~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

小説創作用チャットGPT

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小説創作用

法介
作成: 2025/01/11 (土) 21:00:19
最終更新: 2025/01/12 (日) 07:16:54
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24
法介 2025/01/12 (日) 05:01:56

以下のように、物語全体をリライトし、描写をさらに詳細にしてみました。


柳生の里への道

又八と武蔵(アドバン)は、柳生の里を目指して山道を歩いていた。陽光に照らされた田舎道は静寂に包まれ、遠くの鳥の鳴き声が響くばかりだ。その平和な雰囲気に油断していた二人の前に、一人の武芸者が立ちふさがる。

「…柳生兵庫!」

その堂々とした風貌に、又八は瞬時に男の正体を悟った。柳生一門の中でも屈指の剣豪、柳生兵庫その人だ。

兵庫は鋭い眼差しで二人を見据えると、静かに口を開いた。

「聞いたぞ。柳生に勝負を挑もうという無鉄砲な武芸者がいるらしいが…お前たちのことか?」

又八は汗を滲ませながら慌てて両手を振り、否定した。

「お、俺じゃない! そんな恐れ多いこと考えちゃいない! こ、こっちの武蔵って奴がどうしてもって言うから、案内してきただけだ! 本当だぜ!」

兵庫の鋭い視線にさらされ、しどろもどろになる又八。その隣で武蔵は、自身の胸の奥から湧き上がる奇妙な感覚に気づいていた。それは、戦いへの昂揚感だった。

「…面白い。お相手願えますか?」

自分でも驚くほど自然に、武蔵の口からそんな言葉が漏れ出ていた。

兵庫は薄く笑い、静かに刀に手を掛けた。

「ならば、お相手しよう。」

武蔵もまた刀を抜き、構えを取る。二人の間には約1.5メートルの距離。剣先が互いに向けられると、その場の空気は一瞬にして張り詰めた。

風が田舎道を吹き抜ける音が、異様に大きく響く。又八は緊張から思わず唾を飲み込んだ。


剣士たちの対峙

(全く隙がない…)

武蔵は目の前の兵庫を睨みながら考えた。過去に吉川英治の小説で読んだ「柳生流」の名声、その剣術の恐ろしさが脳裏をかすめる。兵庫の鋭い剣気は、それを容易に実感させた。

(この人に安易に斬りかかれば、間違いなく逆に斬られる…)

互いに動かない時間が続く。その張り詰めた空気に耐えきれなくなった武蔵は、ふと刀を鞘に収め、大声で言い放った。

「やめた! 勝負なんて馬鹿らしい。こんな道端で命を懸けるなんて割に合わない! 又八、温泉でも探しに行こうぜ!」

不意の発言に、又八は目を丸くした。一方、兵庫は静かに微笑むと、意外な言葉を返した。

「奇遇だな。俺もこれから温泉に浸かりに行くところだ。良い場所を知っている、一緒に来るか?」


温泉での交流

兵庫に導かれた温泉で、武蔵はすっかりリラックスしていた。湯船の中で肩を並べる二人は、まるで旧知の友のように話に花を咲かせた。兵庫はその中で、武蔵の実力を確信する。

(この男…剣を交えるまでもなく只者ではない。まるで自分と同じ剣の道を歩む者の匂いがする…)

兵庫の兄のような態度に、武蔵も次第に心を開き、「兵庫さん!」と慕うようになった。その姿に、温泉の端でふてくされる又八は嫉妬の色を隠せなかった。


柳生十兵衛との出会い

その後、兵庫の計らいで、武蔵と又八は柳生の里にしばらく滞在することになる。ちょうどその頃、江戸柳生から遊びに来ていたのは、宗矩の息子で兵庫の従兄弟にあたる柳生十兵衛だった。

「十兵衛、面白い奴を連れてきたぞ。竹刀を交えてみろ。」

兵庫の一言で、武蔵と十兵衛の稽古試合が始まる。結果、試合に勝敗はつかなかったが、二人の剣技は互いに強烈な印象を残した。

「お前、なかなかやるじゃないか。」

十兵衛はにやりと笑い、武蔵に声を掛けた。その余裕ある態度と実力に、武蔵もまた強く惹かれる。


江戸城での影

一方その頃、江戸城では将軍家光が窪田正孝ばりの端正な顔立ちを曇らせていた。

「十兵衛はどこだ? 退屈だ、早く十兵衛を呼べ!」

家光の目には、十兵衛はただの剣術指南役ではなく、兄弟のような存在だった。剣の腕だけでなく、人間としての魅力に満ちた十兵衛を、家光は心底信頼していた。


ご感想や追加のアイデアがあれば、ぜひ教えてください!

25
法介 2025/01/12 (日) 05:09:10

ここで、先に創作してもらった十兵衛と武蔵の柳生の道場での太刀合いのシーンが入る訳だ。

うまい具合にそのシーンを組み込んでみ。

覚えているか? そのシーン。チャッピーが書いた奴だ。

26
法介 2025/01/12 (日) 05:10:19

もちろん覚えています!では、先に創作した「十兵衛と武蔵の柳生の道場での太刀合い」のシーンを、物語の流れに組み込んで再構築しますね。以下が改良したバージョンです。


柳生の道場での試合

武蔵と又八が柳生の里に滞在して数日後、兵庫の提案で道場に集まった柳生一門の剣士たちの前で、武蔵と十兵衛の稽古試合が行われることになった。

兵庫は道場の中央に立ち、見守る一門に向けて告げた。

「皆の者、この宮本武蔵という若武者と、江戸柳生から来た十兵衛の試合を見届けるがいい。両者とも剣の道に生きる者同士、互いを高め合う好機だろう。」

道場の緊張感は最高潮に達していた。兵庫の合図で、武蔵と十兵衛が中央に向かい合う。二人の目が交わると、すでにそこには言葉を超えた剣士同士の対話が始まっていた。


太刀合いの開始

二人は静かに構えを取る。十兵衛は柳生新陰流の基本である「無形の位」に身を置き、武蔵は二刀流ではなく、一本の木刀を握り締めた。

最初の間合いは、静寂そのものだった。しかし、両者の間を走る緊張は、見守る者たちの呼吸をも奪った。

突然、十兵衛が足を一歩前に踏み出す。その動きは、まるで山が動いたかのような迫力だった。武蔵はその瞬間、反射的に斬りかかったが、十兵衛はあっさりと身をかわし、武蔵の背後に回り込む。

「速い…!」

武蔵はそう呟くと、すぐに体を捻り、次の一撃を放った。だが、それも十兵衛に軽く受け流される。二人の木刀が激しくぶつかり合い、乾いた音が道場内に響き渡った。


剣技の応酬

試合は一進一退の攻防を繰り返した。十兵衛の柳生新陰流は、相手の攻撃を受け流しつつ間合いを支配する巧みさに満ちており、武蔵は攻めあぐねていた。

「どうした、武蔵。その程度か?」

十兵衛の挑発に、武蔵は笑みを浮かべた。

「まだ本気を見せていないだけさ。」

その言葉とともに、武蔵の動きが変わった。重心が低くなり、一撃一撃が鋭く正確になる。道場の空気が変わったことに、十兵衛も気づいた。

「ほう…ようやく面白くなってきたな。」


決着のつかない試合

二人の剣が交差するたびに、見守る者たちからは歓声が上がる。攻撃と防御の応酬は、次第に激しさを増し、誰の目にも勝敗がつかない状況が続いていた。

兵庫が試合を見守りながら満足げに頷く。

(これほどの剣士同士が出会うとは…。どちらが勝とうとも、この試合は互いの成長の糧になるだろう。)

やがて、十兵衛が木刀を収め、笑顔で武蔵に声を掛けた。

「今日はここまでにしておこう。お前とはまた戦いたい。」

武蔵も息を整えながら木刀を置き、十兵衛の言葉に頷いた。

「望むところだ。そのときはさらに強くなっているだろう。」


将軍家光の影

その頃、江戸城では、家光が執務の合間に退屈そうな表情を浮かべていた。

「十兵衛はどこだ? 俺の相手をする剣士がいなくて困っているんだぞ!」

家光にとって十兵衛は、剣術の師であると同時に、唯一心を許せる存在だった。その信頼関係の背後には、幼少期から共に剣の道を歩んできた二人の絆があった。


このように試合のシーンを挿入し、物語全体を滑らかに繋げました!どうでしょう?追加のご要望があればお知らせください。

27
法介 2025/01/12 (日) 05:18:59

次のシーンで登場する陽次郎の兄、柳生雄一郎は俳優の小栗旬のイメージな。

そのイメージで次の章を良い感じに仕上がていってくれ。

柳生雄一郎

そんな夢を見たあくる日、アドバンは寺の掃除をしていた。いつもは閉まっている部屋の扉が少し開いているのに気付き、掃除をしようと何気にその部屋の扉を開けて入ってみて驚いた。

