としていって意味も掴めなくなる。これから半世紀ほどの研究で間がずっと埋まっているものと思うが、わたしの読むのは今はこれだけ。
物語の始まるより前の、『王権は天より下り――』という、社会や歴史についての当時の考え方について興味も引かれるが、それも今は置いておく。物語中の教説と人々の現実生活上の考え方は違ったかもしれない。
「サルゴン伝説」まで。
サルゴンの出生については他の本に引用されてるのを時々に読んだこともある気がする。素性の定かでない大王の出生にまつわる伝説が後に付託されることについてモーセとかキュロスとかロムルス・レムスに先立つ例であることは解説にある。
それでサルゴンについては、ひとつには、母親が神殿の神官だったらしいことをいうが、父親が先代の王だったとか、神々の一人だった等の脚色はとくにない。どうして母親のことが伝わっているのかの真偽はおき、女性神官だからといって「祝福されない生まれの、取るに足らない身分の者だった」以外の意味は付加されていないらしい。
それで園丁として働いたあと、女神イシュタル寵愛によって次行ではすでに王国を支配して、海外までの覇権を語っている。その低い地位からどのように出世をたどったかの血湧き肉躍る立志伝、英雄物語はこの関心にはないらしい。
「バビロニアの神義論」まで。この修辞的な特徴は解説にあるし、それが読みたいところではあるけどこのテキストからは音韻的なものを読み取るのは難しい。今は目を通すまでと、やはりこの時代にもこういう技巧はあるんだということ。ないのかと思っていた。
内容は現代の観点から素朴にみえ、ここから一転して倫理なり、形而上なりにどう展開するのか無意識に期待しているようなところで終わる。「あ、終わりなんだ?」という気持ちになりかけるけど、それならばそれで意味はあり、これより前には文字化されなかったものがあえて書かれるようになった頃がこの時代なのだという、年表と思想の関係のヒントに、わたしにはなる。