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初心者さん案内スレ 7 ヶ月前
合衆国空軍、戦闘航空管制室
合衆国の空を常に警戒する空の目、それがある異変を捉えた。
「ボギーを探知、、、、、、、北方からです。」
監視員からの報告を受け、直ぐに基地司令が命令を下す。
「接近中のボギーに領空侵犯の可能性はあるか?」
「十分にあり得ます、、このままの速度で行けば、そう長くはかからないでしょう。」
「分かった。今すぐ動ける最寄りの部隊は?」
「第47無人戦闘航空団のヒューメルが2機」
「よし、それを出せ。ボギーに接触でき次第、通常対応プロトコルを実行させろ。」
「了解。発進指示を出します。」
レーダー画面に二つの無人機の影、それがゆっくりと、だが確実にボギーに近づいていった。
ありがたき…
警告音声ってどんな感じなんですかね?
何と言うか、、、、ボイスロイドの声的なものと思って頂ければ大丈夫です。
ダウニング街の首相官邸を覆う、何世紀も前のレンガ造りの屋根を雨が叩いていた。テイラーは歴史書を読みながら「近いうちにこの執務室を掃除しなければならない」と自分に言い聞かせた。その日は、彼女の唯一かつ真の思考を伴って、一人で出発した。
彼女の頭の中で最も基調的で予測可能な声は、予見可能な将来に向けて彼女が従い続けてきた、そして実際に従うつもりだったのと同じ考えを浮かべていた。それは前任者たちの計画を継続し、最終的にはかけがえのない「イングランド人らしさ」を維持する処置を継続するなど、党の数十年来の夢を遂げることだった。
しかし、あまり聞き慣れない別の声が、彼女の興味を真にそそる考えをもたらした。本当にそれで十分なのか?連合王国はここ数十年間もの間病気だ。そしてそれは偉大な指導者の不足と愚か者と社会主義者が言葉を発する機会を与えてしまったことが原因であると言わざるおえない。知能レベルで正しい知識を持つ者を試験により採択し、投票させる。統制民主主義の導入である。連合王国には強い意志を持つ鉄が必要なのだ。しかしこれはあらゆる支持層からの反発を招く恐れがある。
しかし誰1人としてテイラーを支持する者がいないわけではなかった。MI6とMI5、そして多くの保守党員は、テイラーに個人的に後者を熱心に支援することを約束した。保守党は今まで労働党や国民党にその伝統を守る政策を邪魔させられてきたからだ。しかし、以前と同じように、民衆がこの計画を聞けば、愕然とするだろう。
労働党は最初の案に戻り、このような権威主義的な思想は連合王国の民主主義が危機にさらされ、形骸化しかねないと考えた。彼らの意見も真っ当だ。彼女はヒトラーやスターリンとは異なり独裁者ではない。しかし民主主義は鈍く不安定で連合王国を維持する最善策とは言い難い。
そして彼女は保守か自由かどちらを選択するかを問われている。
鉄の女。
(テイラーが強硬的になる!)
民衆の女。
(テイラーが穏健的になる!)
『ボギーとの接触までまもなく』
2025年5月。
青く澄みわたった烈国の空を、赤い星を掲げる二匹の鳥が飛んでいる。何故か己の巣を抜け出して、異国の空へ羽ばたいた。
「レーダーに感。4時の方向より2機の飛行物体」
「そらまあ、来ないわけないわな」
しばらくすると、示した通りの方向から烈国所属と思しき航空機が接近してきた。…が、何かおかしい。キャノピーがないのである。
「うわ、あいつらこういうことにも無人機を使ってやがるのかよ…」
自律飛行する無人機はやがて2機の後ろへ回り、プロトコル通り退去を促す音声を発した。
«領空を侵犯している。速やかに領空外へ退去せよ。»
ーーー
«Они нарушают наше воздушное пространство. Пожалуйста, немедленно покиньте наше воздушное пространство.»
いかにも機械が発したような、冷たい声だった。
だが、2匹の鳥は依然己の道を進んでいる。
『ボギーは警告を無視しており、退去する様子はありません』
『もう一度警告し、それでも従わなければ威嚇射撃を実行』
しばらくして、無人機が再び音声を発した。
«領空を侵犯している。速やかに領空外へ退去せよ。退去しない場合、然るべき措置をとる。»
ーー
«Они нарушают наше воздушное пространство. Пожалуйста, немедленно покиньте наше воздушное пространство. Если вы не уйдете, будут приняты соответствующие меры.»
相変わらず冷たい声が機内に響くが、1回目とは違う。少し口調が強いような、まさに「警告」といった音声だった。
二度目の警告の後、これ以上いる意味がないと判断したのかはたまた怖じ気づいたか、ようやく2機のジナビア機「Sy-55」は北方へ進路を変えて自分たちの巣へ戻っていった。
ぎりぎり土日で間に合いました…()
唐揚げさん、茶番に付き合ってありがとうございます!!
いえいえこちらこそ!!楽しかったです!!
「ミューレンバーグが前進の許可を出した。日立は立法会に入ることになったぞ」
黒檀の拡声器から、榊貞一の無愛想な声が響いた。
坂下栄一郎は、革張りのソファーの上でびくりと体を震わせた。朝、東京の冷たい風が、彼の頬をさっそうとなでる。早かったな。
「我らが行政長官は、日本の存在を受け入れるようになったのでしょうか?
と、彼は考え、驚きを隠せない様子で丁寧に返事をした。
「そうだろうな。彼は市場と政府を維持するためなら何でも欲しがるし、外部の人間の助けも全く嫌ではないようだ」
榊の言業には、さすがに技術者としての誇りが見え隠れする。
「たが、日立の重工製品は独持で魅力的な製品であることは認めざるを得ないし、日立の統合が実現すれば、これらの製品が新たな経済的奇跡をもたらすことを期待しているよ」
『広東の繫栄のためにご一緒できることを光栄に思います』
坂下は、またしても適当なことを言うと、拡声器を取っ手に戻した。機械の音が響き渡る東京の風景を前に、坂下の唇はにっこりと笑った。 さすがに柔軟性がある。「自由市場」「自給自足」などという気取った言葉が災いして、広州銀行への返答がぐちゃくちゃになったのが生きた証拠だ。しかレ、柔軟性は受容性をもたらし、そして救いをもたらす。そうでなければ、あの野宿人どもは、自由な人間労働の恩恵、国家の鉄の支配の中で 安全な経済、永速に君臨する、そして君臨するに値する日本国という模範の恩恵についに気づくだろうか?
