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かわいいは正義。はっきりわかんだね
飛行機作りますかねぇ()
以上になります。
ありがとうございました!
圧倒的な力を持つウォーデンが自国の兵士を蹂躙する...うーんこの描写しゅき♡(曇らせ推奨委員会)
しかし、そこで彼らが見たのは”ウォーデン”が自分たちに向けられた胸に空いた大きな口。そこからは青い光が漏れ出していた。
ダイバー1「まずい!!」
既に衝撃波が今にも放たれようとしており、このままでは衝撃波によって二人が撃ち抜かれるのは確か。なら自分がすることは…
”ドンッ”という強い衝撃と共に自分を吹き飛ばしたのは、さっきまで自分の手を掴んで走っていたピグリン兵。人間が持つ膂力をはるかに超える力でダイバー1を衝撃波の範囲外に突き飛ばしたのだ。
衝撃波が迫りくる中でピグリン兵は…笑っていた。そして衝撃波は突き飛ばした影響で若干ずれたが…彼の下半身を跡形もなく吹き飛ばした。
ダイバー1「…!!??」
叫ぼうとした瞬間に、衝撃波の余波と主砲が”ウォーデンに”着弾した際に生じた衝撃で吹き飛ばされてしまった。体が宙を舞い、何度も地面に体を叩きつけられる。
ダイバー2「ダイバー1!!大丈夫か!?」
その衝撃はダイバー1を援護していたダイバーズ達の元にも届いていた。吹きすさぶ突風と砂煙に煽られながらも隊長の無事を確認する為に声を張り上げる。
ダイバー1「大丈夫だ!!…俺は…しかし…!!」
ダイバー1は辺りを見渡し、砂埃が視界を塞ぐ中、自らの命を救ってくれた”英雄”を探しまわる。…そして、彼の足がある物の前で止まる。
ダイバー3「隊長!見つかりましたか…!?」
ダイバー1の後を追ってきた隊員達が目にしたのは…下半身を消し飛ばされ、臓物と血が飛び散り、ぶちまけられていた…ピグリン兵の残った上半身の部分であった。
ダイバー1「…!医療キットを持ってこい!止血作業をする!!」
彼はそう言うとピグリン兵の元に駆け寄り必死に圧迫し血を止めようとする…が、もはや間に合わない…いや間に合うわけがない。すでに上半身しかない状態で、多くの臓器が失われ…また欠損している状態だ。体の断面が損傷部分である以上、人の手での止血など焼石に水。実際、彼が合わせている手の周りからは血があふれ出ているではないか。
ダイバー2「ダイバー1…もう…彼は無理だ…」
困惑した彼の口からそう、言葉が出る。医療キットを取りに行ったとて、延命出来るわけでは無い。悪い言い方だが、無駄な行動であった。
ダイバー1「無理ではない!今からでもまだ間に合う!!」
そう言って懸命に治療を行おうとするが…ダイバー1自身も間に合わないことは分かっている。しかし、だからといって諦められない。いや、諦められるわけがない。
ピグリン兵「…だ、だいちょう…ざん…?…よがっだ、ぶ…じで…」
”ヒューッ、ヒューッ”という息も絶え絶えなピグリン兵はそう呟いた。自分の事よりも他者を気遣う。優しい彼だからこそだろう。
ダイバー1「喋るな!!お前は死なせない…だから!!」
そう言って止血作業を続行するダイバー1の手にピグリン兵の手が添えられる。
ピグリン兵「もう…だいじょうぶ…だべ…た…いちょ…うさんが…ぶじな…ら」
あの時…あの作戦以来、たいちょうさんは生気もなくただただ死に急いでるように見えた。心配だった…だからこそ彼の為に何かしてあげたい…そう思ってこの作戦に参加した。他の自分と同じピグリンの仲間達にも止められたけど…それでも行きたかったのだ。
ダイバー1「駄目だ…駄目だ駄目だ駄目だ!!…一緒にホグリンのカツ丼を食うんじゃなかったのか!?」
そう、たいちょうさんに手を取られながら言われる。
作戦開始前に彼に言われた言葉。まさか故郷で飼っていたホグリンの肉がこんなにも美味しいものになるとは思っていなかった…何度も食べるくらいに自分のお気に入りの料理だった。…でも。
ピグリン兵「もう…おい..ら、はおなか…いっぱ…いだか…ら。あと…は、たいちょ…うさんが…たべて…ね…」
それが彼の最期の言葉だった。力を無くした手がダイバー1が握っていた手から落ち…地面に落ちる。彼の最期の顔は…穏やかな笑みを浮かべていた。
ダイバー2「ダイバー1…」
ダイバー3「隊長…」
ダイバー1の心境や如何に…隊員達が彼に声を掛ける。ダイバー1は力なく遺体の前に座り込む。
座り込んでいるのは何も彼らだけではない、同じように倒れた者に駆け寄り、彼らの無事を確かめようとする兵士達の姿であった。
兵士「おい!…こんなところで…こんなところで死ぬんじゃねえ!!」
兵士「頼む…頼むから目を開けてくれえぇぇええ!!」
兵士「うわぁぁああああ!!こんなの…こんなのって嘘だろぉ!!ちくしょぉぉおおおおおお!!!」
彼らの虚しい叫びは洞窟内に反響し木霊する。
この戦いで命を落とした兵士の数は100を優に上回る。
全てが前線にいた歩兵であり、装甲車も数台が大破。戦車と砲兵部隊が無傷だったのが大きいのだろうが。
ダイバー1「あ…あぁ…」
そして新しく編成されたDiver’sの人員も約半数が命を落とした。いずれもあの時と同じ形で。
ダイバー1「…あ、ああ…ぁぁぁあああああああああ!!!!」
両こぶしを地面に叩き、何も救えず後悔と悲しみと怒りに苛まれ、虚しい叫び声が戦場に響き渡る。
時刻は午後4時、戦闘から6時間経過した”斜陽”が照らす夕刻の時であった。
下半身はまだ埋まっているが、この大きな口から吐かれる衝撃波があれば、こんな輸送車なぞ吹っ飛ばす事が出来る。青い光が漏れ始め、衝撃波が今か今かと放たれようとしていた。
ピグリン兵「あわわ…早く、早く空いてくれぇ!!」
ピグリン兵も衝撃波が放たれれば自分がどうなるかなんてわかっている。ピグリン特有の膂力をもって必死にドアを開けようと藻掻くが、完全にフレームが歪んだドアはビクともしない。青い光が煌々と輸送車を照らし、放たれようとしたその瞬間。
“ウォーデン"の右肩に30mm砲弾が突き刺さり、傷だらけだった肩から肉を飛び散らせる。
「グォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オオオア゙????」
突如飛来した砲弾によりさらなる損傷を受け、苦痛を含ませた悲鳴を上げる。”ウォーデン”の右方向からは、歩兵戦車とその周りに展開するダイバーズが英雄の救出のために輸送車目掛けて進軍しているではないか。
運転手「ダイバーズ、30mmが効いてるぞ!このまま奴を削り続ける!今のうちに救出を!!」
ダイバー1「了解した!しかしこれ以上の被害は出せない…自分が行く!他の者は”アバドン”に攻撃!輸送車には絶対に当てるな!」
ダイバーズ「「「了解!!」」」
ダイバー1は輸送車目掛けて駆け出し、他の者達は歩兵戦車と共に攻撃を続行する。
「ガッァア゙ア゙!ゴッオ゙ェ゙ェ゙ェ゙エ!!」
小銃弾、30mm砲弾は共に”ウォーデン”の体表を削り、傷口に着弾した物は更なる深手を与えていく。もうあの時の無類の強さを発揮した獣はいない、ここまでやってようやく歩兵の装備で互角になるのだ。とはいえ完全に致命傷を与えるには大口径による砲撃が必要では有るが。
輸送車まで辿り着いたダイバー1は運転席にいるピグリン兵を肉眼で捉える。
ダイバー1「大丈夫か!?」
ピグリン兵「…!たいちょうさん!ドアが…ドアが開かないんだべ!!」
ダイバー1「クッ…!!やっぱり開かないか。」
やはり開閉レバーが機能してない。しかし、このロックさえ壊せれば二人の力で無理やり壊せるはず…
ダイバー1「下がってろ!」
そう言って自らの小銃をドアのロック部に突きつける。彼もダイバー1のやることを察し隣の席まで移動する。2度の発砲、それによってロック部を破壊する。
ダイバー1「今だ!合わせるぞ。」
ピグリン兵「おりゃああ!!」
“バキンッ!”という音と共にドアが開く。
ダイバー1「来い!!」
ピグリン兵「んだ!!」
ダイバー1が伸ばした手を掴み、共に輸送車から脱出、ダイバーズがいる地点まで急ぐ。
ダイバー1「戦車小隊!英雄を救出した!やってくれ!」
戦車小隊長「了解した!」
砲塔が回転し照準が輸送車の前にいる”ウォーデン”に定まる。
