言いを含める
廃墟に二匹のdrumbilだけが残り佇んでいるところ、そこに姿隠しの魔法のかかった一行が通る間、
They snarled and rolled their eyes at the sky, but didn't seem to see the Prince and his companions, which was no doubt just as well.
which was 以下のニュアンスは訳していないみたい。井辻訳を全文対照しているわけではなくて、日本語だとどういうの……と少し気になっただけ。上の「美少女かどうか」なども連想したけど、タニス・リーの「魔法の書き方」の一法なんじゃないか。
「ストーリーの語りと魔法の発動」が全く切り離せないことが一点。物語と無関係に魔法は存在しない。プラグマティックな魔法というその言い方かもしれない。あとは、Volkhavaarのときに、もしかしたら底本の版の違いかもしれない箇所もあったけど、ここはそうではないとは思う。
物語上でそんなに重要な箇所とは思わないが、「言い方」をどう含ませるか表現を想像すると今は気になる。同様のツッコミを作中で王子がいちいち入れているので、それもはっきり訳すとくどいのかもしれない。
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この直前にもある "Boiling-oil, vats of venom," のような言葉遊びというか、呪詛めいた韻を訳せないことはわかる。それも、短い文ならダジャレのような訳語を作ってもいいと思うけど、原文がそのつもりでもないのにかえって諧謔っぽさか、可笑しさを押してしまうとは思うので、あえて音韻まで訳さないでいいという判断は翻訳の際にあると思う。
井辻先生は翻訳以外に「ファンタジー作品の魔法の使い方の歴史」をテーマに研究されているから、こういう場合どうかと逐一訊ねてみたい気がする。それはまだ井辻著書を近年のものまで追えていないけど、本の案内の目次だけは予習していたりして、……何かありそうだ。
「魔法が効いたのだ」とその瞬間にいう場合に加え、「効かなければ大変なことになっていた」と追って言い含める場合でも魔法が成立する。それを知っているとスリリングじゃないか。