坂下は立ち上がり、スーツケースの方へ急いだ。次の飛行機で広州へ行く。南方三珠は、何時まで経っても、この手で腐敗を浄化するのた。
汎アジア人を待たず。
太平洋戦争末期の1944年、戦火は朝日連邦の首都、神室まで広がっていた。
「この基地にある剣を全部上げろ!ビイ公を首都に入れるな!」
「クソッ無限に出てきやがるなあの化け物ども…」
「弱音を吐くなら死んだ後にしろ!」
数分後
「見えてきたぞ」
そこにいたB-29は黒煙を所々から出しながら機関銃を乱射している。
「もうボロボロじゃねぇかほかの隊がやったのか?」
「いや俺たちが一番最初に上がったんだ、それはないだろう…」
「じゃぁ誰がやったってゆうんだよ…」
「もっと近ずけばわかるだろ。各機速力を上げるぞ!」
B-29に近ずくにつれもうひとつの大きな"何か"が見えてきた。
「何だあのでけぇのは…!」
その"何か"はB29の天板をぶち抜き搭乗員を捕食しようとしていた。搭乗員はそれにめがけて機関銃を乱射していた
「…」
そこにいた全員が言葉を失った
「なんだあの化け物…」
プロペラの音だけが鳴る中一人のパイロットが言った。
「全員逃げるぞ!」
その後基地に戻ったパイロット達は上官に"あれ"のことを話した
「信じてください司令!俺たちは見たんですあの化け物を!」
「あ~落ち着きたまえ君たち、最近は迎撃任務が多かったからなどこかの部隊と見間違えたんだろ」
「…」
「君たちには3日間の休みをやろうしっかり休め」
「…了解」
朝日連邦:
大和共和国の前身で太平洋戦争時は日本と共闘した。
剣:
朝日連邦のレシプロ戦闘機で形は震電に瓜二つ。
"何か":
B29の搭乗員を捕食しようとした化け物。大きなカラスみたいな見た目。
今まで発見された妖怪にはどれも類似されていない。
これ何:
なんか書いてみたくなっただけです()
「一人やられた!」
アフリカの大地。そこには動物らの鳴き声とは別に、ある部隊の叫び声が鳴り響いていた。
「敵の装甲車を発見!RPGのサビにしてやる!」
「待て!遮蔽から身を出すなぁ!」
味方の忠告があったのにも関わらず、そのRPG兵は立ち上がり、瞬きするまもなく頭を消し飛ばされた。
「ちくしょう!ちくしょう!あの化け物はなんなんだ!」
「上空にヘリ!」
アフリカの大地には装甲車から放たれる105mm砲の発射音とヘリからのバルカン砲の音。
そして出元不明の風切音と怒号が鳴り響いていた
「最も尊故されるべき行政長官殿」
「我らの立法機関が新たに新北社員による汚職に届したことについて直ちに懸念を表明します。これは冗談ではありません。新北重工業株式会社は設立以来、一貫的かつ公然の労働搾取犯であり、労働者の基本的な生活を露骨かつ完全に無視し、駐留軍の手を借りて無謀な流血をもたらしてきました」
「広東国が危機に瀕している間、あなた方が理性的に判断し、加害者たちへの宥和を直ちに止めるようここに要求します。そうでなければ、我々は抜本的な対策を取らざるを得ないかもしれません」
「敬具 - 広東の珠人」
これだ。恐るべし大反発。ミューレンバーグは右の手のひらに額を沈めた。
「君はこの者たちがまさか報復にできる思…」
「なぜしないと思うんです?」
翁は机の上に積まれた手紙の束の上で、ミューレンバーグの顔に向かってヒステリックに声を上げた。
「少しでも尊厳を持っている国内の珠人や華人は誰一人新北の残虐性に関わりたくないに決まってるでしょう。一度でも最動を起きたり、ロンドンに電話する羽日になったりすれ ば、あなたのキャリアに消えない汚点が残ると断言します。そしてあなたはより懸命に行動するべきだと思います」
「どうやら選択の余地はなー」
「ありません」
翁はミューレンバーグに視線を戻した。眼鏡の奥の瞳は怒りと、不思議なことに憧れのようなものが輝いていた。
「長江を立法会に参入させてください。新北の行き過ぎた行為に対抗するために。お願いです、人々が文字通り壁側まで追い詰められ、もう失うものがなくなるまで手をこまねいてる場合ではありません」
「……わかった」
「…長江栄豊の新たな同僚、李盛篤社長を歓迎いたします」
ミューレンバーグ行政長官の声は、その余命が明らかになった今、形式的な能力以外ではますます無視され、立法会のでの突然の不協和音でたちまちかき消された。響奏側の歓声、ルコラ側の野次、そしてSEC側の沈黙……李盛篤は、その場に立ち、二度お辞儀をしてから着席し、その反応が増幅されたように感じられた。
閉会すると、李は一人一人の巨頭に歩み寄り、順番に敬想を表した。
ハイゼンは「ようこそ立法会へ」と非協力的に言いながら、愛想笑いを浮かべ、丁寧に頷いたた。
「支持者を探しているのなら、残念ですが場所を間違っています。しかし、良い仕事のための時間は常にありますよ」
「ついにやりましたね、盛篤さん」
翁は、その直後、李に手を合わせながら、にこにこしていた。
「すべてはここから始まるんですよ」
榊が腕組みをして、李を見上げると、李は迷いを押し殺し、足を前に出した。
井深は
「よくここまで頑張ったと褒めるべきだろうが、私はそんな感傷的な男ではないので残念だ な」
と感心したように言った。
「ここで、新しい同僚としての忠告だが、私を失望させないでくれよ」
長江の大物が声を出す。
・李盛篤
長江栄豊商業集団株式会社社長、翁敬黎の仲間。
「そして今、この名誉ある機関に別れを告げる前に、我々はもう一度、台湾の日立製作所と新北重工業株式会社の同胞を心から数迎しましょう、汎アジアの日的のために我々と共に努力するのです」
誰だってそうだろう。45度のきちんとしたお辞儀、あまりにも輝かしい笑顔、菊の紋章のついた漆黒の服から発せられる礼儀正しさは、ハイゼンの取り巻きでさえ要敵の念を抱くほどだ。坂下栄一郎をちょっと見ただけで、この新興国の男が実業、それも最高のものを意味していると分かるだろう。しかし、拍手喝采と「心よりの歓迎」の裏で、広東の精鋭たちの間には、「石頭の日本人は、この国にはふさわしくない」という暗黙の了解と、いつもの恐怖と疑心暗鬼が潜んでいた。まだ、そうではないの だ。
しかし、坂下にとっては、そんなことはどうでもよいことだった。 会議が終わり、広東の大物たちと知り合いになる時が来た。予想通り、不安な気持ちになるのは彼ではなく、彼らだった。SECは、 握手の震えを隠すかのように、短く、素っ気なくうなずいた。翁敬黎は、元気な挨拶に漂う軽蔑と不安を拭い去ろうとはしなかった。李盛篤(地元の方でしたっけ?)は、言葉を詰まらせたり、濡れた額に手をやったりしないと、最後までしゃべることさえできなかった。すごい人たちである。
そして、自称空想家の榊貞一が、クソみたいな笑みを顔に浮かべて登場した。
「ようこそ、立法会へ!」
その声は、坂下の耳元をかすめると、小声になった。
「何も面白いことをするために入れたわけではないんだが、何のために来たかわかっているのかね」
これには坂下も苦笑いをこらえるしかなかった。