戦車小隊長「撃て!!」
主砲が火を噴き、”ウォーデン”を確実に死に至らす存在が高速で”ウォーデン”に向けて殺到する。
ダイバー1「よし、これで!!…!?」
ピグリン兵の手を引き走り続けたダイバー1が”ウォーデン”の様子を見よう振り返った。
それはかつての悪夢の再現。一度目の遭遇に起こった事とほぼ同じ状況である。圧倒的暴力の前にただただ蹂躙される隊員を生き残ったダイバーズ達は見てるだけしかなかった。
強力な衝撃波を放った”ウォーデン”は全身からそして両方の口から血をしたらせ…急に”グリンッ”と首を回して彼らへ顔を向ける。視覚もなく聴覚も失い彼らの位置が分からないはずなのに、まるでそこに居るのが分かっているかのように彼らを視ていた。
ダイバー1「…ッッッ!!」
”次はお前だ”と言わんばかりの殺意を向けられ、尻込みをしてしまう。本能が”アバドン”を恐れてしまっているのだった。
”勝ち筋が見えな—”
ダイバー1「(いや、臆してはいけない。ここで奴を止めなければ、中衛部隊が…ここに参加している部隊全員が犠牲になる。ここで奴を倒さなければ…!!!)」
自らを鼓舞し、再び彼らに指示を行おうとした。しかし、この一瞬の隙が命取りになる。
ダイバー3「隊長!!」
ダイバー1の目の前には、既に”ウォーデン”が肉薄していた。腕を振りかぶり自分を攻撃する者達を率いる大将を殺そうと腕を振りかぶり…
「皆どいてくれだべ!!!」
突如聞こえた大声に反射的に身を下がらせるダイバーズ達、ダイバー1が見たのは”ウォーデン”の土手っ腹に突撃をカマす黒い兵員輸送車。そしてこの特徴的な語尾、来てくれたのだ。
ピグリン兵「うぉぉぉおおおお!…りゃぁああああああああ!!!」
アクセル全開。奴がダイバーズにしたように突進し、そのまま遺跡の壁に輸送車ごと”ウォーデン”を叩き込む。土煙を派手にあげながら、”ウォーデン”を壁に固定した…この手を逃すまい。
ダイバー1「戦車小隊!奴を狙えるか!!」
戦車小隊長「ああ、土煙が出てるが補足した! 輸送車にいる英雄を助け出してくれ!! 彼を巻き込みたくはない!!!」
ダイバー1「分かった!」
彼らは英雄を助ける為に急いで輸送車を目指す。
ピグリン兵「…ん…あれ、おでまだ生きてる…?」
一時的な失神から意識を回復したピグリン兵は潰れかけた運転席で目を覚ます。そうだ、たいちょうさんは大丈夫なんだろう…
”ドンッ!!”という大きい音と衝撃が輸送車を揺らす。車のフロントガラスに映っていたのは口から血をしたらせ、鬼のような形相をした怪物、”ウォーデン”の顔が至近距離にあった。
ピグリン兵「ひぃいい!!」
“ウォーデン”は胸の下までを輸送車に潰されながらも残った右腕で必死に車を押し、叩いて自らの自由を取り戻そうとしていた。
しかし、腕は力を入れるたびに”メリメリッ”と悲鳴を上げ、体の至るところにある傷からは”プシュッウ”と血が噴き出している。
彼等の戦いは無駄ではなかった。彼らが与えた傷は、たとえ小さくとも今となっては大きな傷となって広がり、”ウォーデン”の力を奪う。
ピグリン兵「早く…早く逃げなきゃ!!」
そう言ってドアを開けようとするがドアの開閉レバーが”ガチャガチャ”と動くだけで開けることは出来ない。先程の衝撃でフレームが歪んでしまった為、通常の方法では開けられないのである。
そうこうしている間に”ウォーデン”は自由を取り戻しつつある。腕が悲鳴を上げながらも輸送車をずらし、輸送車によって壁に埋まっていた胸にある大きな口が自由を取り戻す。
「オ゙ォア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!」
ドンッ!!っという音を響かせて雄叫びと共に衝撃波が真正面の空間を下から上に切り裂く。
先程放っていた物よりも更に太く威力の増した衝撃波によって射線上にいた兵士達は全身を、または半身を文字通り消し飛ばされる。
「は??」
これが誰が漏らした言葉なのかは分からない。しかし、あまりにも理解が出来ない状況だった。さっきまでこの化け物はピクリとも動かなくなっていたではないか?それなのになぜまた動けるようになったのか?兵士達の間に困惑の色が浮かぶ。
ドウゥゥ!!!と再び横薙ぎに放たれる衝撃波、それらは”ウォーデン”に対して正面に展開していた困惑している兵士達を薙ぎ払い始めた。
兵士「あっぶねえ!!」
上半身を文字通り消失する兵士達を横目にヘッドスライディングすることで直撃を防いだとある兵士。何度も何度も同じ攻撃パターンから姿勢を低くすることで生き延びてきた。
兵士「良かった。なんとかなっ…おぁごっぉえ!!」
姿勢を低くして頭上を薙ぎ払う衝撃波を躱したものの、頭上へ降りかかる衝撃波から逃げられず圧力で圧死してしまった。衝撃波がより強く太くなった影響で周りにも強い影響力を与えてしまい、もはや今までの回避方法でも死亡してしまう。
ダイバー4「なんだ…何なんだこの化け物は…」
ダイバー3「隊長!!…更に強くなってませんかこいつ!!」
ダイバー1「…ッ!!!」
ダイバーズは先に行動を起こし、”ウォーデン”の後ろに回り込んでいた為に被害を受ける事は無かった。しかし、2射…いや、薙ぎ払いの1射で包囲していた部隊の半数が死亡してしまった。
彼らが見たのは上半身が無くなった死体、上から降り注いだ圧力によって出来た血の染み達、強者が放つ圧倒的な力に弱者は無力だった。
ダイバー1「私が悪かったのか…!?」
恐らくあの怪物には何かしらの抑制…リミッターが掛けられていたのかもしれない。それを壊してしまった…パンドラの箱を開けてしまったのかもしれない。
自分が指示したことにより大勢の命が失われてしまった事に深い後悔と絶望が刻み込まれ…。
ダイバー2「ダイバー1!!惚けてる場合ではないぞ!!!」
副隊長が隊長に喝を入れる。そうだ、打ちのめされている場合では無い。いかなる犠牲を払おうとも今ここにいる怪物を倒さねば悪夢は終わらないのだ。
ダイバー1「戦車による攻撃でしかこいつはもう倒せない…奴を縫い留め続けなければ、すまないが命を懸けてくれるか?」
ダイバーズ「「「「了解!」」」」
ダイバー1「散開するぞ!挟み込んで攻撃!!」
この号令によって全員が左右に分かれて挟撃を行う。
体を銃弾で撫でられ、鬱陶しくなった”ウォーデン”はミシミシと体を軋ませながら射撃を行っているダイバーズに狙いを定めて一気に突進、近くにいたダイバー7に突進する。
ダイバー7「!?」
その目の前に広がるは”ウォーデン”の鉄鎚のような右拳。
ダイバー7「あ、げふっ!!」
正面から大質量の攻撃を喰らい、頑丈なはずの防弾ベストの隙間から血が噴き出す。”ウォーデン”の突進はこれだけでは止まらない。そのままダイバー7を拳に収めながら後ろの隊員も巻き込む。
ダイバー15「うぐぅっ!」
ダイバー5「あぎぇっ」
突進そのまま、三人のダイバーズを拳で押し込み後ろの遺跡の壁に叩きこむ。出来上がったのは三人の遺体が重なり、ぺしゃんこになった赤いサンドウィッチ。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!…オ゙ア゙ァ!!」
”ドウッ!!!”と三度、振りまきざまに放たれる衝撃波。それは直線上にいた隊員達を包み込む。衝撃波が通りすぎた後、そこに残ったのは隊員の足元のみ。手負いの獣の進撃を止める事は出来ない。
銃撃や爆発を喰らいながらこちらも衝撃波で反撃する。
隊列に次々と穴が空きつつも必死に喰らいつき、徐々に”誘導”を行う部隊。命を削り、欠員を出しつつも必死に”ウォーデン”を導いた先には…
兵士「これでも喰らえ!化け物め!!」
“ウォーデン”の足元にあるのは対戦車地雷。ファントムの最後の仕掛けである。
爆炎に包まれるがその中にはくっきりと”ウォーデン”の影が写し出される。爆発が済むとダメージによって直立する”ウォーデン”の姿が見える。狙撃には充分すぎる隙だ。
狙撃兵「援護に感謝する。」
そう言って放つのは、対物ライフルによる射撃…狙うのは、何度も何度も攻撃に晒されてきた衝角…感覚器官である。これを2丁の対物ライフルで根本からへし折った。
“!?!?!?!?!?!?!?!?…!!!!????….?..?….”