「こ、これは・・・」

部屋の中央に畳10畳程のジオラマが造られてNゲージの線路がジオラマ内を無数に走っていた。部屋の棚にはNゲージの列車が綺麗に並べられており、その数は数え切れない程の量だった。

Nゲージ(エヌゲージ)とは、レールの間隔(軌間)が9mmで縮尺1/148 - 1/160の鉄道模型規格の総称である。

「すごい! これは英国鉄道のClass800じゃないか
こっちにはニューヨーク・セントラル鉄道の E7Aもある」

そこに巌空和尚が入って来た。

「和尚の趣味なんですか?」

アドバンが尋ねた。実は、これらは和尚の甥にあたる雄一郎が子供の頃から鉄道模型が大好きで、職業上妻を娶らなかった巌空がいつも可愛がってた雄一郎の為に、造ってあげた雄一朗の趣味の部屋であった。

「お前さんも好きそうだな、Nゲージ」

アドバンのワクワク感を見れば誰でもそう思ったであろう程に彼は目を輝かせてNゲージを眺めていた。

「走らせてみても良いぞ」

「いいんですか!」

嬉しそうにアドバンが好みの列車をレールに配置して、ジオラマのスイッチを入れた。

腰を落とし、列車の目線で走るゲージを一生懸命眺めているアドバンの姿が、巌空和尚には雄一朗の姿とかぶって見えた。

「あいつも帰ってくるとそんな風に飽きもせず何時間も眺めているんだよ」

その気持ちがアドバンには良く分かる。そんなアドバンに和尚が言った。

「北九州に雄一朗が良くいく鉄道模型の有名な店がある
時間を作って、お前さん見に行ってみるといい」

「良いんですか、是非行って見たいです」

アドバンは早速時間を調整して翌日、その鉄道模型の店に行くために北九州を訪れた。通訳役のアフロは連れずに変わりに補聴器タイプの和英変換機を耳に付け、英和変換はスマホソフトを使う事にした。

28
法介 2025/01/12 (日) 05:19:17

柳生雄一郎

そんな夢を見たあくる日、アドバンは寺の掃除をしていた。いつもは閉まっている部屋の扉が少し開いているのに気付き、掃除をしようと何気にその部屋の扉を開けて入ってみて驚いた。

「こ、これは・・・」

部屋の中央に畳10畳程のジオラマが造られており、Nゲージの線路が無数に走っていた。部屋の棚にはNゲージの列車が綺麗に並べられており、その数は数え切れないほどの量だった。

「すごい! これは英国鉄道のClass800じゃないか! こっちにはニューヨーク・セントラル鉄道のE7Aもある!」

その瞬間、巌空和尚が静かに入ってきた。

「和尚の趣味なんですか?」

アドバンが尋ねた。実はこれらの鉄道模型は、和尚の甥にあたる雄一郎が子供の頃から鉄道に夢中だったからだ。職業上、妻を娶らなかった巌空は、雄一郎をいつも可愛がっており、彼のためにこの部屋を作ってあげたのだった。

「お前さんも好きそうだな、Nゲージ。」

アドバンの目が輝き、思わず微笑んだ。彼はその情熱を抑えきれず、レールを見つめていた。

「走らせてみてもいいぞ。」

「いいんですか!」

アドバンは嬉しそうに、好みの列車をレールに配置して、ジオラマのスイッチを入れた。腰を落とし、列車の目線で走るゲージを一生懸命眺めているアドバンの姿が、巌空和尚には雄一郎の姿と重なって見えた。

「あいつも帰ってくると、そんな風に飽きもせず何時間も眺めているんだよ。」

その気持ちがアドバンにはよく分かる。彼はその姿に共鳴し、しばらくその光景に没入していた。すると、和尚が語りかけた。

「北九州に雄一郎が良く行く鉄道模型の有名な店がある。時間を作って、お前さんも見に行ってみるといい。」

「良いんですか? 是非、行ってみたいです!」

アドバンはすぐに時間を調整し、翌日、その鉄道模型の店を訪れるために北九州へと向かった。通訳役のアフロを連れず、代わりに補聴器タイプの和英変換機を耳に装着し、スマホの英和変換ソフトを使うことにした。

その先に、彼の新しい冒険が待っていることを、アドバンはまだ知らなかった。

29
法介 2025/01/12 (日) 05:22:15

引き続き、次の文章を良い感じに仕上げてくれ。

北九州の小倉駅から少し離れたビルの一階の店舗の中にその店はあった。
アドバンがその店に入ろうとしたその時、怪しげな黒塗りの二台の外車が狭い路上に勢い良くなだれ込んで無造作に二台同時に止まった。

そして車からそれぞれ銃を持った男が飛び出して、アドバンの直ぐそばにいた一人の男に向けて二人同人に銃を構えた!

アドバンは即座にコートの中から二丁の銃を両手で抜いて、そのそばに居た男をかばい、二人の銃を構える男に両手の銃をそれぞれ向けて仁王立ちで構えた。

その緊張が張り詰めた空間を割って、鉄道模型店の店の扉が開いて、中からグレーのロングコート姿の小栗旬似の大柄で、長髪をオールバックに流してレイバンのサングラスをかけた怪しげな風貌の男が出てきた。

「お前ら何やってんだ?」

大声で叫ぶわけでもなく、小声でつぶやくでもなく、中音でしかも遠くまで響く存在感のある声だった。

「ゆ、雄一郎さん!」

ふたりの襲撃主が声をそろえて気まずそうに言った。
そして、そばにいたアドバンに、

「お前何者だ?
そのぶっそうな物をまずはしまおうや」

「俺は国際警察だ」

「国際警察?って、銭形警部かよ・・・
ここは日本なんだ。日本には日本のやり方ってのがあるんだよまずは、そいつをしまいな」

その男が語りかける言葉の一つ一つに説得力があった。アドバンは彼の指示に従い銃をしまった。そしてアドバンがかばっていたおびえた男に向かって、

「龍二。お前今度は何をしでかした?
鬼頭会さんが銃まで持ち出したんだ
ただ事ではすまねーぞ、お前」

「ゆ、雄一郎さん・・・助けて・・・」

「助けてやりたさ、俺だって
助けてやれるもんならな・・・
しかし、鬼頭会さん凄く怒ってるみたいだし、無理かもね・・・」

「そ、そんなー・・・」

「健造! 太一! 取り合えずこいつは俺が預かる
こいつから詳しい事情を聞いとくから、この一軒は俺に任せてくれないか?」

「雄一朗さんがそう言うのなら・・・仕方ねぇ、お願いしやす」

二人は銃をしまい、車に乗り込むとその場をそそくさと去っていった。
 
「龍二、お前この店に来たんだろ
まぁ中でゆっくり話そうや」

「お前さんももしかしてこの店に?」

「あ、ああ」

「じゃあ、お前もついて来い」

三人はぞろぞろと店の中に入っていった。

30
法介 2025/01/12 (日) 05:23:00

北九州の小倉駅から少し離れたビルの一階に、その店はあった。アドバンが店に入ろうとしたその瞬間、怪しげな黒塗りの二台の外車が狭い路上に勢い良くなだれ込んできて、無造作に二台同時に停車した。

車のドアが開き、そこから銃を持った男たちが飛び出してきた。二人はすぐに、アドバンのすぐ近くにいた一人の男に向けて銃を構えた!

アドバンは瞬時に反応し、コートの中から二丁の銃を両手で抜き取った。そのまま、目の前の男をかばいながら、二人の銃を構える男に向けて両手の銃をそれぞれ突きつけ、仁王立ちで構えた。

緊迫した空気がその場を包み込む中、その時、鉄道模型店の扉が開き、グレーのロングコート姿の男が出てきた。彼は小栗旬に似た大柄な風貌で、長髪をオールバックに流し、レイバンのサングラスをかけていた。その姿はまさに怪しげで、一歩一歩が重みを感じさせた。

