自転車道場

ホイール規格の歴史と未来

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昨日のことのように思うEXPO70が55年前になりEXPO25、その間に自転車の規格もずいぶん変化してきた。
 その中でも車輪(ホイール)の話を書く。

 EXPO70の頃、日本で一番売れてた自転車はミニサイクルと呼ばれていた。ホイールは20インチ(406)、足の短い日本人には車輪が小さくフレームも1本で低床で女性に人気があった。それまでは実用車と呼ばれるダイヤモンドフレームが一般的で新聞配達も豆腐屋もこれを使っていた。女性には使いにくく、戦前の軍隊が使ってた自転車そのままの形だった。

 新聞配達の自転車整備を頼まれたことがあったけど、とにかく重かった。ブレーキは鉄棒でワイヤーがなくシューは真上に上がりリム側面ではなくリム本体を摩擦して止まる、この自転車がミニサイクルの登場によって世の中から一掃された。実用車の車輪は正確には覚えていないけど26×1 3/8じゃないかなと思う。

 日本のママチャリはその後も26× 1 3/8サイズが主流で大部分の車輪がそのサイズだった。それからMTBが出てきて26×小数点規格、2.0や2.4など、これは26×分数規格より少し小さかった。そしてこれらのサイズとは別に競輪やツールドフランスなど競技用として700cチューブラーがあった。僕が知っている一番古い競技用車輪は1964東京オリンピックで使われた700cだった。当時木製のリムもあったけどサイズはみんな700cで統一されていた。現在も自転車競技のホイールは700cで変わっていない。

 日本では競技用は700c、ママチャリは26×1 3/8、MTBは26×小数点、20世紀の間続いた。
 最初に書いたミニサイクルは1980年頃に市場から消え去り、406サイズのママチャリはなくなり、また26×1 3/8が主流になる。

 そして21世紀、MTBの世界に27.5と29という大きい車輪が登場する。27.5はロードの700cと近いサイズで最初の頃はこれが主流になる?とも思えたけど、レースでは29が有利でそのうち29が主流になった。そして26×小数点のホイールは廃盤になり絶滅した。現在MTBの世界は29が一番多く27.5も天然記念物化しつつある。

 2025年ママチャリの世界は電動アシストが主役となり、ママチャリ=電動の時代がきた。そして電動アシストの世界で一番売れているのが、なんと406車輪。1970年に流行ったミニサイクルが今、電動アシストで復活。前後に子どもを乗せて重戦車のように走っている。電気のアシストがあるので少々の重量増は気にしないでいいのでイスも頑丈に作られている。本来車輪が小さいとジャイロ効果が働かず不安定になる、しかし電動アシストはホイールベースが長く重量が重いので、重心が低くドッシリして不安定さを打ち消している。子どもを乗車させる時も低い方が楽で安全。全て理にかなっている、なので売れている。

 競技用車輪の世界は周長は700cで昔も今も変わらない、しかしリムブレーキがディスクになり、エンド幅も変化し、昔の車輪と今の車輪では互換性がない。タイヤ幅も太くなったため昔の細いリムとは互換性がない。長く自転車に乗っているとリムはよく壊す、穴や段差に突っ込むと一発で壊れてしまう。しかしリム以外は使えるのでリムだけ交換したいけど、車輪の規格がコロコロ変わるため10年前の規格のリムなど市場にはなく廃盤になっていることが多い。リムだけ交換で済むものを車輪全部交換、また車輪のハブ幅が合わなければフレームまで交換しないと乗れなくなっている。

 20世紀の自転車は修理して使うことが可能だった、でも21世紀の自転車は修理は部品が手に入らないため不可能、全部買い直しになる。自動車だと20年前の部品でも注文すれば買うことができる、しかし自転車は3年前の部品でも廃番で買えない、これは自転車はシマノが1社独占状態で廃盤にするのもシマノの自由、規格変更して従来の物を使えなくするのもシマノの勝手、全てがユーザーの利益ではなくシマノの利益だけで回ってるのが最大の原因。自転車は消耗部品さえ交換できれば50年でも100年でも持つ、しかし部品が交換できなければ1年でも寿命で乗れなくなる。

 ホイールの規格変更の歴史は最近10年位の間にシマノの都合で朝令暮改のごとく、めまぐるしく変わった。今後どの規格が残るのかの未来も見えない。シマノ独占は今後もしばらく続きそうなので、もっとめまぐるしく規格は変更され、無理に部品を買わされるのが予想される。

 その時、20世紀の規格を使ってた方が面倒くさい規格変更に巻き込まれず、一番安上がりに自転車を楽しめるかもしれない。最近26×小数点規格の中国製ホイールを整備して、これ前後7000円なら、これでいいんちゃう?と思った。シマノは部品供給をする気は全くなく、SDGSの作る責任も一切感じていない。3年で補修部品が手に入らないなんて自動車の世界では考えられない「ユーザー無視政策」です。こんなこと自動車の世界でやったら社会問題になって議員も政治も動くでしょう。すべての日本国民は3年で自動車買い換えろと強制してるようなものですから。

 一部のサイクリストだけが我慢し、ほとんどの国民は何が起こっているのか気づいてもいない、だからこんなシマノだけが儲かる横暴が続く。一番手に入らない補修部品はリム!僕は中古ホイールでリムの程度のいい物を買って分解し、リムだけ置いてます。なんでユーザーがこんな自己防衛しないとダメなのか・・・・それが自転車の世界です。絶対持続せんやろと思います。

ディープインパクト
作成: 2025/09/21 (日) 19:59:13
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