ビクン!!…と暴れていた”ウォーデン”は振り上げていた腕をおろし…その場で沈黙する。まるでシャットダウンしてしまったかのように…
兵士1「と、止まった…?」
兵士2「やった…のか?」
今まで暴れていた怪物が、嘘のようにピクリとも動かなくなった状況に兵士達は困惑の色を隠せない。
ダイバー1「全員気を引き締めろ!!油断は禁物だ。負傷者を後退させろ、戦える者は”アバドン”を包囲する! 戦車部隊!NZ砲弾による射撃は可能か!?」
戦車小隊長「ああ!ここからなら可能だ!全員下がらせてくれ、ダイバー1!!」
ダイバー1「了解した。聞いたか全員!?包囲を維持しつつ距離を取るぞ!」
そう言って兵士達は下がり始めるが、ある者が”ウォーデン”の異変に気付いた…いや、気づいてしまった。
兵士「ん…?”アバドン”が震えている?」
その言葉で包囲していた全員が一斉に”アバドン”を見る。
さっきまで弱く震えていた”ウォーデン”が段々と強く震えていく…フルフルからガタガタと…そしてビクンッと体を更に強く震わせt…
〜〜〜
兵士「こちら後衛部隊!ポイントを更新!」
兵士「急げ!中衛地点まで移動するぞ!」
中衛部隊が”ウォーデン”と接敵する少し前、部隊が抜けて人員の空いた中衛の補充として後衛部隊が移動を開始しようとしていた。
兵士「全員乗ったぞ!移動してくれ!」
ピグリン兵「!…少し揺れるから気をつけてくれなんだべ!」
兵士「ああ!!こっちは気にせず急いでくれ!」
ピグリン兵「分かったべ!!」
そこにはダイバー1を慕う兵員輸送車を操るピグリン兵の姿もあった。音響機器を外し、兵士を移動させるために中衛地点への移動を行っていたのだ。
ピグリン兵「たいちょうさん…待っててくれだべ!!」
種族を超えても、そこにはお互いを想いやる友愛の気持ちがあった。はやる気持ちを抑えながら、彼はアクセルを踏んで輸送車を走らせる。
~~~
ダイバー1「105mm砲撃て!!」
号令と共に放たれる105mm砲と、”ウォーデン”の衝撃波が放たれるタイミングは奇跡的に一致した。装輪戦闘車達が放つ105mm砲弾は精密な射撃精度を持っていたことが仇となり全弾衝撃波と真っ向からぶつかる。
しかし腐っても人類の叡智が生み出した兵器。高い貫通力を持つために僅かながらその軌道が逸れるだけであった。
しかしその僅かな軌道の変化でも進み続ければ大きな誤差となる。結果的に砲弾は”ウォーデン”の周りに着弾し、奴の型抜きをするだけに留まった。
ダイバー1「射撃開始!」
105mmの最大火力による先制攻撃は失敗したが、直ぐに次の攻撃命令が下される。着弾の衝撃波で身動きが取れない”ウォーデン”に対して、銃撃の雨が殴りつけるように降り注ぐ。
“ウォーデン”「…?、…!?…?」
今までは何ともなかったチャチな豆鉄砲だが…何故か痛みを伴う様な素振りを見せる。そもそも”ウォーデン”に痛覚があるかは微妙だが、奴は困惑し身じろいでいる。
それもそのはず、銃弾が集中しているのは半ばから引き千切られた左腕の傷口や損傷が酷い箇所である。まるで傷口に塩を塗るかのごとく、外皮が硬いのなら中身を攻撃する事で有効打を与えているのだ。
この機を逃がすまいと20mmの連装機関砲を連射していた戦闘支援車が、同じく搭載していた4門のロケットランチャーによる対戦車ミサイルを解き放つ。それと同時に歩兵の陣営が動き、スタングレネードを幾らか投げつけた…複数からの致命傷を狙った波状攻撃である。
しかし、もうこの攻撃は経験済みであった。”ウォーデン”はダメージに耐えながらも即座に迎撃態勢に入った。スタングレネードの無効化は経験済みである為、すぐさま地面に向けて衝撃波を放ちスタングレネードを吹き飛ばす。そしてそのまま衝撃波を横薙ぎに放ち対戦車ミサイルを全弾迎撃、レーダーでも付いているのかと疑うかの様な正確ぶりだ。そしてそのまま間髪入れずに次は自分のターンとばかりに横薙ぎに衝撃波が放たれる。
ダイバー1「全員伏せろ!!」
彼の声を聞いた大部分の兵士達は反射的にその場に伏せるが、一部の兵士達は間に合わずに”ズバァン!!!”という音と共にその命を上半身ごと刈り取られる。
ダイバー1「かなりの学習速度だな…もう誘導弾とスタングレネードの迎撃能力を備えたか。」
ダイバー2「ダイバー1、もうスタングレネードによる効果は見込めん。次の無力化プランを試す他ない。このまま行けば衝撃波攻撃によって被害が拡大するばかりだからな…」
ダイバー1「そうだな、聴覚を支えるあの角のような感覚器官を破壊する。狙撃班、狙えるか?」
狙撃兵「ああ。チャンスをくれるか?ダイバー1。」
ダイバー1「良し、時間稼ぎをしつつ隙を作るとしよう。」
ダイバー1の指示に従い、部隊は一斉に”ウォーデン”目掛けて攻撃を継続する。小銃、機関砲、爆発物…ありとあらゆる兵器が牙を剥き、”ウォーデン”目掛けて殺到する。
“ドゴンッ!!!”という音が響き、鉄やセラミックの塊である歩兵戦車が文字通りくの字に曲がる。体当たりの威力を殺しきれず、そのまま歩兵戦車はゴロゴロと地面を転がり、沈黙した。
しかし時間は稼げた。”ウォーデン”目掛けて兵員輸送車とその周りに居る兵士達が銃撃を浴びせる。しかし、今までに”ウォーデン”に致命傷を与えられたのは現状120mmや155mmの高火力砲である。そんなチンケな豆鉄砲で止まる相手ではないのだ。
しかし、兵士もそんなことは流石に分かっている。兵員輸送車から降りた一人の兵士がロケットランチャーを疾速する”ウォーデン”目掛けて発射する。
不規則な加速を行いながらも獣目掛けて飛翔する誘導弾、しかし銃弾とは違う自らに向かってくる音に反応した”ウォーデン”は腕を正確に振り抜き誘導弾を弾く、急に横から衝撃を喰らった誘導弾は”ウォーデン”の横に着弾し爆炎を咲かした。
兵士「ロケランを弾くなんて反則だろ!!」
兵士「クソッ!!止まれ止まれ止まれぇ!!!」
銃撃を掻い潜り、勢いのままにウォーデンは兵員輸送車に向けて腕を振り下ろし、”グシャッ!!!”という音を起てて運転席を叩き潰す。あまりの衝撃に兵員輸送車の後輪が一瞬浮き上がる程だ。運転手は後ろの席と前の窓に潰され、弾け飛んだ体から出た血が”ウォーデン”の体を赤く染め上げる。
“カランッ”、”コロンッ”
暴虐の限りを尽くす”ウォーデン”の足元に転がるスタングレネード。何度も同種の自由を奪ってきた必殺武器だ。
しかし、獣には通じない。
“ドウッ!!!”という音と共に”ウォーデン”は衝撃波を”地面”に向けて放った。衝撃波は地面に衝突し、”ウォーデン”を中心に衝撃を撒き散らす。それはスタングレネードを一瞬にして遠方に弾き飛ばし、周りにいた兵士をも吹き飛ばす。
遠方に飛ばされたスタングレネードは爆発するものの、距離が遠くなった事で大した威力にならなかった事と、衝撃波の音にかき消された事で”ウォーデン”には通じなかった。
むしろ、スタングレネードがその威力を発揮したのは同じように吹き飛ばされた兵士達にである。
兵士「うわぁ!」
兵士「ぐぅ!!」
“ウォーデン”を倒すために使用した必殺武器は使用者達に向けて牙を向く。閃光と衝撃に兵士達は苦しみ、その場で蹲まる…この機を逃す獣ではない。
“ドウッ!!”
