茶番に使ってください!!
px
#
埋め込み先の背景色と馴染まない場合に指定して下さい。通常は埋め込み先の背景色をそのまま利用します。
px
wikiwikiスタイルでは文字サイズやフォントが自動的に調整されます。
次のコードをWIKIWIKIのページに埋め込むと最新のコメントがその場に表示されます。
// generating...
最新トピック
6037
51 秒前
兵器紹介 51 秒前
776
51 分前
個人の設定スレ 51 分前
14130
11 時間前
談話室 11 時間前
2197
11 時間前
架空設定コーナー 11 時間前
1447
12 時間前
輸出物紹介・取引コーナー 12 時間前
807
13 時間前
国の詳細設定 13 時間前
3064
13 時間前
NEWS コーナー 13 時間前
4997
18 時間前
画像コーナー 18 時間前
2615
20 時間前
茶番スレ 20 時間前
2265
1 日前
領土拡大、新規建国コーナー 1 日前
75
1 日前
各国保有戦力スレ 1 日前
2046
2 日前
質問部屋 2 日前
21
3 日前
領土記載スレ 3 日前
1159
3 日前
会議場 3 日前
3139
4 日前
外交用 4 日前
667
10 日前
茶番協議スレ 10 日前
332
10 日前
入った人はココに個々に名前を入れてね 10 日前
153
11 日前
人外関連設定スレ 11 日前
229
11 日前
架空兵器スレ 11 日前
561
17 日前
条約コーナー・機構コーナー 17 日前
42
1 ヶ月前
戦争史スレ 1 ヶ月前
77
1 ヶ月前
兵器資料スレ 1 ヶ月前
24
2 ヶ月前
この鯖の決まりごと(法律のようなもの) 2 ヶ月前
10
2 ヶ月前
世界情勢コーナー 2 ヶ月前
27
3 ヶ月前
中央アフリカ戦争スレ 3 ヶ月前
67
4 ヶ月前
南米カルテル紛争スレ 4 ヶ月前
7
7 ヶ月前
初心者さん案内スレ 7 ヶ月前
国民に激震が走っていた。マーガレット・テイラーが今日、自由軍団をテロ組織に分類すると今日 議会にて発表したのである。
「私達はこの地において武装過激派を容認したことはありませんでした」
議場にて首相はそう話す。
「誇り高き我が国が我が国であるための全てに反対し、イングランド全土に暴力行為を描げていた このような悪党の集団を今までのさばらせていたのは、ただ怠慢によるものであります」
この声明によりナショナルアクションの活動家らは騒然どし、多くの国民戦線がデモをおこすほどの騒ぎとなった。都合の良いことにこれら活動家の一部は事実、自由軍団のメンバーであり、MI5による調査のもと裁判を待つための独房送りとなった。これによりナショナルアクションと国民戦線とその私兵組織は無力化されたが、ジョー・ラブクラフトとレイフ・ハリソンの支持者の多くについてはそのままであり、彼らはこれを事実無根の愚かな決断であると公に非難している。
ご自慢のテロリスト集団がなければ、奴らは騒ぎ立てるぐらいしか出来ません。
自由軍団の粛清に続き、マーガレット・テイラーは今日の午後、議会において「公然としてファシスト」的な見解を止めることは扇動行為であると表明し、ファシストであることは事実上国家反逆罪に該当することになると宣言した。
ナショナルアクションなどの過激派ナショナリストからの反発は予想よりも少さ、彼らの大半は信念によって投獄されるよりも 自らの生活を重視しているようだ。とはいえ今まで声高に抗議を行ってきた者達については、いつでも警察が自分たちを一斉に検挙出来る状況になったという事実に直面している。この宣言は、これまでファシズム的表現を度々行ってきた国民戦線に経止待を打つものとなる可能性が高いと思われる。
一方でジョー・ラブクラフトやレイフ・ハリソンと彼らの助言者達は、自らの見解を覆い隠しながらファシストにだけは理解することの出来るような独自のレトリックを再構成することを試みているようだ。
何だって?犬笛のようなものか?