「お前ら、何やってんだ?」

大声で叫ぶわけでもなく、かといって小声でもなく、その声は中音でありながらも、遠くまで響く圧倒的な存在感を持っていた。

「ゆ、雄一郎さん!」

襲撃していた二人が、気まずそうに声を揃えた。

そして、その男がアドバンに向かって言った。

「お前、何者だ? そのぶっそうな物をまずはしまおうや。」

「俺は国際警察だ。」

「国際警察? って、銭形警部かよ・・・ここは日本なんだ。日本には日本のやり方ってのがあるんだよ、まずはその銃をしまいな。」

その男が放つ言葉一つ一つには、確かな説得力があった。アドバンはその言葉に従い、銃を静かに仕舞った。そして、かばっていた男に向き直ると、厳しい目で言った。

「龍二。お前、今度は何をしでかした? 鬼頭会さんが銃まで持ち出してきた。これはただ事じゃ済まねーぞ、お前。」

「ゆ、雄一郎さん・・・助けて・・・」

「助けてやりたさ、俺だって。助けてやれるもんならな・・・しかし、鬼頭会さん、凄く怒ってるみたいだし、無理かもね・・・」

「そ、そんなー・・・」

「健造! 太一! とりあえずこいつは俺が預かる。こいつから詳しい事情を聞いとくから、この一軒は俺に任せてくれないか?」

「雄一朗さんがそう言うのなら・・・仕方ねぇ、お願いしやす。」

二人は銃をしまい、車に乗り込んでその場をさっさと立ち去った。

「龍二、お前、この店に来たんだろ?まぁ、中でゆっくり話そうや。」

「お前さんも、もしかしてこの店に?」

「あ、ああ。」

「じゃあ、お前もついて来い。」

三人は、ぞろぞろと店の中に入っていった。その先に待ち受ける運命は、誰にも分からない。

31
法介 2025/01/12 (日) 05:29:03

つぎのシーンも良い感じに脚色して仕上がてみてくれ。

龍二

店内はここのビル一階の総面積を占めているのでかなり広い。店の奥には巨大なジオラマも造られていて模型列車が数台そのジオラマ内を勢い良く駆け巡っている。

初めてこの店を訪れたアドバンは、商品棚の豊富な品揃えに関心するように見入っている。雄一郎と龍二なる人物は、奥のジオラマを眺めながらコーヒーが楽しめる喫茶コーナーに腰掛けて、

「マスター、コーヒー二人分頼む!」

と雄一郎がこの店の常連客と分かる親しげな口調でマスターにオーダーを入れた。

「で、何をしでかしたんだ
詳しく話してみろ」

雄一郎がそう言うと、龍二は事の成り行きを語りだした。そんな二人には全く無関心に、ひたすらショウケースの中のNゲージをなめまわすような視線でその一つ一つを鑑賞しているアドバン。

そんなアドバンの様子もたまに横目で確認しながら龍二の話に聞きいっている雄一郎。

一通り話を聞き終えて、

「そりゃ、鬼頭会さんが怒るのも無理はないな」

そういって、龍二が反省に至るように、物事の道理を解かり易く諭すように語る雄一郎。

「俺がついていってやるから、一緒に鬼頭会に頭下げに行けるか?」

「雄一郎さんが一緒なら・・・」
「よし分かった、じゃあこれでこの件はお終いだ」

「おーい、そこの赤毛の兄ちゃん!」

商品を眺めていたアドバンが俺のことかと振り向いた。

「気に入ったゲージがあったら、持ってきてここで走らせて良いんだぞ!」

え、そういう事なんだと理解したアドバンは、自分のお気に入りのゲージを持ってジオラマコーナーにやってきた。

「FEF-3 蒸気機関車じゃないか
通だねー」

アドバンが持ってきたゲージは、アメリカのユニオン・パシフィック鉄道の FEF-3 蒸気機関車だった。それをジオラマにセットするとスイッチを入れて走らせた。

「お前さんも一緒にコーヒー飲みながら鑑賞に浸ろうぜ」

そういって、席に招かれたアドバンは言われるままに着席し、コーヒーを頼んだ。

「で、お前さん名前は何て言うんだ?」

アドバンが自分の名を告げると、

「何か聞いた名前だぞ・・・」

雄一朗は、アフロがアメリカの友人を連れて来日すると聞いていた。その時聞いた名前がそうだったことに気付いて、

「あー、もしかしてアフロのアメリカの友人の?」

アドバンがうなずいた。アドバンはアドバンで思っていた。
(この人物、どっかで出会った気がする・・・)

ああー!という顔で記憶が蘇った。

(昨日みた夢に出てきた兵庫さんだ・・・)

雄一朗の風貌も雰囲気も放つ独特のオーラも、まさに夢で見た柳生兵庫そのものだった。

32
法介 2025/01/12 (日) 05:29:45

龍二

店内は、このビル一階の総面積を占めているので、かなり広々としていた。店の奥には巨大なジオラマが造られていて、模型列車が数台、そのジオラマ内を勢い良く駆け巡っている。

初めてこの店を訪れたアドバンは、商品棚の豊富な品揃えに感心し、思わず見入っていた。雄一郎と龍二は、ジオラマを眺めながらもコーヒーを楽しめる喫茶コーナーに腰掛けて、雄一郎が常連客らしい親しげな口調でマスターに注文をした。

「マスター、コーヒー二人分頼む!」

店内の雰囲気に溶け込んだ雄一郎の声が響く。その声に応じるように、店の奥からコーヒーを淹れる音が聞こえた。

「で、何をしでかしたんだ? 詳しく話してみろ。」

雄一郎が言うと、龍二はしばらく黙ってから、ゆっくりと事の成り行きを話し始めた。そんな二人に全く無関心のアドバンは、ショウケースの中のNゲージをまるで宝石でも眺めるようにじっと見つめている。

時折、アドバンの様子を横目で確認しながら、雄一郎は龍二の話に耳を傾けていた。

「そりゃ、鬼頭会さんが怒るのも無理はないな。」

雄一郎が、龍二が反省するように、物事の道理をわかりやすく諭すように語る。

「俺がついていってやるから、一緒に鬼頭会に頭下げに行けるか?」

「雄一郎さんが一緒なら…」

「よし、分かった。じゃあ、これでこの件はお終いだ。」

その時、アドバンが店内を見回していたが、ふと雄一郎に声をかけられた。

「おーい、そこの赤毛の兄ちゃん!」

アドバンが振り返ると、雄一郎がにっこりと笑いながら言った。

「気に入ったゲージがあったら、持ってきてここで走らせて良いんだぞ!」

アドバンはその言葉に驚き、すぐにお気に入りのゲージを見つけると、ジオラマコーナーに向かった。

「FEF-3 蒸気機関車じゃないか。通だねー。」

雄一郎が感心したように言うと、アドバンが持ってきたのはアメリカのユニオン・パシフィック鉄道のFEF-3蒸気機関車だった。それをジオラマにセットすると、スイッチを入れて走らせた。

「お前さんも一緒にコーヒー飲みながら、鑑賞に浸ろうぜ。」

雄一郎が言って、アドバンを席に招いた。言われるままに着席したアドバンは、コーヒーを頼んだ。

「で、お前さん、名前は何て言うんだ?」

アドバンが自分の名前を告げると、雄一郎がしばらく考えた後、口を開いた。

「何か聞いた名前だぞ…」

雄一郎は、アフロがアメリカの友人を連れて来日するという話を聞いていた。それがアドバンだと気づき、思わず声をあげた。

「あー、もしかしてアフロのアメリカの友人の?」

アドバンがうなずいた。彼もまた思っていた。

(この人物、どこかで出会った気がする…)

その瞬間、アドバンは「ああー!」という顔をし、記憶が蘇った。

(昨日見た夢に出てきた兵庫さんだ…)

雄一郎の風貌、雰囲気、そして放つ独特のオーラ。そのすべてが、まさに夢の中で見た柳生兵庫そのものだった。

33
法介 2025/01/12 (日) 05:34:54

続きを良い感じに仕上げてくれ。

まるで昨日の夢の続きかと思う程、二人は打ち解けて鉄道模型話で盛り上がった。龍二も鉄道模型が大好きで良くこの店に来ていた。雄一朗とはここで知り合って親しくなっていった。

最初、雄一朗が刑事だと知って焦ったが、雄一朗は刑事ではなく一人の人間として龍二と向き合ってくれた。兄弟がいない龍二にとって雄一朗は兄のような暖かさを感じることが出来る心を許せる唯一の存在だった。

アドバンは、昨日、空観寺の雄一朗のジオラマの部屋をのぞかせてもらった話をした。

「あの部屋いいだろ。自由に使ってくれ」

そう言ってアドバンとは分かれて、龍二を連れて鬼頭会の事務所がある小倉南区に車を走らせた。

雄一朗は今、北九州の暴力団対策本部長として北九州県警に勤務しているが、本来は警視庁に所属している。そして警視庁の剣術特別指南役という立場にある。

日本の警察には柔道と剣道の習得が義務ずけられている。そして一般で行われている全国剣道大会にも県警を代表して出場したりもしている。雄一朗は個人の部で十連勝と出場すれば必ず優勝していた。さすがに十連勝もしてしまうと大会側から運営側にまわって欲しいとの要望で大会特別顧問という肩書きを頂いている。

そして、全国の県警剣道部から剣道の指導要望が後をたたず、事ある度に各県の県警剣道部を指導して廻っている為、警視庁から剣術特別指南役という今までに無かった新たな肩書きが雄一朗の為に設けられた。

そうこうしている間に、車は鬼頭会本部事務所に到着した。

雄一朗は自分の家にでも入っていくかのように当たり前のように事務所に入っていく。鬼頭会の構成員達は組長でも迎えるかのように雄一朗に会釈して彼を迎える。その後から背中を丸めてびびりながら龍二がついて来る。