放たれるはいつもと同じ衝撃波、しかし”ウォーデン”は放つと同時に体を横に捻る。衝撃波はいつもの点による狙撃から、広範囲の薙ぎ払いへとその攻撃方法が変わる。
兵士「ぎゃ!!」
兵士「あ”んっ!!」
直撃すれば命を奪う衝撃波が、周囲の兵士を容赦なく薙ぎ払った。頭、腕、足といった千切れた体の一部や、分断された上半身や下半身が宙を舞う。
血まみどろの地獄絵図となった中心で、蹂躪の限りを尽くした”ウォーデン”は咆哮を轟かす。そして、足元に居る負傷し動けない兵士を捉えその剛腕を振り降ろそうとする。
兵士「ひぃっ!!」
兵士は迫りくる衝撃から身を守ろうと腕を頭上に向ける。勿論そんなのでこの獣が繰り出す攻撃を受け止める事など出来ない。命を刈り取ってきた剛腕が無慈悲に一人の兵士を叩き潰そうとしたその瞬間、轟音が鳴り響いた。
”ウォーデン”は突如飛来した物体に上げていた左腕を抉り飛ばされ、その衝撃で十数m吹き飛ばされる。そのまま近くの瓦礫の山に衝突し、盛大な砂埃を撒き散らした。
兵士「あ…ぅあ…?」
兵士は音の鳴った方向を見る。そこには中衛に居た”ウォーデン”との唯一の実戦経験があるダイバーズ含む中隊規模の部隊と105mm砲や戦闘支援装備を搭載した車両群が居た。
ダイバー1「…遅すぎたか…すまない。」
あるお伽話では英雄は遅れてやって来て、ピンチになった仲間を救うのだが、現実はそんな美談では収まらない。
彼らが見たのは蹂躪の限りを尽くされた2個小隊である。英雄達は来るのが遅すぎた。
その時、瓦礫の山を吹き飛ばして”ウォーデン”が姿を表す。左腕は千切れ青い血が滴り落ち、体のあちこちは複数の傷が刻まれている。
105mmの貫通弾でようやく傷を与えられた。異常な硬さである。
ダイバー1「これ以上…我々の部隊をやらせるわけにはいかん!!」
ダイバーズ含め各部隊は怪物に向き直る。
ダイバーズにとってはリベンジマッチ。オペレーション・バビロンにとっては第3ラウンドの火蓋が幕を切って落とされようとしていた。
確かに慢心していなかったし、油断もしていなかった…ただそれは”ウォーデン”と直接対峙し、その恐ろしさを身をもって体感したダイバーズだけである。誰しもがここまでの快勝を得て、気を緩めない人間はいない。
ただ、この戦場ではその一瞬の油断が命取りになるわけで…前線が崩壊するのは一瞬であった。
”ドウッ!!!”っという音と共に前線に一条の青い光が走り、射撃をしていた兵士たちの群れに吸い込まれ…炸裂する。直撃を喰らった者達はその光線…衝撃波に体を貫かれ、一瞬でその命を刈り取られる。掠った者も吹き飛ばされ、骨折や打撲など少なくない怪我を負う。
一発だけではない、何度も大きく胸に空いた口から空気を吸い込み呼気と共に衝撃波を放つ、その連射速度は以前の比ではない。”弾丸の檻”に閉じ込められていた際にエネルギーを溜めていたのだ。前線を張っていた兵士達は衝撃波が直撃するたびに簡単にその命を散らしていき、前線に混乱が巻き起こる。
兵士「クソッ!!これが報告にあった衝撃波か!?こんなに連射できるなんて聞いてないぞ!」
兵士「ふざけんな!こんなの反則だろ!!」
前線にいるのは1個中隊…3個小隊の計300人である。負傷した者を運ぼうとする者、少しでも怪物の気を引こうと無謀に怪物に向かって射撃する者、慌て怯える者、三者三様である。
中隊長「慌てるな!1個小隊は後退して中衛と合流しろ!!残りの2個小隊で”アバドン”を抑えるぞ!!」
獣は檻から解き放たれてしまった。もう前衛の戦力だけで殺せるような相手ではない。
与えられた役目を果たすべく1個小隊はすぐさま負傷者を運んで後退し、残りの2個小隊は”ウォーデン”に向き直り正面から迎え撃つべく陣形を組みなおす。
”ウォーデン”は咆哮を挙げながら地団駄を踏み…爆発的な脚力で踏み出して前進する。
小隊長「射撃開始!!」
号令と共に200丁に及ぶ銃火が解き放たれ、”ウォーデン”に襲い掛かるもその疾走は止まらない。自らを抑え込む火力が下がった事と、今まで全く動けなかった鬱憤を晴らせる事が”ウォーデン”を前に前に進めているのだ。
兵士「と、止まらない!!」
兵士「隊長!!後退指示をおねがいs…」
”ウォーデンは”その速度と圧倒的膂力をもって二つの拳によるダブルハンマーを陣形に向けて振り降ろす。土煙と赤い血肉が噴水のように吹き上がった。
それだけではない、敵陣のど真ん中に居る獣はその巨木のような腕を振り回し、周りに展開する兵士を蹴散らしていく。
兵士「ふげえっ」
兵士「おごばぁっ」
圧倒的膂力を持つ”ウォーデン”の腕に殴られた者達は、上半身を引き千切られたり腕や腹を潰される。
まだまだ終わらない。悲鳴や苦痛の声を挙げる兵士達を次の獲物として捉え、その剛腕を振り下ろそうとした時、その体を30mm砲弾が殴りつける。
“ウォーデン”は僅かに怯んだが、すぐさまその方向へ向き直ると突進を開始する。そこには砲塔を横向きにして射撃をしている歩兵戦車がいた。突進してくる”ウォーデン”に向けて必死に射撃を繰り返すが獣は止まらず、勢いのままに歩兵戦車の土手っ腹目掛けて体当たりをかます。
その声を聞き、先程まで装甲車に乗っていた者達、この場所で誘導をしていた者達が一斉に蜘蛛の子を散らすようにその場から退去を始める。
兵士1「ここまでくればいいだろう…来るぞ!その場で伏せて耳を塞いでろ!」
距離は取った、後は砲撃の衝撃から身を守るだけである。
観測兵1「砲兵部隊、砲撃しました!…5、4、3…弾着…今!!」
放物線を描いた投射物は、身動きが取れないながらも穴から出ようと藻掻いていた”ウォーデン”に真上から直撃し…爆発。綺麗な爆炎を咲かせる。
落とし穴という閉鎖的空間で喰らう衝撃は並大抵の威力ではない、爆発による衝撃が逃げる場所が穴の出口…上しかないからだ。その上から降ってきた弾頭が炸裂した際に圧力が一気に高まる…圧力鍋のような状態に近いのだろうか。
逃げられない“ウォーデン”は、文字通り上から降り掛かり穴の中で高まった衝撃を身を持って体験している。誘導弾や榴弾の炸薬によって爆炎の熱で身は焦げ、爆発の衝撃で体内の骨格や内臓は押され、潰れてグチャグチャになる。
穴の中にいた怪物はある程度原型は留めているものの、表皮が焼け爛れて体のあちこちから臓器が飛び出た物言わぬ骸と化していた。
2度目の成果にファントム陣営から歓声が挙がる。
〜司令室〜
オペレーター1「2体目の”アバドン”の撃破を確認しました!」
オペレーター2「これで後1体を残すのみ…被害もほぼ微小…このまま行けば…!!」
前回とは売って代わり、2体の”ウォーデン”を被害無く葬った事実に司令部は安堵する。このまま行けば…最良の結果を持ち帰ることが出来る…その希望が見え始めた…。