「安心なさってくださいませ、みなさま」
新北の狭い会議場で何度もやったように、彼は声を張り上げた。今回だけは、広東全土が彼の境界となる。彼の臣民なのだ。
「やはり、我々には果たすべき使命があるのでしょう」
・新北重工業株式会社
台湾に本社を構える日立の子会社
・坂下栄一郎
新北の社長。日本からの刺客であり広東の人々を見下している。
ある日の夜、警視庁本部の会議室に特災の職員が集まっていた。
議題となっていたのはつい先日起きた事件、『矢臼別演習場遭遇事件』だった。いままで対処の困難さと活動頻度の低さから死亡者の隠蔽で対処していたが、数か月ほど前から活動頻度が増加、そして今月二度目の遭遇事件が先日起きてしまった。
「1週間前は四国、3日前は北海道。距離で1500km以上離れてるんだぞ?あれはどうやって移動している?」
「今はまだ通り魔や熊害などでごまかせているがこのまま頻度が増えるなら難しいぞ」
「次の出現時期は不明、場所も不明、こんなんじゃ対策なんて不可能だ」
「現場からの鑑定結果はまだか?遺体の破損状況は?」
職員たちは事件の原因である『黒鬼』の資料を読みながらこの結論の出ない会議に疲弊していた。昼から始まった会議はすでに6時間以上続いていたが一向に解決策は出なかった。
そのとき、1人の職員が会議室に飛び込んできた。
「失礼します!ウラジオストク内務省から緊急連絡です。ナホトカ郊外で『黒鬼』の可能性がある異常存在が確認されたとのことです!」
初の日本本土外での出現と前例のないほどの短期間での活動。今すぐに対処しなければさらに被害は増え異常存在が実在することが知れ渡ってしまう危険性がある。部屋にいるすべての職員がうなり声をあげながら回らない脳を動かしているとき、老齢の男は決断を下した。
「この際あらゆる手段使って情報を集め、あれを消すべきだろう。大蛇、鬼、天狗...会話可能なすべてのものから情報を集めろ。必ず黒鬼を討伐するぞ」
なんか黒鬼の活動頻度が増えて今月3人目。今まで多くて月1だったのにこのままじゃ隠し通せなくなるかも...しかも国外で活動し始めた。
なら今ここで殺そう!
老齢の男:警視庁特災部部長 鶴本友憲。40年以上特災で勤務してきたベテラン。
天狗:山奥に住む亜人種の一つ。鴉のような黒い翼と卓越した脚力が特徴。人の来ないような高所に集落を作り住んでいる。個体数は年々減少しつづけており純血の天狗は約1000人ほど。ジャンプしてムササビみたいに滑空できる。
「……榊貞一君です」
55分。それは榊が広東国の次期行政長官に選ばれるまでにかかった時間である。もし時が違えば榊はこの時間の浪費を引き起こした者に辛辣な言葉を浴びせていたかもしれないが、この時ばかりは嬉しさのあまり文句の一つも言わなかった。紛れもなく自分の名前が空間に鳴り響くと、彼はその場に立ち上がり、ルコラ議員たちの無言の承認と他の集団からのコンプレックスの混じった唖然とした視線の中、列席者の間をすり抜けていったが、すでに彼の頭は最適な能力で稼働し始めていた。
彼の喜びは、現れたその瞬間から急遠に消えていった。彼が通路に出るまでに14秒、演壇に上がるまでに10秒かかった。どちらもこの施設の設計上の欠陥であることが明らかだ。座席が混み合っていて、足元が狭く、移動するための余裕がない。通路の長さももう少し短くできないものだろうか、せっかくの優秀な時脳が気の利かないラバ野邸どもに囲まれて足踏みさせられているようでは、 自分の意見を伝えることはできない。
彼が99人の議員を視界に収めてこの施設の頂点に立った今、ますます日に余る誤りがあ ることを感じ始めた。 ルコラ議員たちは遠すぎる。旧式の白熱灯は電気の無駄使いであり、図を用 いたプレゼンテーションには不利益である。この席の配置はまったくの茶番だ。まるで翁敬黎のような虫けらが近くにいることは奇跡のよ…
翁。彼はようやく気づいた。彼は瞼を震わせ、顔を紙のように白くしながら、5列目に座っていた。
敬黎、お前がもっとよく物事を理解していたらな。榊はそう思いなからマイクを握った。その手のひらには金属の冷たい感触ではなく、広東の鼓動が感じられた。
「皆さん、新しい時代が…」
榊貞一は、日の前に座っている大勢を見渡し、誇らしげな表情を心から浮かべた。みんな揃っている、一目でわかる。全部で203人、みんなきちんとした身なりで、期待に満ちた眼差しで彼を見ている……、いや、彼を見上げているのだ。新たなる広東国の未来を担う新しい中核である立法会に、優秀中の優秀な人材が集まっているのだ。
「紳士淑女の皆さん、わた……」
彼は日に何かが滲み出るのを感じたが、すぐに無理やり自分を押しとどめた。こんな時に些細な感情移入は禁物だぞ、榊。
「長い間、私たちは傍観者の地位に押しやられ、連合王国の命令に従うことに歯を食いしばって我援することを強いられてきました。ですが、もうその必要はありません!チップからチップへ、トランジスタからトランジスタへ、親愛なる友人である皆さんは広東の未来のために勤勉さと輝きで奮闘し、勝利したのです。そして、そのことに私は感謝の言葉を述べたいと思います」
拍手喝采。
「しかし、皆さんにお訊ねします」
彼がマイクに向かって声を轟かせると、食堂は静まり返った。
「私たちの仕事は終わったのでしょうか? いいえ!私たちの死を望む無能、愚者、臆病者は未だにこの国の至る所に存在します。他の誰にも真似できない運命の開拓者である私たちは、彼らのレベルまで身を落とすべきではないし、落とすつもりもありません」
知らず知らずのうちに、彼の喉から目に向けて熱さは込み上げていっていた。
「よって、ここに発表します、4K有機ELテレビTV-258Kは今後335日間で、あと600台生産される予定です。皆さん、才能と卓越性の復権と、その先に待ち受ける啓蒙にご期待ください!」
知らず知らずのうちに、 彼の目の中の雫はさらに膨らんでいた。
「友よ!志を高く持て!君たちには全力を尽くすしかないのだから!」
そして、203人分の拍手の波が彼に押し寄せたとき、榊はようやく自分の頬を伝うものが何であるかを知った。涙である。かつて香港で共に戦い、ずっと前に失った友への涙である。榊はその友人から自分たちは全力を尽くすしかない、と言われた。「福祉」とか、「寛容」とか、そんな感情的でくだらないものでなく、本当に優れたものを信じていた友へだ。
しかし、残念なことにその翁敬黎は死んだ。かつて彼らが勤めていたルコラと一緒に死んでしまったのだ。
コンゴ民主共和国西部のとある小高い丘の頂上。5両のドラグーンICVが展開し、渡河作戦中の海兵隊第1戦車大隊を見守っていた。
隊長車の砲塔上部ハッチからは二人の兵士が上半身を乗り出している。
『現在有志連合軍による作戦が展開されているコンゴ民主共和国では、戦闘が地上へ移行する段階に差し掛かっており…』
車長の男はスマートフォンでニュースを眺め、砲手の男は双眼鏡で川と浮橋、沿岸の畑で待機する戦車たちを見ていた。湿った風が装甲を撫で付け、装輪の間を通り抜ける。