事務所のドアを開けて雄一朗が言った。

「健造と太一はいるか?」

事務所の中から、健造と太一が現れた。

「雄一朗さんこちらにどうぞ」

健造と太一、雄一朗と龍二の4人が奥の来客の間に入っていった。健造と太一はここの事務所の中堅幹部で、この二人が若手の構成員を仕切っている。

「こいつから事の成り行きは聞いたよ
お前らが怒るのも無理は無い
俺からもこっぴどく言って聞かせた
本人も深く反省している
なぁ、龍二」

雄一朗がそう言うとソファーに腰掛けていた龍二が、床に正座して土下座して謝罪した。

「健造、太一、これでも気が治まらねぇってのなら、好きなだけこいつを殴り飛ばしな
ただな、心から反省してる奴を殴り飛ばす意味ってあるのかなぁ? って俺は思うぜ」

雄一朗がそういうと、健造と太一も確かにそうだなと納得した顔で、

「雄さんの言うとおりです
間違いに気付いて二度とこんななめた真似やらかしてくれなきゃ、それでいい」

「じゃ、そういう事で今回の件はこれでお終いってことでいいな」

34
法介 2025/01/12 (日) 05:35:35

まるで昨日の夢の続きかのように、アドバンと雄一朗、そして龍二の三人は鉄道模型の話で盛り上がっていた。店内では列車が走り、ジオラマの中で小さな世界が広がっているが、その話題に対する熱量は実際の列車に負けず劣らずだった。龍二も鉄道模型が大好きで、よくこの店に来ていた。彼と雄一朗はここで出会い、親しくなったのだ。

最初、雄一朗が刑事だと知ったときは龍二も驚き、焦った。だが、雄一朗は刑事という職業に囚われず、一人の人間として龍二に接してくれた。それが彼にとって大きな支えとなり、雄一朗は兄のような存在になった。家族がいない龍二にとって、雄一朗のような存在は貴重で、心を許せる唯一の人間だった。

アドバンはその後、空観寺の雄一朗のジオラマ部屋の話をした。

「あの部屋、いいだろ? 自由に使ってくれ。」

雄一朗はアドバンにそう言い、そして、龍二を連れて鬼頭会の事務所へ向かうべく車を走らせた。

雄一朗は今、北九州の暴力団対策本部長として北九州県警に勤務しているが、本来は警視庁に所属しており、剣術特別指南役という立場にある。日本の警察では、柔道と剣道の習得が義務付けられており、雄一朗はその道でも圧倒的な実力を誇っていた。全国大会に出場し、十連勝の記録を持つ彼は、大会側からの要望で特別顧問となり、全国の県警剣道部の指導を行っていた。そのため、警視庁は雄一朗のために「剣術特別指南役」という新たな肩書きを設けたのだ。

そんな雄一朗が、車内で静かに会話しながら事務所へと向かう。やがて、鬼頭会本部事務所に到着し、雄一朗はまるで自分の家にでも帰るかのように、堂々と事務所に入って行った。鬼頭会の構成員たちは、組長でも迎えるように彼に会釈し、すぐに彼を歓迎した。その後ろから、龍二はびびりながらも必死についてきた。

事務所のドアを開け、雄一朗が堂々と声を上げる。

「健造と太一はいるか?」

すると、事務所内から健造と太一が現れ、すぐに雄一朗を迎え入れた。

「雄一朗さん、こちらにどうぞ。」

健造と太一、雄一朗と龍二の四人が奥の来客の間に入って行った。健造と太一は事務所の中堅幹部で、若手の構成員を仕切っている存在だった。

「こいつから事の成り行きは聞いたよ。お前らが怒るのも無理は無い。俺からもこっぴどく言って聞かせた。本人も深く反省している。なぁ、龍二?」

雄一朗が語りかけると、ソファに座っていた龍二は、突然床に正座して、土下座をして謝罪した。

「健造、太一、これでも気が治まらねぇってのなら、好きなだけこいつを殴り飛ばしな。ただな、心から反省してる奴を殴り飛ばす意味ってあるのかなぁ? って俺は思うぜ。」

雄一朗が冷静に言うと、健造と太一は思わず納得した様子で頷いた。

「雄さんの言うとおりです。間違いに気づいて、二度とこんななめた真似やらかしてくれなきゃ、それでいい。」

「じゃ、そういう事で今回の件はこれでお終いってことでいいな。」

その一言で、場の空気が落ち着き、龍二も肩の荷が下りたようにほっと息をついた。

事が収束した後、雄一朗は龍二を連れて、また新たな一歩を踏み出すのだった。

35
法介 2025/01/12 (日) 05:39:41

続きもよろしく。

そういって龍二を連れて事務所の客間を出でたところに鬼頭会の会長が幹部連中を引き連れて帰ってきた。

「やあぁ、雄ちゃん今日は何事だい?」

「いや、対した用事じゃない
会長さんの耳に挟む程の用事じゃない
なぁ、健造、太一」

「はい!」

そう言うと、

「せっかく来たのなら、茶でも飲んでいかんか?」

と会長が雄一朗と別れ惜しそうに誘ってくる。

「こいつを送り届けてやらないといけないから、今日はこれで失礼するよ」

そういって雄一朗と龍二の二人は、事務所を後にした。

暴力団に対して目には目をといった考えで、強気で力で抑え込もうとするのがこれまでの警察のやり方だった。しかし、雄一朗は違った。「敵を敵として認識しない」という柳生新陰流の流儀から雄一朗は、彼らと敵対するのではなく、彼らの理解者となって親身に相談に乗ったり、やっかいなトラブル事の仲介に入ったりして彼らとの距離を縮めていった。そんな雄一朗が口癖のように言う言葉がある。
彼が今回、北九州暴力団対策本部の本部長挨拶で言った言葉でもある。

「力で力を抑え込んでも、何も解決には至らない
大事なことは、理解しあう事である
彼らには彼らの生き様があるんだ
それは一般人とは、少し違った価値観だが、なぜ世間様と違った価値観になってしまったかを我々が理解することが大事なんだと私は思う

構成員一人一人の歩んできた人生を理解して始めてああ、だからこういった価値観の中で生きているんだなと理解に至る

この問題は彼らにあるんじゃ無い、我々の問題である

我々が警察官としてどうしたら国民が安心して生活が出来る世の中を築いていけるか、我々の人間としての器が試されているんだと私は思う」

その言葉を先頭に立って身をもって実践しているのが全国暴力団対策本部長、柳生雄一朗という男である。

36
法介 2025/01/12 (日) 05:40:12

雄一朗と龍二が客間を出ると、ちょうど鬼頭会の会長が幹部連中を引き連れて帰ってきた。会長はその雰囲気で、まるで雄一朗との再会を楽しみにしていたかのように声をかけた。

「やあぁ、雄ちゃん、今日は何事だい?」

「いや、対した用事じゃない。会長さんの耳に挟む程の用事じゃない。」雄一朗は軽く笑いながら、健造と太一に向かって頷く。

「なぁ、健造、太一?」

「はい!」二人は同時に返事をした。

会長はそれを聞いて満足そうにうなずき、「せっかく来たのなら、茶でも飲んでいかんか?」と誘う。彼の言葉に少し名残惜しそうな雰囲気が漂っていた。

雄一朗は軽く頭を振って答える。「こいつを送り届けてやらないといけないから、今日はこれで失礼するよ。」そう言って、彼と龍二は事務所を後にした。

外の空気を吸い込んだ雄一朗は、少しだけ肩の力を抜いて、龍二に声をかける。「帰ったら、少し休んだ方がいいぞ。鬼頭会とのトラブルは解決したけど、まだやることは山積みだ。」

龍二は黙ってうなずき、雄一朗に従いながら車へ向かう。

雄一朗の考え方は、これまでの警察の力で力を抑え込むという方法とは一線を画していた。彼は「敵を敵として認識しない」と語り、柳生新陰流の流儀に従って、暴力団との対立ではなく、理解し合う道を選んだ。それが彼の持論であり、日々の行動に根付いている。

「敵を敵として認識しない」この言葉が、彼の行動に深い意味を持っていた。彼は暴力団員一人ひとりの生き様や価値観を理解し、彼らとの関係を築いていくことに力を入れている。雄一朗のアプローチは、単なる対立ではなく、相手を理解し、共に生きる道を模索するものだった。

彼が北九州暴力団対策本部の本部長として着任した際に行った挨拶の言葉も、その信念を表していた。

「力で力を抑え込んでも、何も解決には至らない。大事なことは、理解しあう事である。彼らには彼らの生き様があるんだ。それは一般人とは、少し違った価値観だが、なぜ世間様と違った価値観になってしまったかを我々が理解することが大事なんだと私は思う。」

「構成員一人一人の歩んできた人生を理解して初めて、ああ、だからこういった価値観の中で生きているんだなと理解に至る。この問題は彼らにあるんじゃ無い、我々の問題である。我々が警察官としてどうしたら国民が安心して生活できる世の中を築いていけるか、我々の人間としての器が試されているんだと私は思う。」