〜〜〜
戦場では最後の”ウォーデン”が未だに銃弾の嵐の真っ只中にいる。頭部に付いている口からは唸り声が鳴るのと同時に、胸部にある大きな口からは青白い光が漏れ出していた。
決して慢心をしていた訳でも油断していたわけでも無い。しかし、今追い詰めていた獣は我々の知っているような只の獣ではなかった…そのことをファントムはその身を持って味わうことになる。
「「「うわぁぁあああああ!!!」」」
古代都市通路、そこでは1台の爆走する兵員輸送車とそれを追いかける1体の”ウォーデン”。現在2体目の”アバドン”撃破作戦中である。
兵士1「おい!俺達の役割って”アバドン”を引きつけるんだよな!?これってただ襲われてるんじゃないのか!?」
兵士2「俺達だけであんな化け物どうこう出来るわけねーだろ!結果的に誘導できてるからいいじゃねえか!」
彼らが与えられた役割は装甲車を使った”アバドン”の誘導である。しかし、あまりにも待ちぼうけを喰らった”ウォーデン”は怒り心頭でおり、目の前の物を破壊するだけのマシーンと化している状態である。
兵士1「おい!距離詰められてきてるぞ!もっとスピード出ねえのか!?」
運転手「駄目だ!道が荒れててやがる!これ以上スピードを出したら横転しちまう!」
兵員輸送車も荒廃した古代都市のせいでスピードを出せずに、徐々にその距離を詰められて来ている。
兵士2「クソッ!近づいてきやがる!!」
兵士3「武器を出せ!少しでもいいから時間を稼ぐぞ!!」
彼らは兵員輸送車に搭載されている12.7mm機関銃や持参している小銃を後ろから迫りくる”ウォーデン”に向ける。
兵士1「撃て撃て!近づけさせるな!」
装甲車上部に取り付けられた12.7mm機関銃や、後部のドアを開けた兵士達が自動小銃を撃ちまくる。
しかしこの“ウォーデン”、20、30mm機関砲で負傷させないまでも、やっとダメージを与える程の硬さである。こんな豆鉄砲で止まるはずがない。現にやや遅くはなったが、ジリジリと距離を詰めてきている。
兵士3「ヤバいヤバいヤバい!まだなのか!?指定されたポイントは!!」
運転手「もう少し…あった!!飛ばすからどっかに掴まってろ!!」
そう言ってギアチェンジ、エンジン全開で車をかっ飛ばす。
前方に居る誘導ポイントで待機している兵士達の脇を掠め、まさかのドリフトをしながらダイナミック駐車を決める。ナイス駐車。
兵士1「良し!なんとか行けそうだな。ワイヤーを張ってくれ!」
その言葉を受け、誘導ポイントで待ち構えていた兵士達は足元にワイヤーを張って直ぐに退散する。
その数秒後に待ってましたと言わんばかりにその場所を目掛けて”ウォーデン”が突進してきた。そして結果は前回示した通り、足を取られて盛大にすっ転ぶ。
転んだ先は、地面に大きく書かれているバッテン印、ファントムお手製の罠である。『ズボッ』っという音と共に”ウォーデン”は一気に下まで転落する。その瞬間、穴で火柱が噴き上がった。
穴の下に設置されていたのは対戦車用の地雷、前回のIEDと同じく”本命”の攻撃前に行う所詮”繋ぎ”役の攻撃であるが…”ウォーデン”はあまりの衝撃に数m浮き上がるほどの威力であった。
しかし、穴の高さは約10m、工作兵が汗水垂らして必死に掘った結果である。推定体高が3〜5mの”ウォーデン”では数m浮き上がったとしても穴からは出られない。一瞬の浮遊の後はアリ地獄生活に逆戻りだ。
ダイバー1「ポイントにターゲットを誘導成功!! 砲兵部隊は第3波投射用意!!」
オペレーター「了解。砲兵部隊は宜しくお願いします。」
砲兵部隊隊長「おう任せな!お前ら指定のポイントに発射だ!!調理開始と行こうぜ!!」
砲兵1「発射準備いつでも行けます!」
砲兵部隊隊長「おう!奴らをこんがり調理しようじゃねえか!撃てぇ!!」
陣地後方の砲兵部隊が3度目の火力投射を行う、爆音を奏でた砲撃が周りの空気を震わせ、大きな衝撃を与える。
誘導員「砲撃がこっちに来るぞ!全員出来る限り距離を取れ!」
基地の大型ポータルを超えた先…見るも無残な姿になった”古代遺跡”では、人と人ならざる者の戦いの場が繰り広げられていた。
歩兵は3つの部隊に満遍なく別れており、前線への補充やバックアップといった形になっている。現在、ファントムが展開している車両数、歩兵数は共に一個大隊(1000人、45両)に匹敵するかしないかの量だ。
ポータルから近い順に砲兵部隊及び軽、主力戦車部隊がいる後衛部隊、装輪戦闘車や戦闘支援車がいる中衛部隊、歩兵戦車や兵員輸送車がいる前衛部隊に別れている。そしてその前線では…
3体の獣に吹きすさぶのは、弾丸のスコール。横殴りに叩きつける弾丸達は完全に奴らを地面に縫い付けている。
ダイバー2「ターゲットをリード。ダイバー1、これからどうする?」
ダイバー1「威力偵察を行う。主力戦車小隊に伝達、”N-09合金”を使った…120mmNZ徹甲弾を使用してくれと。」
ダイバー2「分かった、後衛部隊に伝えよう。」
指示が発令され、主力戦車部隊はその砲塔を旋回し砲口を…何も無い虚空に向けた。
兵士1「主力戦車部隊、指定ポイントに射線を向けました。いつでも誘導可能です。」
ダイバー1「了解した。檻を解くぞ…1体を射撃座標まで誘導する。」
3体の”ウォーデン”を囲んでいた”銃弾の檻”の一部が開き、一体が開放される。急に自由を与えられた1体の”ウォーデン”は困惑するが…突如飛来した歩兵戦車が搭載する30mmの機関砲によって殴りつけられる。
今まで食らったことのない威力に驚きながらも、大きな脅威を与える存在を排除するべく生存本能のままに活動を開始する。
兵士3「いいぞ…そのままこっちに来い!怪物め…!!」
怪物である“ウォーデン”とはいえ、所詮は生物。今までよりも強力な刺激を喰らえば反応しないわけがない、雄叫びをあげながら馬鹿正直に一直線に突き進み続ける…しかし、しばらく走った瞬間に何かに躓き大きな音を起てて盛大に転ぶ、それがファントム側が仕掛けた罠とも知らず。
兵士2「奴がコケた!動きを止めるぞ!」
地面に仕掛けたワイヤーに足を取られ、盛大にコケた”ウォーデン”に追い打ちとばかりに仕掛けられたIEDが起爆する。爆炎に身を包まれ、”ウォーデン”が苦痛の声を上げる。
大きな隙を晒した”ウォーデン”に横から忍び寄る歩兵達、彼らは足元にコロコロと円筒状の物を投げ入れる…それは閃光と大音量による無力化を行うスタングレネード。目がない”ウォーデン”に閃光はともかく、人間ですら難聴になる恐れのある160デジベル以上の音量を聴覚に頼る生物に放ったらどうなるか。
“…!?!?!?!?…!!!!????…!?”
