かとかの記憶

リーンの翼 / 406

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第六章。空母パブッシュから一機の戦闘機が発艦するところは、2010年にもなった富野文の行き着くプロセス文の真骨頂みたいである。

『……して、……なので、……である。』
『……って、……れば、……なのだ。』
『……れば、……って、……っていく。』
『……して、……ていって、……になって、……になる。』

くどいほどの『……って』接続が三ページ以上にわたってめんめんと続く。各文の末尾は『……していた』『……する』の時制は混在、リズミカルな内に現在形を畳みかけるほど緊迫感は高まる。間に、

ドウッ、ズオウッ……。

という富野擬音も混ぜる。バイストン・ウェル作品ではガンダムシリーズほど擬音は多くないが、効果的に使われる。

冷気をただよわせていた機体が、体内から熱気を発散させていけば命あるものになって、主翼とおなじような平面形の水平尾翼全体が上下に移動すれば、機体は生き物になる。

エモーショナル。マシン描写が一気にファンタジーになる。『機体は生き物になる』の表現は適切でかっこよく、みごとに一文を締めくくっていると思うけど一連の文章全体はすごいくどさで、とても真似できない。リーン作中ではこれまで、『風車になる』のような凄まじいと面白いの半々のような興味があった。

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