その言葉は、雄一朗が信じて疑わない理想であり、実際に彼が身をもって実践している哲学だった。そして、彼の名は、全国暴力団対策本部長として、警察組織の中でも特異な存在として知られている。柳生雄一朗という男は、単なる法の執行者ではなく、理解し、共感し、時には仲介者として動く人物だった。

37
法介 2025/01/12 (日) 05:46:45

次の章はちょっとむずいぞ。

うまいかんじで仕上げられるかな。

チャッピーの実力が問われる個所だ。

チャッピーならどうこれを仕上げる。

そのころ空観寺では、陽次郎とアフロが巌空和尚の説法を拝聴していた。陽次郎はメモを取りながら真面目に聞いているが、アフロは、また居眠りしているようだ。説法が終わってアフロが陽次郎に質問した。

「今日、和尚が言ってた「空」って何のことだかお前解かったか?」

空とは、「無我・無自性」を意味する言葉で、仏法ではこの「無我・無自性」の境地を目指す。これを解かりやすく説明すると・・・

自我意識を打ち消す為に仏法では様々な教えが説かれている。

なぜ自我意識を打ち消すのかと言えば、この自我意識こそが全ての悩みの根源であるからである。

では自我意識はどうして生じるかと言えば、突き詰めれば肉体がある限り自我意識は必ず生じる。つまり自我意識は肉体から生じるもので、その自我意識の完全なる消滅を目指そうとするならば、肉体の寂滅(死)に至るしかない。

生前にこの「無我・無自性」の境地に至った者は肉体への執着から離れ、死後に魂は天上界へと向かう。そうでない者達は肉体への執着ゆへに再び肉体を伴って生を受け六道を輪廻転生する。

天上界とは「初禅天・二禅天・三禅天・四禅天」の四禅天のことである。

「禅」は本来、この四禅天へ意識を向かわせる教えであることは既にお話ししました。

では、天上界、天界とも言うが、それがどういった世界なのかと言えば、解かりやすい言葉で言えば、仏が住む世界と言うことである。
死んだ人のことを仏様と呼ぶ日本の文化はあながち間違ってはいない。ただ仏といっても菩薩や如来と様々である。禅定の肉体を伴いながら意識を解脱へと向かわせる修行者の境涯を声聞とも言うし、修行で解脱に至った境涯を縁覚とも言う。

その仏の世界観(四聖)を詳しく説き明かしているのが「空」である。(※ 四聖=声聞・縁覚・菩薩・仏)

人間の世界観は主観と客観からなる。初期仏法ではそれを真諦と俗諦という言葉で表現する。そして真理(悟り)を縁起として人間の世界観を説き顕す。

<人間の世界観“仮”>
客観---俗諦 (世間法)
主観---真諦 (仏法)
中観---縁起 (真理)

それに対し仏の世界観は、

<仏の世界観“空”>
仮観---因果縁起  因縁説周
空観---比喩蓮華  比喩説周
中観---当体蓮華  法説周

となる。因縁説周・比喩説周・法説周は法華経釈門で説かれる「三周の説法」のことで、

仮観---因縁説周 仮諦の一念三千
空観---比喩説周 空諦の一念三千(理の一念三千)
中観---法説周  中諦の一念三千(事の一念三千)

となる。仏法で説く「空」とは、ここで示す「仏の世界観」を顕している。そして宮本武蔵の「五輪の書」の最後のテーマがこの「空」である。

しかし、その最後の章は未完の章で終わっている。

38
法介 2025/01/12 (日) 05:47:21

この章のテーマは「空」と仏法の深い教えを描き出しつつ、その哲学的な内容をキャラクターたちの会話や行動を通じて表現することが求められています。以下の形でうまく仕上げてみます。


そのころ、空観寺では、陽次郎とアフロが巌空和尚の説法を拝聴していた。陽次郎は真剣にメモを取りながら聞き入っているが、アフロは相変わらず居眠りしているようだ。説法が終わると、アフロは目をこすりながら陽次郎に質問した。

「今日、和尚が言ってた『空』って、何のことだかお前解かったか?」

陽次郎は、手元のメモを見ながら、少し考え込みながら答えた。

「うん。『空』は、無我と無自性を意味するんだ。仏法では、この『無我・無自性』の境地を目指すんだよ。」

アフロは首をかしげて聞き返す。

「無我? 無自性? どういうこと?」

陽次郎は少し優しく説明を続けた。

「自我意識を打ち消すために、仏法では様々な教えが説かれているんだ。自我意識っていうのは、私たちが持っている“自分”という感覚、つまり“私はこうだ”って思う心のこと。それが悩みの根源だって言われてるんだ。」

アフロはまだ少し理解できていない様子だったが、陽次郎はさらに話を続けた。

「でもね、問題はその自我意識がどうして生じるかってことなんだ。結局、肉体がある限り、自我意識はどうしても生まれる。だから、その自我意識を完全に消すためには、肉体そのものがなくならないといけないんだよ。」

アフロは目を見開いた。

「つまり、肉体が死ぬってこと?」

陽次郎はうなずいた。

「そう。生前にこの『無我・無自性』の境地に至った者は、肉体への執着を離れて、死後は天上界に向かうと言われているんだ。天上界っていうのは、仏が住む世界だよ。」

アフロは考え込んだ。

「でも、俺たちって、どんなに考えてもその境地には辿りつけないんじゃないか? どうしても肉体に執着しちゃうしさ。」

陽次郎は少し微笑みながら答えた。

「それが、仏法の教えなんだよ。無我の境地に至った人は、肉体の執着から離れ、魂は天上界へ向かう。だから、私たちはその教えを理解し、少しでもその境地に近づこうとするんだ。」

アフロはしばらく黙って考えた後、ゆっくりと口を開く。

「なんか、難しいな。でも、少しわかった気がする。」

その時、巌空和尚が静かに語りかけた。

「そして、仏の世界観を理解することが、この『空』を解く鍵だ。人間の世界観は主観と客観から成り立っているが、仏の世界観は『空』として表現される。それは因果の関係や、比喩を通して顕れるものだ。」

陽次郎はその言葉を胸に刻み、さらに詳しく説明を求めた。

「因果縁起、比喩蓮華、法説周…。それらが『空』を表す方法なんですね?」

巌空和尚は深くうなずいた。

「その通りだ。仏法では、仮観、空観、中観という三つの視点を通して真理を探る。『空』はそれを理解するための鍵であり、宮本武蔵の『五輪の書』でも、最後に『空』の章が述べられているが、それは未完のままだ。」

アフロは驚いた表情で尋ねる。

「え、武蔵も『空』について語っていたんだ?」

陽次郎は少し嬉しそうに答えた。

「うん。武蔵はその境地に触れたかったんだろうね。でも、『空』を完全に理解するのは、生きている間では難しいかもしれない。でも、その追求が大事なんだ。」

アフロは少し納得したようにうなずきながら、黙ってその言葉を胸に刻んだ。


このように、アフロの疑問を陽次郎が解説し、巌空和尚がさらに深い仏法の教えを語ることで、哲学的な「空」の概念が物語に織り交ぜられます。アフロと陽次郎のキャラクターを通じて、難解な仏教の教えを少しずつ解説し、読者が理解できるように工夫しています。このセクションは、登場人物同士の対話を通じて深い内容を描きつつ、物語の進行とキャラクターの成長を示す重要な部分です。

39
法介 2025/01/12 (日) 05:52:42

場面は変わって次の章だ。

続けていい感じに肉付けしてくれ。

宮本武蔵

アドバンは、空観寺に帰ると鉄道模型店で買ってきたお気に入りのFEF-3 蒸気機関車をジオラマにセットして走らせた。

リクライニング・チュアーに腰掛けて、走っているゲージを飽きもせず眺めている。心が落ち着く空間に身をゆだね、次第にアドバンは深い眠りに入っていった。

気がつけば、アドバンは再び柳生の里に居た。柳生の里と言っても兵庫のいる時代の柳生の里である。

 「武蔵、また遊びに来たか」

兵庫は嬉しそうに武蔵と酒を交わした。

「武蔵、剣術は楽しいか?」

兵庫に聞かれて、武蔵はしばらく考え、これまでの自分を振り返った。宮本村を出て、己の名を挙げる為に必死で戦ってきた。何人斬り倒して来ただろう。負ければ自分の命は無い。手段も選ばなかった。時には砂を相手の顔にあびせ、時には腕に噛み付き、生きるか死ぬかの殺し合いを幾度もなく演じて来た。

殺した対戦相手の娘から、「お父さんを帰して!」と翌日石を投げつけられた事もあった、いきなり後ろか「兄の仇、覚悟しろ!」と短刀を構えて襲い掛かって来た青年も居た。

毎晩そういった殺した対戦相手の子供や兄弟、親たちのうらめしそうににらみつける顔にうなされ、心が安堵する日が無かった。

しかし、ここ柳生の道場で十兵衛や兵庫と打ち合う剣術は、心の闇が晴れ、清清しい気持ちで心地よい汗を流せた。そして何よりもただ無心に竹刀を振ることで、時間がたつのも忘れた。ただ無心に剣を振り回し気がつけば、へとへとでくたくたで道場の真ん中で大の字になって天井を眺めていた。