声にならない音を発した後”ウォーデン”はグッタリとしてしまった。過敏ですらあった聴覚に過剰な音量を流した結果、許容量を超えてしまったと考えられる。なにはともあれ無力化に成功した。
そして”ウォーデン”が無力化された場所は…主力戦車部隊の射線上である。
戦車小隊長「無力化に感謝する!戦車小隊NZ徹甲弾発射!!」
最新式のmod.2モジュールに換装された1個小隊、計5両の”Type 2 Mk.2 多機能主力戦車(MMBT)”から放たれたのは、NZ徹甲弾である。
ネザライト(略称NZ)とは、N元素産物である古代の残骸から抽出した金属元素の”N-09”に金元素を合わせて生み出した合金である。
試作を繰り返した結果、モース硬度10以上の硬さを持ったネザライトは砲弾の弾芯としての価値を見出され、N元素兵器の1種であるNZ徹甲弾として生まれたのであった。
精製及び鋳造技術があれば量産はできるのだが、N-09を含有する物質である古代の残骸、通称”スクラップ”は埋蔵料が少ないため、原料のコストが高く一発一発が本来の10倍近い価格が掛かってしまう。なので今回は主力戦車1両につき2発ずつ…合計10発しか持ち込み出来なかった超貴重弾薬なのだ。
しかし威力はお墨付き、装甲角度によっては跳弾もあるが、生物のソフトスキンが相手だと…
そこに残ったのは上半身をごっそりと削り取られた”下半身だけのウォーデン”がそこに居たのだ。この結果に戦闘中にも関わらず兵士たちからは歓声が上がる。
兵士1「”アバドン”を一体撃破!次の対象に移ります!」
ダイバー3「NZ徹甲弾…不安定なN元素兵器の中では安定した代物だと聞いていたが…まさかここまでの威力があるとは…」
ダイバー1「喜ぶのは後にするぞ、まだ2体残っている。可能な限り素早く片付けて他の部隊の援護に向かうぞ。」
「「「了解!!!」」」
士気を上げたファントム軍はこのまま2体目撃破に向けて動くのであった。
編集により音楽は一番の所で止まる…音楽会はここまでのようだ。
兵士1「火力を緩めるな!その場に留まらせ続けろ!」
並の生物なら一瞬で蜂の巣になりそうな火力を受けてもなお、苦悶の声を出しながら”ウォーデン”はその場で耐え続ける。
兵士1「各員!各部隊と連携してウォーデンを引き剥がしキルボックスまで誘導させろ!」
後は射撃により徐々に誘導させていく…ここから精鋭部隊によるウォーデン討伐作戦が開始されたのであった。
“Tonignt, I'm gonna have myself a real good time”
(今夜は一人で思いっきり楽しむんだ)
”I feel alive and the world I'll turn it inside out, yeah”
(生きてるって感じられるような、天地がひっくり返るくらいの)
ビクッっと反応した”ウォーデン”達は揃って音の発信源…あのスピーカーを見る。
”And floating around in ecstasy. So don't stop me now, don't stop me”
(最高なエクスタシーを感じたい、だから止めないで、僕を止めないで欲しい)
うめき声を上げる。そう、今からでも飛び出しそうな勢いだ。
”'Cause I'm having a good time, having a good time”
(だから止めないで、今良いところなんだから)
叫び声を上げながら3体の”ウォーデン”は音の鳴る方へ全力疾走を開始する。
“I'm a shooting star leaping through the sky”
(まるで俺は夜空を駆け抜ける流れ星)
”Like a tiger defying the laws of gravity”
(トラみたいに、重力なんて跳ね返しちゃうよ)
オペレーター1「砲兵部隊、準備をお願い致します。」
後方の砲兵部隊が準備を始める。砲塔を回し、ロケットランチャーを詰め直す。
”I'm a racing car passing by Like Lady Godiva”
(まるで走り抜けるレーシングカーはあのゴダイヴァ夫人みたいにね)
全力疾走は止まらない。土煙をあげ、自らの筋肉を最大限まで使った走り方だ。激突すれば装甲車両ですら文字通り「く」の字に曲がるだろう。
”I'm gonna go go go.There's no stopping me”
(このまま飛ばしまくろう。僕を遮るものは何もないから)
“ウォーデン”達と”スカルクシュリーカー”の位置が…問題ない距離まで…離れた。
“I'm burnin' through the sky, yeah”
(空を駆けながら沸き立ってるよ)
砲兵部隊長「撃てぇ!!」
”Two hundred degrees. That's why they call me Mister Fahrenheit”
(200度はありそうだ。だからMr. ファーレンハイトっていうあだ名がついたんだ)
各砲兵装備群が一斉に火を吹き、第二波の砲撃を投射する。
”I'm traveling at the speed of light. I wanna make a supersonic man out of you”
(音速で夜空を駆け回って、君もスーパーソニックマンになろうよ)
放物線を描いた投射物が、おおよその場所を再特定していた”スカルクシュリーカー”に突き刺さる。
”Don't stop me now, I'm having such a good time”
(止めないでくれ、良いところだから)
“I'm having a ball. Don't stop me now”
(今を楽しんでるんだ、だから邪魔しないで)
オーバーキル並みに爆炎が咲き乱れ、完全に破壊に成功する。これでもう”ウォーデン”は別次元の位相に戻ることは出来ない。
“If you wanna have a good time. Just give me a call”
(君も楽しみたいなら僕に連絡してくれれば良いよ)
ビクッ…と震えた”ウォーデン”は先程の疾走が嘘のように失速する…射程距離に入り特定のポイントまで誘導できた…この機を逃すほどこの場にいる者達は無能では無い。
“Don't stop me now. 'Cause I'm having a good time”
(今は止めないで、超楽しんでるんだから)
“Don't stop me now. Yes I'm having a good time”
(今は邪魔しないでくれ、良いところなんだから)
待ち構えていた歩兵、装甲車…最前線にいる全てが一斉に射撃を開始する。普段の小銃弾に加え、機関銃や機関砲弾といった高い火力に前回とは比べ物にならないほどの密度を持った弾幕が、1個大隊以上の戦力を有する3体のウォーデンをその場に縫い付ける。
I don't want to stop at all…
(絶対邪魔しないでね)
ビーズワクスに服買ったら原石なくなったんご…(アホ)
でもかわいいからOKです
目の前に現れた人の身長を遥かに上回る怪物、"ウォーデン"。
コードネーム:"アバドン"はダイバーズの正面に堂々と仁王立ちしている...が動く気配がない、まだ"起動"していないということだ。
ダイバー1「!?...!..!!」
素早く言葉からハンドサインに切り替え、部隊に撤退を指示する。"前回"の失敗を踏まえた訓練の賜物である。
そして静かに、厳かに撤退を始めたダイバーズ、撤退中に石をそっと拾って放り投げる。場所は"ウォーデン"の真後ろ。
"カランッ、コロンッ"
音がなった瞬間、”起動”した"ウォーデン"は即座に振り向き、後ろの壁へと突撃する。轟音と共に後ろにあった壁を容易くぶち抜き、部屋だったものを瓦礫の山へと変えた。
時間は稼いだ。後は散歩から戻るだけである。
ダイバー1「やはり音による反応速度は尋常ではないな…敏感どころか過敏ですらある…。観測班、何体いる?」
観測班1「...現段階ではおおよそ3体、更に増える可能性がありますね。」
ダイバー1「それは不味いな、まだ残っているdiver’s各員に報告しろ。散歩は終わったとな。」
観測班1「了解、スニークによる静音での撤退を徹底させます。」
