エイサップの条件
ローテンブルガー大尉が存命の頃、オーラロードについての「観測」を告げにきたことがあり、オーラロードはあらかじめ地上界とコモン界の双方に引き寄せ合う生体があり、そのオーラ力によって発生する、どちらか一方の存在、一方の思いだけでは生じないらしい、と述べた。
オーラマシン研究所の研究からどうしてそういう観測が得られるのかは詳しくはわからないが、長年にわたる地上人の降臨事例を集めていった結果なんだろう。判明したことは、たいていの場合に『むこうとこちらの回線の端末があった』とも表現している。
この「端末」の両端が、かつて迫水の場合はアマルガンだったのだろうとはわかる。ハロウ・ロイではない。リュクスにとっては、岩国に鈴木君がいたからだ! と迫水はそのときに腑に落ちるものがあったのだろうけど、上で挙げたリュクスの側の因縁はいかにもそれらしい条件が揃っているにしても、鈴木君が何故?……と読者は思わないだろうか。三巻の内容だけなら、『ロウリィがいたからだ』とは考えないか。
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エイサップ鈴木君はキャラが薄いというわけではないけど、冗談みたいな「やってみるしかないテロ」にしても生体力らしい不穏さを準備しているのはロウリィで、その準備した状況に乗って聖戦士として迎えられるのがエイサップで、ロウリィと金本はそれほど評価されず読者・視聴者にも嫌われるではエイサップに都合が良い。……
……と考えるのは浅はかな読者で、エイサップの聖戦士の条件はこれから読んでいこう。迫水を見てわかるように、バイストン・ウェルで聖戦士になるために必要なのは「曇りなき眼」とか「平和を希求する心」等では、とくにない。
「やってみるしかない核戦争」と、もくろむ大状況の規模はエメリスのほうが格段にでかいが、生体力のでかさはロケット弾と核爆弾の物理的なエネルギーの比較では測れないかもしれない。オーラバトラーが地上界に上がったときの異常なパワーの例からも想像できる。
エメリス・マキャベルはロウリィよりも生体的に強力とは限らない、とわたしは思うが、エメリスが聖戦士の資格があるとは誰も思うまい。
誰も思うまい……、と書いたけど、ガノタ由来の富野読者の中にはエメリスの思想を読んでも『そうだなあ』と思う人が実際には結構いるかもしれず、その程度はわからなくはない。今は、エイサップの条件。
空中に消えていく白鳥の翼を視認し、その翼のついている靴を見、靴からのびた脚を目で追っているところで、脚、尻、胴体と黒髪をもった体が一気に視界に迫ってくる。
それから1ページ余りにわたり、訳のわからない肌の生暖かいような感触と、濡れた布が顔に貼り付く感触に混乱させられて、ようやく視界をふさいでいた脚が動いて退いてくれたと思ったときには、その一方の膝で、横面をなぐられていた。
どうみても、エイサップの側の条件はここで確立したとしか考えられない。