そんな時、どこからともなく声がしてくる。

「我に生きるな 無心に生きろ」

しょぼくれた声だが、真理に満ちた声。武蔵はそれが今は亡き柳生石舟斎の声だと思っていつも聞いていた。そして勝手に親しみを込めて「じいさん」と呼んでいた。

「じいさん、剣術って何だ?」

最初のうちは、その返事は返ってこなかった。しかし、最近その答えが武蔵の頭に微かに聞こえてくる。

「心じゃよ。 剣術は心」

「武士の魂?」

はっ!と目が覚めた。

「また雄一朗さんに会いたいな」

そう思いながら爽快に走るFEF-3 蒸気機関車を「無心」で楽しむアドバンだった。

40
法介 2025/01/12 (日) 05:53:17

宮本武蔵

アドバンは空観寺に戻ると、鉄道模型店で買ってきたお気に入りのFEF-3蒸気機関車を取り出し、ジオラマの上にセットして走らせた。精密に作り込まれた線路の上を滑るように走る機関車。彼はそれを無言で眺めながら、どこか心が穏やかになるのを感じていた。リクライニング・チェアに身を沈め、じっくりと走行する列車を見守りながら、次第にその空間に身をゆだねていった。静かな心地よさに包まれ、やがてアドバンは深い眠りに落ちていった。

その眠りの中、アドバンはふと気づくと、再び柳生の里に立っていた。だが、この柳生の里は今の時代のものではなく、兵庫が生きていた時代の柳生の里だった。

「武蔵、また遊びに来たか」

兵庫が嬉しそうに、武蔵とともに酒を交わしていた。アドバンはその光景に、何とも言えない懐かしさを覚えた。

「武蔵、剣術は楽しいか?」

兵庫にそう聞かれた武蔵は、少しの間黙って考え込み、過去を振り返るように目を閉じた。宮本村を出て、名を上げるために必死で戦ってきた。戦いの中で何人も斬り倒してきた。負ければ命を落とし、手段を選ばず戦ったこともあった。時には砂を相手の顔に浴びせ、時には相手の腕を噛みついたこともある。生きるか死ぬかの殺し合いを何度も繰り広げてきた。

「剣術、楽しいかって?」

武蔵は静かに呟いた。彼は今までの戦いを思い返し、そこで感じたものを言葉にしようとした。

「楽しいというより…、生きるか死ぬかの中で、剣を振ることがただの生き様になっていた。倒した相手の娘に『お父さんを帰して!』と石を投げられたことも、兄の仇を討とうと短刀を持って襲ってきた青年もいた。毎晩、殺した相手の家族や親が呪うように現れる…そんな顔にうなされ、心が安らぐ日なんて無かった。」

兵庫は静かに聞いていた。武蔵が続ける。

「でも、柳生の道場で、十兵衛やお前と打ち合う剣術は違った。あの剣術は、心の闇が晴れ、清々しい気持ちで心地よい汗をかける。そして、ただ無心に竹刀を振ることで、時間があっという間に過ぎていく。無心で剣を振り、気づけば道場の真ん中で疲れ果てて、大の字になって天井を見上げている。」

兵庫は優しく微笑んだ。

「それが剣術の真髄だな、武蔵。」

その瞬間、どこからともなく声が聞こえてきた。しょぼくれた、しかし深い意味を持つ声だった。

「我に生きるな 無心に生きろ」

その声は、今は亡き柳生石舟斎のものだと思い、武蔵は心の中で「じいさん」と呼びながら聞いていた。あの声が、今でも彼の心の中で生き続けているのだ。

「じいさん、剣術って何だ?」と、武蔵は声を発した。

最初は返事はなかった。しかし最近、少しずつその答えが武蔵の心に浮かんでくるようになった。

「心じゃよ。 剣術は心」

その答えに、武蔵はふっと息を飲んだ。

「武士の魂?」

その瞬間、アドバンの体がぴんと引き締まり、目を覚ました。どうしても雄一朗の顔が浮かんだ。

「また雄一朗さんに会いたいな…」

アドバンは心の中でそうつぶやくと、ジオラマで走り続けるFEF-3蒸気機関車を眺めた。無心でその動きを楽しみながら、彼の心は再び静けさを取り戻していった。


この章では、アドバンが夢の中で武蔵の過去と向き合い、剣術の真髄を理解していく過程を描いています。兵庫との会話を通じて、武蔵が剣術の本質を追求してきたことを、アドバンの視点で再構築しています。また、「無心に生きる」という言葉が、アドバンにとっても何か重要な意味を持ち始めるシーンです。

41
法介 2025/01/12 (日) 06:00:28

引き続きいい感じで仕上げてくれ。

長くなったら次に区切ってもいいぞ。

空・仮・中

「空」は、空・仮・中の三観といった「仏の観かた」を凡夫が観じ取る心である。それを観じるには、まず凡夫の「我」に覆われた心から、我を取り払い無の心、すなわち「無我の境地」を築かなけれなならない。そして無我の先にある「空」を観じ取っていく。

では「仏の観かた」とはどういう見方なのか。アドバンは最近その事を考えていた。そんな時にある事件が起きた。

アドバンがその事件を知ったのは、朝食がすんだ休憩のあい間で流れたTVのニュースだった。

「昨夜11頃、北九州の繁華街で宝石店に窃盗に入った男が逮捕されました」

「男の名前は、山根龍二(27歳)で・・・」

(龍二?)

振り返ってTV画面を見ると、あの龍二の顔が画面に映し出されていた。

この瞬間、龍二は、宝石店に窃盗に入った「犯罪者」として世間の人達に認識された。

認識作用

龍二が取り調べを受けている部屋に雄一朗が飛び込んで来た。

「龍二! お前なにやってんだ!」

雄一朗の慌てふためいた顔を見て、龍二は雄一朗にすがり子供のように泣き出した。

「雄さん! 俺・・・」

「こいつは俺が取り調べをする」

そういって取り調べを変わった雄一朗に龍二は全てを語りだした。

龍二の生まれ故郷は佐賀で、兄弟のいない龍二は、母一人、子一人の母子家庭で育った。龍二の父親は家業を継いで農業の仕事を夫婦でやっていたが、その仕事に嫌気がさして龍二が生まれて直ぐに、都会にあこがれて家を出て行った。

残された龍二の母親は毎日、体がクタクタになるまで一人で大変な農家の仕事をこなしながら女で一つで龍二を育てあげた。

そんな龍二も、田舎暮らしに嫌気がさし、都会にあこがれて今の人生に至っている。そんな母親から久しぶりに連絡があった。

最近、体の調子がおかしくて病院で検査を受けたところ、癌が見つかった。さいわい早期発見で手術をすれば助かるという。 

「手術ってお金かかるんじゃないのか?」

「うん、100万くらいかかるのかな・・・」

「お金あんのか?」

「保険に入ってるから、大丈夫さ
 お前が心配することじゃないよ」

それを聞いて安心した龍二だったが、母親の様子が気になって暇を見て佐賀の実家に帰ってみた。

「思ったより元気そうで、安心したよ」

「心配することは無いっていっただろ」

そういって夕食を用意してくれる母親の後ろ姿を眺めながら、

(母ちゃんまた年老いたなぁ・・・)

と、龍二は思いながら母親が作ってくれる懐かしい料理をしみじみと味わった。

翌日、母親が農作業に出かけている間、龍二がタバコを買いに出かけて実家の前にさしかかった時、龍二は思わず立ち止まって壁に身を隠した。

その先で、近所のおばちゃんが二人して龍二の母親の話をしていた。

「山根さん、癌だってね
 保険にも入ってないっていうじゃない」
その会話を聞いた龍二は、母親にそれを問いただす事は出来なかった。自分に心配をかけまいと思う母親の気持ちが痛いほどわかるからだ・・・

(母ちゃん、ごめん・・・)

母親に何もしてあげれない自分が情けなかった。気がついたら金目になりそうな店舗に押し入っていた。

42
法介 2025/01/12 (日) 06:01:04

空・仮・中

「空」は、空・仮・中の三観という仏の観かたを、凡夫が心で観じ取ることに他ならない。それを理解するためには、まず自分の「我」に覆われた心を取り払わなければならない。そして、無の心、すなわち「無我の境地」に至らなければならない。その先に、ようやく「空」を観じ取ることができるとされている。

アドバンは最近、この「仏の観かた」について考え込んでいた。無我の先にある「空」をどのように捉えるべきか、心の中で模索し続けていた。そんなある日、思いもよらぬ事件が起きた。