命からがら防衛陣地に戻ってきた散歩班。一息ついてすぐに気持ちを入れ替える。正面衝突は避けられない。
ダイバー1「1体ですら倒すのに必要な戦力は最低でも1個中隊規模はかかる...それが現段階では3体...1個大隊以上の戦力に匹敵するな。」
逃げるのであれば1個小隊程度でも問題ないが、完全に倒そうとなるとそれ以上の戦力は欲しい。現状1体=1個中隊(300人)で見積もっているが、正直一度しか交戦データが取れていない以上、もっと多めに見積もっていたほうが良いのだが…
遠目から奴らを観測する。廃墟となり、粉塵が包み込む遺跡にポツポツと立つ巨大な影達…数は3つ、それぞれが各場所で仁王立ちしている…前回の行動を踏まえ、ヤツらが消えるまで待てばいいのだが…それでは本来の目的に反する。
ダイバー1「始めるぞ、”アバドン”達を誘導し、”スカルクシュリーカー”を破壊しても問題ない距離まで引き離す。…再生してくれ。」
ピグリン兵1「わかったんだべ隊長さん!」
その言葉に従い、一台の装甲車両が動き出す。何ら至って普通である…上に大きなスピーカーを載せているところ以外は。
ピグリン兵1「みゅーじっく…スタート!!」
そこから流れるのは…Queenの『Don't Stop Me Now』、元々何かしらの音を流す事は予定してたが今回は兵士の士気を上げるためにこの音楽が選定された。
ダイバー1「観測班はこのまま古代都市全域の監視にあたれ、散歩班は直接目視に向かう。」
ダイバーズは再び奈落の底へ向かう。
105mmや155mmの榴弾に地対地ミサイルなどを満遍なく大量に撃ち込まれ、投射物が生み出した煙幕に包まれた古代都市は、もはや荒廃した遺跡と化していた。先程まであったその美しさと不気味は失われ、見るも無惨な瓦礫の山となっている。この差がまさにゲートから出てきた"現代"と古代都市の境目を作っていた。
ダイバー1「…よし、これから捜索に移る。各員散開し手分けしてあたれ。」
……歩けば歩くほど、粉塵の中を進めば進むほど、その光景はより酷い物となってその目に映る。壁に滲み出た血の滲み、外傷の酷い腐敗が進んだ死体。極めつけには、ダイバーズの隊服と思われる服を着た下半身だけの死体。以前のオペレーションDDDの時の者だろう。
ダイバー1「これは……」
その死体は上半身が無く、大きなクレーターに滲みた血溜まりがあることから恐らく…
ダイバー3「ダイバー8か……」
“ウォーデン”の圧倒的な膂力によって踏まれるとこうなる事を身を以て証明してくれた。
その近くにいるのは左腕を潰されながらも、数ある死体の中で状態の良い物…”元”ダイバー4の死体である。
ダイバー1「命を懸けて我々を生かしてくれた英雄だ…。彼らの想いを無駄にはできない。」
ダイバー5「…はい…そうですね。」
彼らが行方不明者について話している間…周囲の警戒をしていた者はあるものを発見する。
ダイバー2「隊長。こちらに来て下さい!」
ダイバー1「どうした?」
粉塵と瓦礫の中、まるで地中から生えてきたかのように"出てきたのは無傷のスカルクシュリーカー"である。周りには破壊された"スカルクシュリーカー"があるのに関わらずだ...。
ダイバー2「...まだ、破壊できてないということか...」
大部分は破壊に成功したがまだ無傷の"スカルクシュリーカー"がある...これが示すのは怪物が召喚される可能性が高いということだ。
あの轟音でコイツが起動するなといったほうが無難ではあるが。
オペレーター「ダイバー1、状況を説明してください。」
ダイバー1「こちらダイバー1よりCP。対象の完全破壊に失敗、ポイントを更新。防衛ラインまで撤退し、Phase3:対"アバドン"戦闘プロトコルに移行する。展開部隊に伝え…!?」
作戦は順調ではなくなってしまったが嘆いてる暇は無い。冷静に部隊長として指示を出す。
そして...その可能性は最悪な状況で現実となる。
"コポ...コポポポポ....?コポポ..."
ダイバー2「...!?止まれ!!この音は...聞いたことがある...!」
ダイバー3「…まさか...」
おおよそ生物の発声器官からは鳴ることのない特徴的な"鳴き声"、撤退を急ぐダイバーズの目の前に一つの影が映る。粉塵に映る影は...おおよそ人の形から逸脱している。
地獄の封印は解かれ、賽は投げられてしまった。
ダイバー1「...お出ましだ。」
物音と共に現実の位相へと"奴"が姿を現す…。
深い紺色の体、目のないのっぺりとした顔に生える2本の角、胸に開けた大きな口……
以前のダイバーズをほぼ壊滅させた仇敵。
古代の伝記に書かれた怪物、"ウォーデン"が再びその姿を現したのであった。
ここでバラしたらどうなるんやろ…()頑張ってクレーン君…()
存在しません(迫真)
エルカノのACとかどうです?
人道支援物資ですが何か?????()
ナニモヤマシイノモナンテツンデナイヨ
~~~
こうして彼らが着いたのは、かつて彼らが見た”古代都市”を正面から見れる広けた場所…
ダイバー1「始めるぞ、各員配置につけ。」
そう言って彼はある機械を置く…これはいわば座標を送信する装置だ。これにより、ポータル展開時に必要な座標計算による手間を一気に短縮することが出来る。そう…”時短テクニック”だ。
横一列に並び、隊列を組む武隊の後ろで紫色の光が揺らめき、それは形を取り始める…現れたのは黒曜石の外枠、そこには所々にシーランタンやレッドストーンランプがはめ込まれており、一定の光量を周囲にもたらす。
枠によって貼られた膜は紫色…不気味ながらも美しい色を発し、完全なゲートを作り出す。
ダイバー1「…よし、ポータルの展開が完了した。作戦をphase2に移行する」
エミリー「了解。我が軍の突入部隊に行動を開始させます」
作戦はphase2に移行した。基地内にあるポータルに入り、その中に出来た疑似的な空間の中で今か今かと待ち構えていたファントムの部隊が、出口のポータルが構築された時を見計らい突入する。ファントムの第三機動軍から選抜された突入部隊がポータル展開と同時に突入、ポータルを中心に戦線を構築し始める。中には…
ピグリン兵1「隊長さん!!今度はオイラも一緒に戦うベ!!」
DDD案件でダイバーズを輸送していた運転手であるピグリン兵も一緒に参戦していた。
ダイバー1「久しいな、あの時はホグリンのカツ丼を食えずじまいだったな…今日、ここで終わらせて一緒に食いに行こう。」
ピグリン兵1「….!!もちろんだべ!」
あの時の彼は仲間の半数を喪い、精神的に疲弊していた為、声を掛けられるような雰囲気では無かった。しかし彼は”約束”を覚えていてくれた…そのことが彼の身を案じていたピグリン兵にとっては何よりも嬉しいことであった。
ピグリン兵1「テンション上げて行くべ!隊長さん!」
ダイバーズ1「ああ、戦るからには最後の最後まで派手に行こう…まずは始まりの鐘を鳴らすぞ。」
彼の合図に従い、ポータルを最後列の中心として戦線を構築していた部隊の後方が動き出す。ファントムの砲兵部隊は素早い展開を目的としており、砲兵部隊の装備は装輪系統の車両で固められている。
105mm榴弾砲と155mm榴弾砲が、地対地ミサイルがGPS誘導や入力された座標情報を元に照準を定める。
砲兵部隊隊長「全部隊射撃準備!!」
砲兵1「装填完了しました!」
砲兵2「照準良し!いつでも行けます!!」
砲兵部隊隊長「ブチかますぞ!射撃開始!!…てぇ!!!」
ファントムの砲兵部隊は連携して対象の各個撃破を行なう。
各砲兵装が火を吹き、爆音を轟かせながら破壊を解放した。放物線を描いた投射物は、火の雨となって古代都市に降り注ぎ、着弾した投射物が生じた爆炎と衝撃が都市全体を包み込む。
砲兵1「HQ及びCPへ、砲撃第一波投射完了!破壊状況を確認します!」
オペレーター1「突入部隊へ報告。目標地点への砲撃第一波が着弾しました。目標地点の確認をお願いします。」
ダイバー1「了解した。diver’s各員は様子を見に行くぞ。他部隊は機器を使い遠距離から目標を確認しろ。」
「「「了解!!」」」
~~~
ダイバー1「Diver1からHQへ、ポイントを更新。ターゲットの探索に入る。」