「この戦争、いつまで続くんですかね。1年前の今頃じゃ、みんなイラクで大騒ぎだったのに」
砲手は双眼鏡から疲れた目を離し、自らの上官を見る。
「みんな、新しい戦争と資源が大好きなのさ。特に、政治家は資源が大好きだ。HCOやSEIVとの交渉材料にココの金やら銀やらを持ち出してるって話だし、いつかは石油に手を出すだろうよ」
車長が呆れたように手をぶらぶらと振る。双眼鏡に視界を戻した砲手は小さく唸った。
「200mあたり1ℓの石油を撒き散らして経済をぶん回す、それがうちの国だ。やめようもんならユニオンが黙ってねぇだろ。A2IやIFAもでけぇ会社だがアレには及ばねぇ。結局、この戦争もカネだよ、カネ」
「もっとマシなもののために戦っていると思いたいですね…ん?」
ふと、視界の端に何かが映る。浮橋のすぐ真横、水面に人の頭が見えた。シュノーケリングした人間のように見える。
「まさか、」
MG6B機関銃に手を伸ばそうとしたところ、爆音と共に水柱が浮橋を飲み込んだ。車長がスマホを車内に放り投げて悪態をつく。
「なんだぁクソ!」
車長が砲塔内の無線機を手に取った。事態は刻一刻と変化する。
「中隊長より全車、これより戦車大隊の救援に向かう」
動き出す中隊車両の向こう岸では、M1クレイトンが高速で接近するピックアップに対応していた。
OBSOLETEを感じる()
当たり前だよなぁ?()
部屋のテレビはどのチャンネルをつけても同じことを繰り返し伝えてくる。ユージーン・バンプは木製の大きな椅子にもたれながらその持ち慣れたボールペンでひたすらに書類に記入を続けていた。面倒で仕方ないこの書類は戸籍管理法に基づき用意されたいわゆる「個人番号カード」と呼ばれるちっぽけなつまらないカードを発行するために用意されていた。
名前、生年月日、性別、写真、住所、郵便番号、電話番号、家族構成、学歴、経歴……いくら書き進めても終わりが見えない。娘と妻の分も書くことを考えるとあと2時間はかかりそうだ。正直言ってユージーンはこの用途不明の書類を書くことだけで貴重な休日を浪費してしまう可能性を考える度に苛立ちを感じていた。
そのうち聞き慣れてきていた女性の声が耳に入ってきた、テイラーだ。テレビが彼女が記者たちに毎度返答する様が見える。80年代を思わせる独特なブロンドヘアは多くの人々が懐かしさを覚えるものだろう。休憩ついでにコーヒー淹れながら彼女の言葉を聞いているうちに彼はこの単純作業の意味について考えていた。
しかし彼はそれに失敗した。「福祉や犯罪抑制などの意味を持つ」と政府は言っていたが、いくら考えてもここまですることの意味を見出すことは彼には出来なかったのだ。この行動に生産性を感じなくなり、諦めて再びその紙へ向き直り、何かを書くべき空欄を見つめていた。そして彼は右上に書かれた個人番号に目が向くと、脳裏に一つのことが浮かんだ。
まるで、囚人番号のよう。
「あれがルシフェロ級か...」
アルゴニア級の装甲化された第一艦橋にて。モニターの一面を埋め尽くす巨大な航空母艦。偵察機によってもたらされた''ソレ''を確認し、副長はほっと息を吐く。
「全長が1000メートルを超える超大型航空母艦。軽く見積っても我が国のライン級の凡そ4倍。とんでもない化け物空母ですね」
艦長は肘をつきながら、モニターに映し出されたルシフェロ級の姿を睨んだ。波をかき分け海原を進む巨体は、遠目にも圧倒的な威圧感を放っている。無数の甲板に並ぶ艦載機、その一機一機が艦体の一部であるかのように整然と配置されている。
「化け物という表現も足りんな。空母というよりは、もはや移動要塞だ」
艦長の声には緊張が滲んでいた。目を細め、追跡ルートをモニター上にプロットする。ルシフェロ級の巡航速度は意外にも一定だが、その軌道には独特の規則性が見て取れた。
「どうやら、通商路に沿って巡航しているようですね。目的は十中八九哨戒任務でしょう」
副長が指し示したのは、海図上にマークされたいくつかの航路図だった。艦長は次の一手を考えつつも現状取るべき動きを指示する。
「20~30km手前をキープしろ。目的はあくまでヤツを牽制することだ」
アルゴニア級に莫大な推力を与える磁気推進器が急速に海水を取り込み始める。ルシフェロ級の後方25km、その巨体を捉え続けながら、着実に距離を維持したまま海原を進む。
「奴らが動きを変えるまで、こちらも動かん。無駄な挑発は避けろ」
艦長の冷静な声がブリッジに響き、全員が息を潜めた。追跡は続く。アルゴニア級はその存在感を保ちつつ、必要以上の刺激は与えずにその巨影を追い続けていた。
海は静かだった。
目の前の龍人から噴き出した火は燃え盛り、自在にそれを操る。
シナノが笑みを見せるとともに周りの空間の湾曲は大きくなる。電撃のほとばしる音が増し龍の炎と対峙する。左腕をかざし一瞬光り、ルェンは高速の遠距離攻撃に構える。しかし、"弾"はルェンを打ち抜くこともなく撃ちだされることもなかった。飛び出してきたのは“弾”ではなく、シナノそのものだった。
「そうですね、遊びが中途半端では面白くない。全力で楽しんでこそ」
火に焼かれ炭化したものではなく、もっと有機的かつ複数の触手のようなものが巻き付いて拳となったものが電撃を纏いルェン腹へ突き出され、ルェンを壁際へと突き飛ばす。
『…いい攻撃するじゃねぇか』
「ええ、あなたのように人外として何百年と生きていませんから、あなたのことを理解できるかはわかりません。お互い本気でやれば、わかるかも知れませんね」
ルェンはよろめきながら立ち上がる。
「かつての連邦内戦を共に戦った者たちは消え失せ、日々私の体は化け物に蝕まれていく」
「ですから、私は私でなくなる前に、人間としての私を謳歌することにしたのです。」
長期戦故にか、シナノの左腕のチャージ時間はやや増しているように感じる。ルェンはその隙を見逃さなかった。
『シナノ、いいもん見せてやるよ』
そう言葉を発した瞬間にシナノの周りから、火炎が噴き出たかと思うとそれは高く壁を形成しルェンが合図すると壁は中央へ向かって包囲を狭める。シナノは迫る火の壁に慄くこともなく、面白いものをみた子供のようにその場で笑みを浮かべる。左腕がまた形を崩し数本の黒い触手となって地面へと垂れ下がる。青白く光る電撃が触手にまとわりつき、シナノの体全体へと広がったとき、電撃が胸のあたりへと収縮し、一気に球状に電撃を拡散させる。拡散する電撃に火炎が押し出され実験室の壁のあちこちに火が飛び散り赤く燃え盛っていた。
『くっそ、どれだけ隠し玉をもってやがるんだ…』
シナノは左腕だったものを垂れ下げ、黒い触手にはところどころに火が燃え移って落ち着いた宿主とは正反対に苦しそうにくねらせのたうち回っていた。
「火の壁ですか。…やはりあなたは面白いですね」
数秒の静寂の後、実験室内のスプリンクラーが作動し部屋中に雨を降らす。部屋のあちこちで燃え盛っていた火は、ルェンが体に纏っていたものを除き水によってかき消され、部屋は水浸しになる。
