Like It's Golden (Nisi Shawl)
読み始めてすぐに、タニス・リーというよりはP・K・ディックのような話が始まったなと思う。それも、細かい端々の現代的な描写にかかわらず、このシチュエーションから導く結末はほぼ決まっていて意想外なところはあまり考えられない気がする。普通に短編SFを読むのと違い、なんでこれがタニス・リー・トリビュートなんだろう、どこにその要素を出してくるんだろう?の特殊な興味が起こるんだった。
読んでいると主人公のDaVitraが現在不安定な精神状態で、もともとルーズな性格の彼女がなんでその重要プロジェクトの被験者に雇われているのか怪しむ気になるけど、これはタニス・リーのトリビュート作品なので、そこは大事じゃない。
読後の感想は、短編の結末ではなくてその前、クライマックスのシーンがリーの「あの作品だな」と連想させるものがあると思う。それをいうと、これはSFの皮を被ったファンタジーのようで、魂とか輪廻のようなことは一言も言っていないにもかかわらずそれに似たものを感じるのでもあった。
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これを読んでいる途中に、AI生成キャラクターのマンネリズムに触れる箇所があり、これはその話ではないと思うがタニス・リーの数多い作品は同工異曲をくり返している面はどこかにあって、たとえば悲劇の場面を中毒的に反復再生することも、ロマンチックさや暴力的要素を毎回のように愉しむことも、ことによってはマンネリに陥るだろう。読んでいて「いつもの」と思うことはある。九十冊も読めば流石に読み飽きるだろうか。今それは、とりとめなく思っていたこと。