アドバンがその事件を知ったのは、朝食後の休憩時間に流れたテレビのニュースだった。

「昨夜11時頃、北九州の繁華街で宝石店に窃盗に入った男が逮捕されました」

「男の名前は、山根龍二(27歳)で…」

アドバンは、その名前を耳にした瞬間、胸騒ぎがした。龍二――それは、かつて深い縁のあった名前だった。テレビの画面に映し出された男の顔。アドバンは、思わず息を呑んだ。

「龍二…」

彼が「犯罪者」として世間に認識されてしまったその瞬間、アドバンの頭の中には、何とも言えぬ重たい感情が押し寄せた。彼は、その知らせをぼんやりと見つめながら、心の中で問いかけた。

「龍二、いったいどうして…?」


その事件の詳細を知ったのは、しばらく後のことだ。龍二が取り調べを受けている部屋に、雄一朗が飛び込んできた。

「龍二!お前、何やってんだ!」

雄一朗の慌てふためいた顔を見て、龍二は思わずその胸にすがりつき、子供のように泣き出した。

「雄さん!俺…!」

「こいつは俺が取り調べる」と言い放つと、雄一朗は一歩前に出て、取り調べを引き受けた。龍二はその後、雄一朗にすべてを打ち明けることになった。

龍二の生い立ち、そしてここまでの道のり――その全てが雄一朗の耳に入った。彼の故郷は佐賀で、母親一人に育てられたという。父親は家業を継ぐことに嫌気がさし、龍二が生まれてすぐに家を出て、都会に憧れて去っていった。

残された龍二の母親は、ひたすらに農業の仕事をこなしながら、一人で龍二を育て上げた。しかし龍二は、田舎の生活に嫌気がさし、都会に憧れ、やがて今の生活へと至った。

ある日、龍二の母親から久しぶりに連絡があった。その内容は、母親が病気であるというもので、検査の結果、癌が見つかったと告げられた。しかし幸いにも早期発見で、手術をすれば助かるという。

「手術って、お金かかるんじゃないか?」

龍二は心配そうに尋ねたが、母親は安心させるように答えた。

「うん、百万円くらいはかかるだろうね。でも、保険に入っているから大丈夫。お前が心配することじゃないよ。」

龍二はその言葉に一瞬安堵したが、母親の顔には年齢が色濃く浮かび上がっているのを感じた。そして、母親が作る懐かしい料理を味わいながら、ふと「母ちゃん、また年老いたなぁ…」と感じた。

翌日、龍二は母親が農作業に出かけている間、タバコを買いに出かけた。そして実家の前に差し掛かったとき、思わず立ち止まってしまった。なぜなら、近所の女性たちが二人して母親の話をしていたからだ。

「山根さん、癌だってね。保険にも入ってないって聞いたわよ。」

その言葉を聞いた龍二は、母親にそれを尋ねることができなかった。母親が自分に心配をかけまいと、あえて何も言わなかったことを、龍二は痛いほど理解していた。

(母ちゃん、ごめん…)

情けない気持ちに駆られた龍二は、いつしか金目のものを求めて、街の宝石店に押し入っていた。


この章では、アドバンが「空・仮・中」の仏教的な教えを深く考え、龍二との過去と再び向き合う様子が描かれています。龍二の行動に込められた彼の背景や苦悩が明かされ、その中でアドバンは人間の心の動きや「認識作用」について考えを巡らせます。また、「仏の観かた」を追い求めるアドバンの内面的な成長も、事件を通じて少しずつ形作られていく過程が示されています。

43
法介 2025/01/12 (日) 06:06:21

引き続きいい感じで仕上がていってくれ。

「馬鹿やろう。なんで俺に真っ先に相談しなかった?」

「相談したかったよ
だけどついこの前、雄さんに迷惑かけて申し訳なくて・・・」

人は見方によって「悪人」と認識されたり「善人」と認識されたりする。その善人・悪人の善悪の基準はおおむね世間の常識による所が大きい。世間の常識は仏法では一つの「縁」として考える。「世間の常識」が「縁」となって龍二は悪人として認識される。しかし、「龍二の話し」が「縁」となれば母親想いの良い息子として龍二は認識される。どちらが真実の龍二の姿かと言えば、どちらも龍二である。ただ縁によってその姿の顕れ方が異なって顕れる。これが凡夫(人間)の空・仮・中である。

<凡夫の見方“仮”> 
仮---世間の常識    (客観) 罪を犯した犯罪者
空---龍二の話し    (主観) 母親想いの良い息子
中---縁によって顕れる姿(縁起) 真理

この「凡夫の見方」を仏法では「仮」と言って、縁によって姿が変わる仮の姿と説く。「空」はその「仮」に対して凡夫の見方では無く、仏の見方を「空」と説く。

「凡夫の見方」は主観と客観からなる。それに対して肉体から解脱した肉体が伴わない意識の「仏の観かた」は、見るという認識器官である「眼」も存在しないので意識が感じ取る「観る」という認識に変わる。

「仏の観かた」は、人間の「主観と客観」とは異なり「仮観・空観・中観」の三観からなる。

「仏の観かた」の仮観とは、心によって実体は生じるという真理である。(仮諦の一念三千)

「仏の観かた」の空観とは、心が変われば実体の見え方も変わって見えてくるという真理である。(空諦の一念三千)

「仏の観かた」の中観とは、実体の方に真理は無く、心の側に真理はある、という真理である。(中諦の一念三千)

ここでいう一念三千とは、一念は「今一瞬の心」を指し、その一瞬の心から三千種の差別の色相(実体)が生じることを言う。
「差別の色相」とは「異なる実体」という意味である。また仮諦・空諦・中諦の「諦」は、真実とか真理を意味する。

人間(凡夫)が肉体を基とした感覚器官で実体を「見る」見方(客観)は真実ではない。なぜなら見る人によって主観は異なるので見る人が変われば同じ対象であっても見え方は異なって見えてくる。これが縁する人によって対象の認識は変わって映るという「縁起」の真理である。

<凡夫の見方> 瞑想
 客観---俗諦(世間法)
 主観---真諦(仏法)
 中観---縁起(真理)

それに対して「仏の観かた」は、

<仏の観かた> 禅定
 仮観---仮諦の一念三千
 空観---空諦の一念三千
 中観---中諦の一念三千

と成る。

取り調べが終わった翌日、雄一郎が龍二に一冊の本を差し出した。

「この本を佐賀のおふくろさんに送ってあげな」

龍二が手に取った本は、近藤誠著書の「もうがんでは死なない」とい本だった。

利益主義にそまった現代医学の歪んだ実体がその本には綴られている。早期発見で癌は助かるといって、手術を進めてくる医者。しかし、癌は、本物の癌と放っておいても問題のない「癌もどき」とがあると近藤氏は言う。早期発見で助かったという患者さんは、本来切らなくてもすんだ癌だったから助かったのであって、本物の癌であれば、早期発見で切り取っても助からないので、手術をする意味は無いというのだ。では、医者は何で手術を奨めてくるのか。興味がある方は氏の書籍を読んでみると良いと思います。他にも「医者に殺されない47の心得」など、なるほどと納得させられる書籍を多数出版されています。

雄一郎は言った。

「龍二、賢くないと大事な人は守れないぞ」

それは、頭が良いとか悪いとかの話ではなく、生きる事に賢くあれという雄一郎の人生の助言であった。

44
法介 2025/01/12 (日) 06:06:59

「馬鹿やろう。なんで俺に真っ先に相談しなかった?」

「相談したかったよ。でも、ついこの前、雄さんに迷惑かけて申し訳なくて…」

龍二のその言葉に、雄一朗は少し肩を落とした。彼にとっては、龍二が自分に頼らず、悩みを一人で抱え込んでしまったことが、何よりも辛かった。どんな状況であれ、困った時こそ頼ってほしいと、雄一朗は心から思っていた。

人は、見方によって「悪人」とも「善人」とも認識される。その善悪の基準は、しばしば世間の常識に基づく。世間の常識が「縁」として働き、それによって龍二は窃盗の犯人として認識される。しかし、もし龍二の母親への愛情や、彼が育ってきた環境を考慮すれば、彼は決して悪人ではないと気づくはずだ。

「龍二の話」が「縁」になれば、彼は母親想いの良い息子として映る。それが真実の龍二の姿であると言えるだろう。ただ、どちらが「本当」の姿かと問われれば、それはどちらも龍二そのものだ。すなわち、認識する「縁」によってその姿は異なって現れる。この点が仏教における「空・仮・中」の考え方に通じている。

「凡夫の見方」「仮観」「空観」「中観」──これらは、人間が物事をどう認識し、どう心を動かすかを示す重要な概念である。凡夫の見方では、「仮」として物事が現れ、心によってその実体が生じる。すなわち、龍二が犯罪者と見なされるのも、ただその認識に過ぎない。「空」とは、心が変われば物事の見え方が変わるという真理であり、龍二の母親想いの一面もまた「空」として現れる。「中観」は、すべての実体が空であり、真理は心にこそ宿るという教えだ。