<シナノさん、申し訳ないが時間になってしまったんだ。実験室には他の予約が入っていてね>
部屋の角に設置されていたスピーカーから、初老の男の声が響く。
「クラーク博士、わかった。そうですね…休憩室を貸してください」
<お安い御用だ。実験データの借りもあるからね。すぐ準備しよう>
「ルェン、今日のところはここまでにしましょう」
『楽しめたのならなによりだ』
お待たせしました(白目)
シナノの最後ですが、わかりやすくいえばアサルトアーマーもどきをしました()
スバラシィ…ありがとうございます()
とりあえずこの後は唐揚げさんとの内容に移りますか、私の番(たぶんルェンが出てくるくらい)になるまで適当に後日談みたいなのやっときます()
「死体さん、ちょっと肩借りるね」
アフリカの平原のど真ん中。一人の獣人はスナイパーライフルを構えて座っていた。
『1、2、3、4、5。こりゃ大漁だな』
「そうだね」
ボルトハンドルを戻し、.338ラプア・マグナムAP弾をチャンバー内に送り込む。
『距離は250mほど。ゼロインは200でいいと思うぞ』
「アドバイスありがとうね。それでは...」
狙撃態勢に入った仁は目を細め、息を大きく吐く。
「......今」
そう呟いた瞬間、彼の指はトリガーを引き切り、ラプアマグナムがゲリラに向かって飛んでった。
『「さぁ、宴の始まりだ」』
かつての同志アルバーレは次のように述べた。社会主義を実現するためには必ずしも独裁は必要ない。寧ろ独裁は政府への不信感を生み出し、そしてそのような政府はいつか崩壊するのだ。それは、つい先月終焉を迎えたグラトス共産党が良い例である。我々はこれまでの社会主義でなく、「社会民主主義」によって目的を達成する、と。
我らも、かつての共産党独裁体制には賛成しない。
しかし今となっては、この国はかつてないほどに邪悪な資本主義体制に近づき、国民たちの格差は拡大している。社会民主主義党は、その資本主義的政策によって社会主義達成の事業に甚大な損害を与え、労働者や党員たちの間で完全に面目を失墜した。
社会民主主義者たちは、秘密裏に党内の我ら強硬派と呼ばれる者たちへの弾圧、除名を計画し、それに賛成した。
社会民主主義者たちは、9ヵ月間というもの、嘘っぱちの公約で国民を絶えず欺く政策を支持してきた。
社会民主主義者たちは従来の社会主義的組織の破壊、労働者たちの武装解除、またその他諸々の社会主義達成を遠回しにする政策を支持してきた。
彼らは、幾百万の勤労大衆の格差拡大を、彼らの同盟者であるブルジョアジーがいっそう深刻にするのを実際には手助けしてきた。この政策の結果、大衆の信用を失ってしまったにもかかわらず、社会民主主義者たちは、上層部における自分たちの地位に、作為的にかつ不誠実にもしがみついてきた。以上の事情のゆえに、ジナビア社会民主主義党は資本主義的な軍委員会と政府当局による直接の支持を拠り所としつつ、あらゆる手段をもってソヴィエトを妨害しようとしてきた。
大会開催を妨害し革命的階級の世論を偽造しようとするこの政策が惨めな失敗をこうむったとき、社会民主主義者たちによって創られた政府が、全国の労働者と兵士たちの圧力の下に崩壊したとき、全ジナビア・ソヴィエト大会が革命的社会主義の党(ボリシェヴィキ)の明白な優勢を示し、ブルジョアジーとその下僕によって裏切られ苦しめられてきた革命的大衆にとって、蜂起が唯一の出口であることが明らかになったとき、社会民主主義者たちは、かつての社会主義の力を掘りくずそうと無駄な努力をしたあげく、それと絶縁したことによって、自らの最後の結論を引き出したのである。
社会民主主義者たちの退去は、ソヴィエトを弱めるどころか、それを強化するものである。なぜならば、社会主義労働者の中から反社会的混ぜ物を一掃するからだ。
クアトロとベルメロフの声明を聞いたのち、第2回全ジナビア・ソビエト大会は自らの事業を続行する。そして、その任務は勤労人民の意志と蜂起とによって定められている。
去れ社会民主主義者どもよ! 去れブルジョアジーの下僕どもよ!
現在の政府上層部、特にアルバーレ・シャウスは、国民を騙しその地位にしがみつき続ける嘘つきだ!
兵士、労働者、農民による社会主義の勝利万歳!
ージナビア社会党、リバニエ・ガルニロフ 5/16/2025
ここから再染色をしていきます()
ファッ!?
政治工作するしかないか…暗い部屋の中、聴音員であるジェイソン・クラークはコンピュータディスプレイを見ながら何度も記録を再生していた。
「それで、エージェントくん。何かわかったかね?」
指令室と聴音室を隔てるドアにもたれて話しかけてきたのは艦長のダニエル・ローゼンバーク。2分前から聴音を続けるクラークの背中を疑い気味に見つめていた。
「エージェントではなく、先進兵器研究局の分析官です。わかっているのは対象がスクリュー推進でない可能性があることです。先日襲撃されたフリゲート『ノッカー・ゲート』及び『ラフカット』はパッシブでの探知に失敗しました。これは対象艦が極めて静動性の高い駆動機関を使用していることを示唆しています」
無表情で淡々と語るクラークにローゼンバークは眉間に皺を寄せた。
「つまり…なんだ。何も聞こえてないのか」
「はい、35分20秒前に観測された異音もコンピュータは海底火山の音と判定を下しています」
クラークはヘッドセットを外し、額に浮かんだ薄い汗をシャツの袖で拭った。心に残った障害物が状況の飲み込みを阻んでいる。表情に変化はない。
その時、ドアが小さな音を立てて開く。
「艦長、中央から電文です」
入ってきた士官が艦長に一枚の紙を渡す。艦長はメガネを外し、瞳を走らせる。
「ミスタークラーク。君は運がそこそこいいのかもな。艦隊司令部じゃなくて君の所からだぞ」
「…ほう」
あらヤダ♡軍機を丸裸にされちゃう♡♡
これはえっちですね(違う)
1:2025年1月7日 マレーシア某所
科学者のミラン・ヴォカールは、拳を握り締めながら
研究室へと向かって廊下を突き進んでいた。
何かもめごとでもあったのか、と言った顔で
警備員が面倒くさそうに話しかけてくる。
「すみませんが、この先はセキュリティクリアランス5以上の―」
「どうせこれさえ貰えたらいいんだろ! ほらよ!」
ミランは警備員に向かってカードを投げ渡し、
そのまま研究室へのドアを勢いよく開けた。
「あ、ヴォカールじゃないか。
そんな顔してどうしたんだ?」
…リボル・シミーチェク、この計画の最高責任者。
世界最高クラスの航空工学を有するイカれた男。
「こんなバカな話があるか!? 彼女の年齢は―」
「14歳。 少々問題はありますが、飛行に問題は…」
「問題!? まだ中学生だぞ!?」
そう言いながら、目の前にいる
イカれているとしか思えない研究員の首根っこを
さらに強く掴む。
「彼女はー」
命の危機を感じそうな状況の中でも、まだ彼は話を続けていた。
「一切の経験なしでコブラ機動を行えたんです。
天性の才能がある」
「だから何なんだ!?
