自転車道場

僕の自転車半世紀の記録 / 6

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ディープインパクト 2025/06/29 (日) 00:19:53 修正

第4回 長 義和
 長さんはスクラッチ(今のスプリント)の選手で高校時代に日本一になりオリンピックで日本人初のメダルを狙えると言われた怪物。僕が長さんと会ったのはスギノレーシングに入り、敵無しの全盛期。長さんと練習で会ったのは2回、スギノの赤いユニフォームを着て走っていた。僕は梅田から阪奈道路を抜け伊賀上野まで街道を走っていた。阪奈道路は当時有料で頂上に料金所があり、大阪選手会は無料で通れた。僕はまだ中学生だったけど阪奈クラブの選手たちと走り師匠譲りのダービーとかオールスターのユニフォーム着ていたので競輪選手と思われて顔パスだった。今の阪奈道路は車多すぎて走る気がしない、でも有料道路時代は空いていて走りやすかった。大阪側の下から料金所まで一番早い選手は11分で登った(師匠が一番速かった)僕は師匠には負けたけど他の選手よりは速かった、12分位だった。

 当時S1選手と互角に走れたので天狗になっていた。俺は強い、負けない、なんて速く走れるんだろう。この自信はある日、一気に崩れ去った。いつも午前4時に梅田を出て9時に帰ってきていた、その日は寝坊して朝出るのが遅く阪奈を7時位に走っていた、いつもは自動車がいないガラガラの道を走る、でもその日はトラックも多く通勤ラッシュが始まろうとしていた。阪奈道路は2車線の有料道路、僕は左端を走って登る、速い乗用車が追い抜いていく、別に自動車に抜かれても気にはならなかった、自転車なんだから自動車より遅くて当然、まして山の登り。ところが追い抜き車線をゴォーと自動車を抜いて走っていく1台のロードバイク。うそやろぉ、ユニフォームは赤にスギノの字。夢見てるのか?

 スイッチが入った、自転車を追い越し車線に出す。車より速く走らなければ追突される。前方のスギノのユニフォームを追う、メガネ。長さんだ!関西実業団大会スクラッチ決勝で、長さんはとんでもない技を出した(あんなことをするのは後にも先にも長さんだけ)絶対忘れない強烈な記憶。追い抜いてやる!必死で追ったけど抜けなかった。速い!次元が違う。長さんは10分を切ってたと思う、師匠よりも速かった。

 阪奈で会ってから半年くらいした寒い冬の朝、大阪の内環状線を放出から緑橋へ白のダウンを着て、追い越し車線をぶっ飛んで走るロードに会った。自動車が点になりぶっちぎっていく。長さんだ、一目でわかった。スギノは東大阪にあった、通勤だったのかな??あまりにも速すぎて、追いかけようとも思わなかった。長さんは思考回路が常人ではない、逸話がいろいろあるけど今は秘密にしておきます、やばいので近づくと大火傷する、遠くから眺めるのが身のため。僕も周囲からぶっ飛んだ人間と思われていたけど、自転車の常識をことごとくぶっ壊し、ここまでやっていいんだと見せてくれた長さん。大阪の街で同時代を走れたのは、とてもラッキーだった。

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