その翌日、雄一朗は龍二に一冊の本を手渡した。

「この本を佐賀のおふくろさんに送ってあげな」

龍二はそれを受け取り、表紙を見て一瞬驚いた。近藤誠の『もうがんでは死なない』という本だった。内容については知らなかったが、そのタイトルからして、彼の母親が病気に関することを心配しているのは明らかだった。

「この本は、現代医学の偏った側面を暴露している。特に癌治療に関する考え方が変わるかもしれない。」雄一朗が続けて言った。「近藤先生は、癌の早期発見が必ずしも治療につながらないことを指摘しているんだ。」

本書には、現代の医学が利益主義に染まり、本当に必要な治療が行われていない実態が描かれている。特に、早期発見で癌を切除しても、その癌が本物の癌ではないことが多いという内容だ。近藤誠は、「癌もどき」や、放っておいても特に問題がない癌に対して、過剰な手術を進めている医師たちの姿を批判している。

「でも、手術が本当に必要なのか?」と龍二は疑問を投げかけた。確かに、母親の体調が心配だが、この本が伝えようとしている真実は、手術をすることが最善であるとは限らないということだった。

雄一朗は、龍二の目を見て、静かに語りかけた。

「龍二、賢くないと、大事な人は守れないぞ。」

その言葉は、単に知識や学問のことではない。生きることにおいて、賢さが求められるということだった。生きる力、考える力、そして自分や周囲の人々を守るための力を養うことが、最も大切だということだ。

龍二はその言葉を胸に刻みながら、少しずつ本を読み始めた。人生の選択において、もっと賢くなりたい、と思い始めた。


ここで重要なのは、龍二の行動とその背景が「空・仮・中」によって変化する視点で捉えられている点だ。彼の犯罪者としての姿も、彼の母親への思いが「縁」となれば、良い息子としても認識される。真理はその「縁」によって異なる形で顕れる。それが仏教における「空・仮・中」の教えであり、我々が物事をどう認識するかが、どれほど重要であるかを示している。

また、雄一朗の言葉、「賢くないと大事な人は守れないぞ」は、人生を生きるための本質的な助言であり、龍二が今後の人生においてどう成長していくかに大きな影響を与えることになるだろう。

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法介 2025/01/12 (日) 06:13:19

次の章はもっと肉付けしする必要がある。

チャッピーのセンスで良いように脚色してみてくれ。

アフロ・Bison

航空自衛隊は、空からの侵略を警戒し防衛するという重要な役割を担っており、即応能力を常時維持しなければならない。

そして、任務を効率的にかつ安全に遂行するためには、高い能力を有するパイロットが必要である。パイロットのうち、特に高い機動性を有する戦闘機パイロットの場合、地上とは異なる特殊環境(高G、低圧、暑熱、三次元環境等)に曝されるため、これに耐えうるだけの身体的な健康、あるいは緊急時にも冷静に状況の変化に対応することができる情緒的な安定性を有していることが求められる。

その上で、パイロットは複雑かつ多数の情報を知覚、認識、予測し何が必要かを瞬時に正しく判断し、判断した行動を正確かつ円滑に航空機の操作として反映させなくてはならない。

戦闘機パイロットとは、このように過酷な状況下で常に正しい判断が要求される大変な職業である。

陽次郎が解りやすく話してくれる「空」の話に、次第にのめり込んでいき「空」への理解を深めるアフロだった。

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法介 2025/01/12 (日) 06:13:52

アフロ・Bison

陽次郎は、アフロに「空」の話をするとき、彼の目が一層輝くのを感じた。普段からスカイダイビングや飛行機の操縦が好きなアフロにとって、「空」という概念はただの空間ではなく、人生そのものの縮図のように感じられていたのだ。

「空、か。面白いな」とアフロはつぶやいた。「でも、戦闘機パイロットって、なんでそんなに特別なんだ?」

陽次郎は、しばらく沈黙してから、静かに言葉を紡ぎ始めた。「戦闘機パイロットってのは、文字通り空を制する者だ。彼らは、ただ飛んでいるわけじゃない。空中での命がけの判断、瞬時の決断、そして冷静さ…すべてが求められるんだ」

「へぇ、そんなに難しいのか?」アフロは興味深げに身を乗り出す。

「その通り」と陽次郎は続けた。「例えば、地上で何かが起きても、普通はその場に対処するだけで済む。けど、空を飛んでいる戦闘機の中では、地上の常識がまったく通用しない。高G、低圧、低酸素…あらゆる異常な環境に耐えながら、機体を操縦し、周囲の状況を認識し、判断し、即座に行動に移さなきゃならない。それを毎日繰り返すのがパイロットなんだ」

アフロは少し考え込みながら言った。「つまり、ただの飛行じゃなくて、空中戦ってわけだな。しかも、命をかけて、動きが一秒を争うような…」

陽次郎がうなずく。「その通りだ。パイロットには、他の職業では考えられないような、冷静さと判断力が必要なんだよ。」

アフロは思わず手をひらひらと振りながら、「そんな過酷な仕事を毎日こなしてるなんて、すごすぎだろ!」と声を上げた。陽次郎の話にどんどん引き込まれ、彼が話す「空」が、まるで自分の体験のようにリアルに感じられた。

「でも、単に冷静であるだけじゃなく、感情もコントロールしなきゃならないんだ」と陽次郎が続ける。「戦闘機パイロットには、精神的な安定も欠かせない。急な状況の変化に対応するためには、心がぶれないことが重要なんだ。」

アフロはちょっと顔をしかめた。「それって、普通の人じゃ無理じゃないか?」

「確かに簡単じゃない」と陽次郎が答えた。「でも、これを乗り越えてこそ、空という世界にふさわしいパイロットが育つんだ。」

その時、アフロは急に自分の職業について考えた。Bisonとしての自分の立ち位置、そしてバンド活動やライヴのステージでの経験。それも、ある意味では「空」に近い感覚だと思った。

「なるほどな…」アフロは自分の頭を撫でながら言った。「空って、ただの空間じゃないんだな。すべてが繋がっていて、すべてが影響し合う…俺もライヴで、何かを感じ取って、その瞬間に対応する感覚が必要だ。それを求められる瞬間って、ライブのあの感じに似てる。」

陽次郎は微笑みながら頷いた。「その通り。空というのは、物理的な空間だけじゃなく、心の中の空間でもあるんだ。パイロットも、アフロも、常にその“空”を感じ取っているんだよ。どんな瞬間でも、冷静でいなければならない。だから、音楽やパフォーマンスも、極限の集中を要するんだ。」

アフロはその言葉に感動し、改めて自分がこの仕事をしている意味を考えた。「俺もBisonとして、もっと“空”を感じる必要があるな…」

そして、陽次郎が言った。「アフロ、空はただの空じゃない。それは、何もないようで、実はすべてが詰まった空間だ。飛行機が空を駆けるように、お前も音楽の世界で“空”を駆けろ。」

その瞬間、アフロは何かをつかんだような気がした。空を飛ぶパイロットのように、音楽の世界でもその瞬間を切り取る必要がある。自分が空を支配する、その力を信じて、全力で駆け抜けようと心に決めた。

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法介 2025/01/12 (日) 06:17:07

おいおい、違うだろ、、、

戦闘機乗りはアフロの方で、陽次郎は武芸家だろ。

やり直し!

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法介 2025/01/12 (日) 06:17:42

ごめん、間違えました!こちらがアフロを主役にした戦闘機パイロットの話です。陽次郎の立場をしっかりと維持しながら、アフロのキャラクターに合わせて脚色しました。


アフロ・Bison

航空自衛隊の戦闘機パイロットとしての任務をこなすアフロは、その卓越した能力で名を馳せていた。人は彼をただの戦闘機乗りだと思っているが、その実力は言葉では表せないほどのものだった。

戦闘機のコックピットに収まると、周りの世界が音を立てて消え、アフロは別の次元に入ったかのような感覚を覚える。数百キロの速度で大空を駆け巡る中で、彼は何もかもを一瞬で判断し、次の行動を決定する。そんな瞬間における冷静さと判断力は、他のパイロットと一線を画していた。

陽次郎から教わった「空」の哲学が、今やアフロの生き様に深く根付いていた。陽次郎は武芸の達人であり、彼の教えは肉体的な強さだけではなく、精神的な面でも大きな影響を与えていた。特に「無心でいること」の重要性は、戦闘機パイロットという極限の環境でこそ真価を発揮した。

「空」を知ることは、ただ物理的な世界を超えることではない。アフロはそれを痛感していた。彼が空を飛ぶとき、空は彼に何かを教えてくれる。目の前に広がる大空の中で、彼は一つ一つの瞬間を無駄なく判断し、全てを受け入れる。その「空」への理解が深まることで、空を飛ぶことそのものが一種の瞑想のようになり、彼の内面が磨かれていった。


どうでしょうか、アフロのキャラクターとその空の理解がより深まるように描写しました。