空軍のベテランパイロットじゃ駄目なのか!?」
「あの飛行機は― 操作性が他の機体と違いすぎるんです。
若いうちに習熟させた方がよっぽどいい」
「それが女子中学生を戦闘機に乗せる理由になると思うか!?
科学者はな、科学者らしくもっと論理的であるべきなんだよ!」
その怒号を聞いてもなお、この男は自分の理論が
最も論理的と思っているように話し続けた。
「ほら、あれを見てください。
あんなパイロットは後にも先にもいませんよ」
彼が指さした方向を見ると、
窓越しに滑走路へと緩やかに着陸していく1機の航空機が見えた。
…S-47ナイトオウル。
科学者が道徳的な観点と引き換えに作り上げた、
チェコ最高にして最悪の戦闘機。
「畜生が!」
そう言って手を放し、このバカな研究者を椅子に落とすと
彼は研究室から出ていった。
ミラン・ヴォカールが滑走路にたどり着いたとき、
既に彼女… ラトカ・マトウショヴァーはS-47から降りていた。
見た目に似合わない耐Gスーツを着込み、片手でヘルメットを抱えて。
「やあ」
「あ、ミランさん。
またデータ収集ですか?」
「いや… ちょっと体調を聞きに来ただけだ。
どうだ、大丈夫か?」
そう聞くと、彼女は笑顔で答えた。
「ちょっと疲れたけど… 全然大丈夫。
あと2回ぐらいは飛べるかな」
「そうか」
…あの航空機を3回も飛ばせるなんて、
とても正気じゃない。常軌を逸している。
彼は再びそう思い、そして今や
何としてでも彼女を地上に降ろそうとしていた。
「なあ…
正直な話、この飛行機を飛ばしてみてどうだ?」
何かネガティブな反応を示したら、
即座に上に報告する。そのつもりだった。
「楽しいよ」
「…ぁ?」
その予想外の回答を聞いて、変な声が出る。
一方で、彼女は相変わらず笑顔でしゃべり続けていた。
「とっても楽しいの。
あの飛行機を自由自在に飛ばしてると、
まるで羽が生えたような気がして」
「だが―」
(その飛行機は、人殺しの道具なんだぞ?)
…そう言おうとした時だった。
アグレッサー部隊の塗装を施した1機のS-25と4機のS-35が、
曲技飛行隊のそれを超えるレベルの
完璧な編隊飛行を行いながら上空を通り過ぎていく。
「…なんだありゃ?」
垂直尾翼には、吹雪の中を飛ぶ隼のマークが書きこまれている。
どこかで見たような気がするが…
何なのか全く思い出せない。
「おい、何やってるんだ!」
声のした方向を見ると、
短機関銃と防弾チョッキでフル武装した人員を乗せたジープが
こちらに向かって走って来ていた。
多分彼女の護衛兵だろう。
…そろそろ戻らないと不味そうだな。
「じゃ、また」
そう言って、彼は再び職場へと戻っていった。
「さよーならー」
彼女はそれを見送ると―
先ほどやってきた兵士たちに振り向いた。
「えーっと… 何の用ですか?」
彼はこの男たちを護衛兵だと思っていたが…
実際には全く違っていた。
「…チェコ空軍の者だ」
「え? どうして軍の人が?」
「うちの飛行隊との演習に付き合ってもらうだけだ。
安心しろ、数十分で終わる」
ミラン・ヴォカールが研究所に戻ると、
同僚のシルヴェストル・ドピタが興奮した様子で話しかけてきた。
目を輝かせ、片手には雑誌を抱えている。
「おい! すげぇのが来たぜ!」
「なんだよシルヴェストル、そんなに興奮して。
彼女ならもう数日前に来てるぜ」
全く… いったい何を見たんだ、コイツは?
「いや違うんだよ、さっき飛んできた飛行機の事だ!」
「飛行機? 確かにチェコ空軍の機体だったがな…」
「見たほうが早い! ほら、とにかくこれを見ろ!」
「全く、そんなことで驚く… な…」
そう言ってこの同僚が見せてくれたチェコ軍の広報紙を見て、
彼は絶句すると当時に先ほど飛び去って行った
機体の事をようやく思い出した。
…第8航空師団第28教導戦闘飛行隊ノーイースター、
チェコ最高の練度を誇る航空隊の一つ。
「リーダー機と飛行する最高練度の4機」との
キャプションを付けられて写っていたその機体は、
先ほど見た物と全く同じものだった。
一方その頃、ラトカ・マトウショヴァーは
チェコ陸軍のジープに押し込められて
研究所まで全速力で運ばれて行き、
その建物の一室へと放り出されていた。
最初は訳が分からなくて目を白黒させていたが、
目の前に見知った顔があることに気づくと
彼女は途端に落ちついた。
「あ、マルツェル・クバーセクさん。
久しぶりですね」
「やあ、ラトカ君。
早速だが、君にとって残念なお知らせがある」
「…え?」
予期せぬ言葉を聞いて、
額から冷や汗が出てくる。
「君を打ち負かしに来た」
「ど、どうして…」
混乱している彼女を気にしないのかのように、
彼は涼しい顔でしゃべり続ける。
「はっきり言って、私の判断は間違いだった。
君が墜落するか実務を始める前に、
絶対に飛ぶのを阻止しなきゃならない」
「で、でも、私は…」
そんな彼女を落ち着かせるように、
彼は笑顔で言った。
「…どうしても飛びたいというなら、
私を撃ち落としてみろ。
ああ、もちろん演習での話だが」
「…いいんですか?」
それを聞いて、彼はすぐさまテーブルの上に置いていた
パイロットヘルメットを持って
部屋の外へと出ていった。
「行くぞ、弟子ども。仕事だ」
その時、彼― マルツェル・クバーセクは、
かなり簡単な仕事になるだろうと思っていた。
なにせ、相手は実戦経験もない新人なのだ。
…だが20分後、彼はあと一歩のところまで追い込まれていた。
(馬鹿な)
最高クラスの練度を持っていた僚機達は、
全員が意気揚々とドッグファイトで突っ込んでいった。
…それが間違いだった。
重力を無視したかのような敵機の機動に
僚機は善戦したものの次々に撃墜されていき、
今や飛んでいるのはマルツェルとラトカのたった2機だけだった。
ヘッドオンしているため、ブーメランを2枚重ねたような
彼女が乗っている機体のシルエットがはっきりと分かる。
「ミサイル、ミサイル―」
機体に搭載されている警報装置が鳴り響くと同時に、
両者の機体は猛スピードで交差した。
直後に両者とも撃墜判定を食らう。
(…相打ちか)
(もしかしたら、今回ばかりは
友人に頼った方がいいかもしれんな…)
そう思いながら、2機の戦闘機は
スピードを下げながら滑走路へと戻っていった。
そして滑走路へと降り立った後、
また― 彼は、電話で友人を呼びつけることになったのである。
「もしもし、フランチシェクか?