彼らが着いたのは”古代都市”を上から一望出来る所である。来た道は一本道だった洞窟だが実際はかなり入り組んでいる地形となっていた。そして前回、退却後に”ウォーデン”を見張っていた場所でもある。
オペレーター1「ポイントの更新を確認しました。標的の捜索を開始してください。」
ダイバー1「了解した。ターゲットのロケーションを開始する。Diver'sは行動を開始しろ。」
ダイバーズ「「「了解!!」」」
こうしてダイバーズは4人6組となってドローンを飛ばし、とある標的の捜索を始める。それは…”ウォーデン”を呼び出す”スカルクシュリーカー”だ。
「ここに一つ…ん?あそこにも一つあるな…」
「そこにもあるぞ…まだ隠れているかもしれん…念入りに探せ…」
こうしてドローンで”スカルクシュリーカー”の場所を探り、座標を入力してこれらの情報を共有していく。そして…ドローンで確認出来る限りの全ての”スカルクシュリーカー”の場所を特定し終えた。
ダイバー2「隊長。確認出来る限りの”召喚器”の位置を特定、登録が完了しました。いつでも行えます。」
ダイバー1「了解した。diver1よりHQ及びdiver'sへ通達、作戦をフェイズ2へ移行…ポイントを更新する。」
オペレーター1「了解しました。これより作戦はフェイズ2に移行します。diver'sはポイントを更新、”展開”準備を行ってください。」
「「「了解!!」」」
ダイバー1「”オペレーション・バビロン”?」
クロム「ああ、”1週間前”におきた謎の地下遺跡での件…上層部は”DDD案件”と呼んでいるが…その遺跡の制圧作戦だ。」
それは作戦の3週間前…第3国防陸軍の司令官である”クロム”と、古代都市の件で辛酸を舐めさせられたDiver’sの”元”隊長であるダイバー1の会議であった(+α含む)
ダイバー1「何故その話を私に?それに関連する部隊…ダイバーズは人員の半数が殉職し、解散されたはずですが…。」
そう言って彼は押し黙る。”DDD案件”は彼にとって忘れたくても忘れられない出来事である。
それに彼の意見はもっともである。わざわざ一つの軍が動き出す事態であるのに関わらず、自分が役に立てるのだろうか。
仲間の半数を犠牲にしても怪物一匹倒せず、敗走するに至った無能な隊長に…
クロム「君が気に病む必要は…ない。当時のDiver'sは寄せ集めとはいえ”精鋭”といっても差し支えない実力を持っていた。装備も他の軍の物とは違った高レベルな装備が支給されていた。苦も無く任務を遂行出来るはずだった…相手が我々と同じ”人間”だったらの話であったならな。」
そう言って彼はボタンを押し、とある映像を再生した。スクリーンに映ったのは…深い紺色の体、目のないのっぺりとした顔に生える2本の角、胸に開けた大きな口…そう、以前戦った”ウォーデン”である。
クロム「この映像は以前の”DDD案件”にて、君たちの装備に搭載されていた機器から回収した記録映像だ。」
それは怪物…もとい”ウォーデン”によって繰り広げられる虐殺劇である。百発近い弾丸を喰らいながらも凄まじい速さで肉薄し、腕を振り降ろす…映像はそこで途切れる。
クロム「…」
クロムはリモコンを操作して次の映像に切り替える。次は手榴弾が爆破し、砂煙が舞い上がるがその次の瞬間に青白い衝撃波が撮影者を襲う。”胴体”を失い撮影機器を搭載していた”頭”が地面に落ちる…そこに映ったのは生々しい…
「「…」」
無言で映像を見つめるダイバー1、口をしかめるクロム、口を押えるオペレーター…反応は様々であった。
クロム「以前にあった解析部隊の編成だが、上層部はこの遺跡を制圧及び無力化する為に遺跡に位置的に近い第3機動軍を投入する事が決定した。これには首相といった閣僚陣及び統合参謀本部も賛成している。」
ダイバー1「無力化…?解析ではないのですか?」
クロム「ああ…あれほどの怪物を国内に抱えるのを良しとしないからな…国家を考える身としては当然だろう。だから…」
そう言ってクロムはダイバー1に向き直り、再度口を開く
クロム「”ダイバー1”、君にこの話を持ち掛けたのは”DDD案件”の”リベンジマッチ”だ。君は”ラウンド2”をお望みなのだろう?」
ダイバー1「私怨…ヤツへの復讐心はあります。しかし…私達は一度敗北した身…もう一度機会が訪れるなど…それに…」
クロム「君の心境は理解しているつもりだ。だからこそ君が適任なんだ。あの戦いで生き残った君達が…」
クロムは資料を彼に手渡す。
クロム「辞令だ。統合参謀本部からではあるが、君をこれから正式に設立する”ダイバーズ”の隊長に任命する。これが最初の任務になるだろう…我々であの忌々しい遺跡を制圧する。」
ダイバー1「…了解!」
クロム「では、あの怪物の対処法を考えようか…既に奴に上層部はコードネームをつけた…名は”アバドン”と言うそうだ。意味は分かるか。」
ダイバー1「確か…ヘブライ語で”奈落の底”、”滅ぼす者”でしたよね…ピッタリな名前ですね。あの戦闘力…厄介な名前を貰ったものですね。」
クロム「そうだな…しかし朗報だ。統合参謀本部から”ポータル”の使用許可を頂いた。この意味は分かるな?」
ダイバー1「ええ…洞窟内に関わらず展開できる広ささえ確保出来れば”機甲部隊”が投入可能…という事ですよね。」
クロム「ああ、君達の出した見解が正解だ。”アバドン”は歩兵部隊が持つ装備で倒せるか怪しい。多少の犠牲は免れないが、機甲部隊への誘導を行ってもらう。」
ダイバー1「覚悟の上です。必ずや任務を成功させましょう。」
クロム「ああ…頼むぞ。」
F14
https://d.kuku.lu/rtx3chf5e
???「あれはもとより人として運用しておりませんので」
「これより、現時刻を以て”オペレーション・バビロン”を開始する。」
司令室の中で第3国防陸軍の司令官であるコバルトはそう告げた。
“オペレーション・バビロン”、それはメソポタミア地方の古代都市の名前、”バビロン”の名前を冠している。
これは、1ヶ月前に起きた”古代都市”に関連する1件…通称、”DDD(トリプルディー)案件”を経て”未開領域の探索”と”超常的な現象及び生物の対処”という2つの目的に伴い正式に設立されたDiver'sと”古代都市”に場所的に近い第3国防陸軍との合同制圧作戦である。
ザッザッザッ…
“古代都市”に通ずる洞窟の入り口に止められたAPC(兵員輸送車)が3両、そこから降りてきた24人の兵士達…1ヶ月という短いスパン(期間)ながらも選定され、増員されたDiver'sの隊員達だ。
ダイバー1「こちらDiver's。予定ポイントに到着した。指示を乞う。」
オペレーター1「こちらHQ、”オペレーション・バビロン”の開始の指示が出されました。Diver's はポイントを更新してください。」
ダイバー1「了解した。作戦を開始する。」
うちの国には"人型の化け物"はいません()
Operation Babylon
はい、再編集終わりました。
約11,100字あるので小出ししていきます。
うちの国や人外、兵器への質問がありましたらご自由にどうぞ。
殆どの国が人外否定しちょる()
永田総理「人外なんてものは存在しない」
昨今世界各国では異能的な人型生物「人外」が存在するか否かといった議論が活発になっている。これに対して永田総理がテレビ番組で「わが国にはそのような"人の形"をした化け物は存在しない、もし存在したとしたとしても、とっくの昔に捕獲していることだろう」と冗談交じりに声明を発表した。
"人間の形"をした化け物は居ないOK?
人道支援物資(笑)ですか、大したものですね()
怖すぎるこの貨物...()
大容量のコンテナ、以上な重さ、コンゴへの支援物資。何も起きないはずがなく、、、
港湾職員A:これってコンゴに送る予定の支援物資ですよね?

港湾職員B:そうだな、なんか政府からのお達しで厳重に管理しろだって。
港湾職員A:そうなんですね〜、てかなんかコンテナサイズ大きくないですか???
港湾職員B:そうだな、、まあ一箱に大量に入れて運ぶ方が楽なんだろう。
港湾職員A:そうですけど、しかも一箱コンテナの重量除いても40トンぐらいありますよ?鉄の塊でも入れてるんですかね?
港湾職員B:一回開けて確認してみるかぁ、、、
その後彼らの姿を見たものはいなかった、、、