ちょっと野暮用に付き合ってくれ」
友人… フランチシェク・グロシェク。
もう一つのエース航空隊である
第28航空団第36戦闘飛行隊スコールの隊長。
ミラン・ヴォカール
研究者の一人。今回の計画には反対している。
リボル・シミーチェク
研究者の一人、この計画の最高責任者。
マルツェル・クバーセクの友人。
世界最高クラスの航空工学を有するイカれた男。
エスコン3のサイモン・オレステス・コーエンみたいな奴。
シルヴェストル・ドピタ
研究者の一人。航空機大好き人間。
ラトカ・マトウショヴァー
諸々の条件を満たしてしまった上にヤベー研究者に合ってしまったせいで
S-47ナイトオウルのパイロットに選ばれたかわいそうな子。
でも本人はまんざらでもない。
ベトナム戦争時のエースパイロットであるボリス・マトウシュの孫。
マルツェル・クバーセク
第8航空師団第28教導戦闘飛行隊ノーイースター隊長。
エスコン0のディトリッヒ・ケラーマンと7のミハイを足して2で割った人。
マルツェルの僚機ども
あまりにも奇っ怪な見た目の敵機を見て
「あんなんすぐに落ちるだろ」と思ったのが運の尽きだった。
フランチシェク・グロシェク
第28航空団第36戦闘飛行隊スコール隊長、
マルツェル・クバーセクの弟子兼友人。
エスコン0のジョシュア・ブリストーと6のイリヤ・パステルナークを混ぜ、
そこに無政府主義を足した男。でも意外とまとも。
ガタガタ
ひどい!非人道的!!!()
人の心定期()
人の心はいいのですが、機体性能的に怖いですね()
信じられるか、元ネタ の方が非人道的なんだぜ()
まあどのみち操縦できる奴が現状一人しかいないので、コイツはそのうち名目上は破棄扱いとされて極秘裏にどっかへ保管される事になりますお、始まりそう
「どうしてアンソニーのことを庇うのです?エミー、貴女には関係のないことでしょう?」
『だって……彼が可哀想だったから…』
周りの先生たちがあちこちに動き回り、エミー・バンプには知りもしないような作業を続けながら時々こちらを覗き込むような、それでいて目を逸らしたいように振る舞う。
「…一応内容をまとめてみましょうか。昨日の放課後に、アンソニーがマイケルとフランクリンにいじめられていたと…、それで?その時貴女は何をしていたの?」
『怖かったからずっと見てたの…、先生に言わなきゃって思ったけど、隠れて聞いてるのがバレそうだったから』
「なんでアンソニーがそんなことされていたのかもう一度教えてくれる?」
『2人が…アンソニーのパパがアカだからって…、あまり意味は分からないけど、多分それだからだと思う』
その言葉を聞いた途端、目の前にいる担任がしわだからの顔を歪めて大きくため息をつく姿にエミーは多少の悲しみと苛立ちを感じた。
「エミー、アカという言葉の意味を知っているかしら?」
『色のこと?…うん…わかんない』
「難しいお話だけど、しっかり聞いて頂戴、エミー。アカという言葉は共産主義者っていう悪い考え方を持った悪い人たちのことなのよ」
いくら思い出そうにもエミーには共産主義という言葉を一度も聞いたことがないという事実に彼女は気がついた。まだ彼女の表情には苛立ちとそれに伴う困惑が浮かんでいたが、担任の言葉を聞けないほどその感情は強くなかった。
「良いわねエミー?先生も本当のことは知らないけど、マイケルとフランクリンが正しいのなら、アンソニーのお父さんはその悪い人たちの1人ってことになるの。そういう考え方の人たちはいつかこの国を壊そうと企んでいる。貴女の家もお父さんとお母さんも壊されちゃうかもしれないのよ?」
『だけど…本当はそうじゃないかもしれないし…』
「だけど、本当はそうかもしれないし、貴女にもそれは分からないのでしょう?」
『…』
何も言い返せなかった。
「……ごめんなさい。難しいお話だったでしょう?アンソニーの件は分かりました。あとは先生たちに任せて頂戴」
「わかったわね?エミー」
『…』
エミーの表情はまだ担任を小さく威嚇するようなものだった。一方で担任の表情は一見すると微笑みのようにも見えたが、裏では演技のような、どうでも良さを感じさせるような、何か難しいことを考えているようにも見えた。
エミーは一瞬、自分の力でアンソニーの事を助けてあげるための方法を模索しようとしていたが、それをすぐに諦めてしまった。
何故なら、彼女のその考えを大人たちは望んでいないという事実は明らかだったからだ。
『アイアン1-1ロスト、アイアン1-2に指揮権を移譲します』
AIの声を聞き流しながら目を凝らす。ディスプレイに映るは迫り来る7両のピックアップトラック。
「1-2より全車、後退を開始せよ」
ガスタービンエンジンの甲高い音が車内に響きわたる中、その場にとどまろうと車体に抗う慣性を体幹で抑えつける。装填手が後部弾薬庫の扉からHEAT-MPを取り出し、流れるように砲尾へ叩き込んだ。
「Gunner、HEAT、PC1!」
戦術AIにより識別され、各車に割り振られたターゲットへと砲手が狙いをつけ始める。5両のM1クレイトンが砲口を揺らす事なく川沿いの畑の中を後退していた。砲塔が機械的に回転し、その口先を迫り来るピックアップに指向し始めている。数瞬の間。
「Identified!」
「On the way!」
5門の120mm55口径滑腔砲が火を吹き、砲身から高圧を受けてHEAT-MPが射出される。
AIとFCSによって算出された射撃は、計算通りの弾道を描き目標に到達、命中しメタルジェットを形成。鋼鉄の塊であるエンジンをまるでリチウムであるが如く貫き運転手の腹部を掻き回す。当然、爆発を伴って。
『Target!!』
追ってくる5台の車両はM289の錆になった。残りは2両。装填手が次弾を手に取っているが間に合うかは怪しい、その時だった。
「___!?」
数本の光の線が対岸から伸び、目標の横腹を突き刺す。同時に炸裂し、積んでいた大量の爆薬が誘爆。よく耕された柔らかな土を大きく抉るクレーターを形造り、もう一台も同じ運命を辿った。大きな振動が戦車隊を揺らす。
スタビライザーは砲身を揺らさなかった。
戦車戦茶番作りたくなってきた()
さぁ、創りませう!!
いくらロンドンとはいえ、深夜になれば、静寂が広がるのは確かだ。テムズハウスには数名の警備員が巡回していることを除いてほぼ誰もいなかった。時計は既に12時を過ぎている。大半の職員は既に帰宅している。それでもミア・ゴウは1人小さなライトで執務室を微かに照らしながら、作業を続けていた。
「デイヴィッド・キャメロン - ナショナル・アクション準軍事組織所属、終身刑」
「ジョー・カニング - 国民党党員、逮捕」
「マーカス・ヒース - 元IRA隊員、死刑」
ひたすらに見定め、許可をし続け、指示を出す。それらの仕事は彼女にとっては興味のないどうでもいいことの一つであったが、そんなことを思いながらも彼女は決して手は抜かなかった。考えるにおそらく特別に理由はない。国家のため、司法のため、正義のため。彼女にとってそのような事をしてそれらに何か良い影響を与えるかどうかを見出せなかっただけなのだ。
眠気を残り少ない紅茶でなんとか誤魔化しながら、彼女は仕事を続けていた。時計を覗くと、もう3時を過ぎている。もうしばらく続ければ日の出を拝む事も出来るだろう。それでもやっぱり彼女の手と脳が動くのを中断することは決してなかった。今やナチやファシストなどによりこの国の司法と正義は脅かされている。しかし、彼らが勝利することは決してない。次から次へと正義を語る悪が真の正義により検挙されその処遇が彼女の手により極秘裏に採択されていく中で、彼女はそう確信していた。
深淵を覗く時。
この人(ミア・ゴウ)のお話。
・ナショナル・アクション
ネオナチ集団。ナチズムに感化された若年層が中心に構成され、テロも厭わないただのテロリストども。
・IRA
アイルランド共和軍、1999年の第二次アイルランド独立戦争においてほとんどが粉砕されたと思われていたが、一部の残党がまだテロしてる。
ホテルの廃墟の一室で、昨夜2ダースほどの男たちが秘密裏にMI5長官と会ったようだ。長官は遠目には顔が見えないほどの厚いコートと帽子を身に着けていたとのことである。
ここで議論されたことはまだ「合法」とはいえなかったが、それでも必要なことであった。ナショナル・アクションはまだしも、国民戦線そして国民党は愛国心の旗に包まれた正統な政党だと見なされているため、40年代にファシスト連合を検挙し排除したようにはいかなかった。
参列した者たちには任務が与えられたが、それはあらゆる意味で安全保障に関わる任務であった。彼らはプロフェッショナル、私立探偵、元特殊部隊員、元州知事だった。彼らに与えられたのは、単純だが、計り知れないほまど重要なものであった。すなわち、
「ファシストの汚点を見つけ出せ」
議会が知る必要はない。
帝国某所、封鎖された森林地帯の奥、雑草に埋もれた滑走路の先に、沈黙した巨大な鉄棺のように口を開けている。
「旧連邦内戦時に作られてたミサイルサイロ、よくここを利用しようと思ったな…」
コンクリートの地面はひび割れ、風雨にさらされた鉄製のハッチは茶褐色に錆び、わずかに開いた隙間から、地下の闇が覗いている。サイロの外壁にはかつての警告標識がかすれた赤で残り、読めるのは「高放射線危険区域」の数文字だけだった。連邦内戦時に政府軍が運用し、帝国成立と共に破棄されたものであろうが、戦争遺構としての価値も見出されずこうしてただ放置されて自然の力に飲まれて朽ち果てている。数年前にここ一体をエレナ・ニーナが買い上げて以降も、情景に変化はない。
地下へと続く螺旋階段は腐食し、下るごとにギシギシと悲鳴を上げた。
重厚に作られた鉄扉に取り付けられているコンソールを手慣れた手つきで操作し、扉を開放した。
「ミス・ヒミノ、被験者を連れてきてもよかったのですか?」
『えぇ、問題ありません。彼には目隠しをさせたまま、下層まで移動させてください。政府には許可を取ってあります』
長い黒髪をたなびかせ、白衣の女と武装した兵士たちが奥へと、下へと突き進む。しばらくいった突き当りの発射管制室の奥、廃棄された冷却システムの裏側にあった古い隔壁。コードロックは腐食して作動不能だったが、手動の解錠レバーが裏側に残されていた。まるで「誰かが、ここに入ることを前提に残していった」かのように。
隔壁の向こうは完全な密閉空間だった。放棄された軍事施設には不釣り合いなほどの無塵環境。全員が即座にマスクを外せるほど空気は清浄で、温度は一定に保たれている。明らかに“生きている”制御系の存在を感じた。
<ーお待ちしておりました。アオイ・ヒミノ>
機械音声を発する"それ"は液体の中で無数のチューブにつながれて浮いていた。人間の脳。ただ脳の表面を埋め尽くすように青黒いものがじゅくじゅくとうごめいている。その青黒いものは、学者である彼女にとっては見覚えのあるものである。"それ"は何十、何百もこの空間にあり不気味な感触を彼女らに与えていた。
<国家統治中枢システム、"テミス・システム"へようこそ。実験の協力要請と聞き及んでおります>
「テミス、彼の脳の記憶領域を上書きしてください。前回から調整してありますので」
そういうと彼女は目隠しされた男をシステムの手前へと差し出す。男は沈黙したままシステムの前まで自ら歩みを進めると、直前で膝まづく。部屋の一部が発光し、男へむけて青白いレーザー光をかざす。
<…犯罪係数測定、320。執行対象です。適正対象と認識。実験を開始します>
<脳のスキャンを開始、…。脳内の情報を整理。脳内ストレージを全て削除、実行>
ひとつずつ、コードが実行されるたびに沈黙を保っていた男の口からは苦し紛れのうめき声が洩れ、泡ぶくぶくを吐き出す。ヒミノはその光景を黙って、好奇心を宿した目で見つめるのみ。
<テミス・コードのプリインストールを開始>
プリインストールが実行された瞬間、男は横倒しになり顔面を地面へと勢いをつけて打ち付けた。1回、2回、なんども頭を打ち付け、地面には赤い血だまりと欠けた白い歯が散らばっていた。数十回と続けたのを最後に彼の頭が血の池から上がることはなく、手足は無気力に地面へと落ちた。
<インストールエラー。対象の生命活動が停止。404>
「…おかしいですね。エーギルの細胞操作でいじっていたのですが…理論上はソフトの立ち上げまではいけるはず…」
<拒絶反応と推定。>
「そうですか…、また新しい被験者をつれてきましょう。こちらでごみは片づけておきます。ご協力ありがとうございました。またお願いします」