本法案をめぐる噂の絶えないロンドンの不安と動揺に応えるかのように、本日、首相法が議会で可決された。
この法案は野党が恐れていた通りのものであることが証明された。マーガレット・テイラー首相に広範な行政権限を与え、議会の権限を狭めるものだったのだ。この批判に対してテイラーは、この法は首相職をアメリカ大統領に近いものにするための単なる「アッブデート」だと語っている。法案を読めば、新たに追加された行政府の権限が大統領権限を「遥かに」超えていることは誰の目にも明らかなのだが、テイラーと保守党は議会過半数を確保していたため、この法案を強行採決してしまった。
議会はもちろん憤慨しているが、もはやテイラーの権力をチェックする手段はほとんどないといってもよい。
我は議会なり。
増加装甲のついたLAHMVのドアを開くと、雨季の終わりらしい重くぬるい風が川の方から吹いてきた。腐った果物や乾いた赤土の匂い、車両の潤滑油の匂いが鼻腔をくすぐるばかりで、ちっとも涼しさなんてものはない。照りつける太陽が背中の発汗を促し、コンシャツが張り付く不快な感覚が襲ってきた。
「降車、50口径は市民に向けるなよ」
「了解」
ガンナーと運転手以外が降車し、第5海兵連隊第3大隊B中隊、その第2小隊の仕事が始まる。幅5mほどの未舗装の道の傍に止まる2両のLAHMVに与えられた仕事は村の警備と人心掌握、情報収集だ。日干しレンガの建物が立ち並ぶ中、銃を抱えて8人が道脇を歩いていく。道の向かい側から3人の小さな人影が近づいてきた。
「TL」
「大丈夫だ」
先日訪れた際に遊んであげた子供達。名前は知らないが、スキットルズで仲良くなった。早々に車両のエンジン音を覚えたらしい。幼子の学習能力に多少の驚きを感じながら、銃を背中に回す。もちろん、返す手でプレキャリからスキットルズを取り出す。
「お兄さんたちをお菓子くれる人だと思い始めたかーこのガキどもー」
「ハロー、ハロー」
拙い英語の挨拶と共に手を差し出してくる3人に5粒づつ配る。ザッザッという音を発しながら、小さな6つの手のひらへカラフルな塊が飛び出した。笑顔で頬張る子供達の頭を撫でつつ周囲の観察をする。道路向かいで荷車を押す老人が目に飛び込んできた。既に部隊との最短地点を過ぎ去っていたので、IEDの心配はない。
「ちょっと行ってくるな、レッカー班は残れ」
「了解ですボス、おまかせを」
5人がその場に残り警戒、大人から必要な物資を聞いていく。フランス語ができるレッカー伍長は得意げに頷く。海兵隊に入ってきたのが大学出の青年というのだから驚きだ。
小走りで荷車へ近づいていく。装備類が干渉し合いカチャカチャと音を立てている。
「そこのご老人、お手伝いしますよ」
「_________」
護衛でついてきたフランス語ができるもう1人の班員が通訳をする。老人は何が何だかという様子で自分を見ていたが、部下の翻訳を聞いて納得したように手で感謝を示した。
「そこの建物に運んでいるみたいです」
部下が指さしたのは2つほど先の住宅。弾痕が目立つ、一階建ての小さな家だ。通りに目立った障害物はないことを確認し、荷車の持ち手に手をつけた。
少し離れた井戸から汲んできた水の入ったポリタンクが積んであり、それなりの重量を感じる。
「…なかなかにっ、重いな…っ!」
「手伝いましょうか?」
「いやいい」
部下の申し出を謎のプライドで弾きながら大腿四頭筋と上腕三頭筋に力を込める。一度回転し終わった車輪は軋みながら赤土に跡をつけ始める。
ーーーーーーー
「なるほど…ザイールのやつが村はずれの小屋に住んでる…ってことで大丈夫ですね?」
「えぇ、この前伝えなくてごめんなさいね。子供達があなたから水運びを手伝って貰ったって聞いて…」
「いえいえこちらこそ。小屋の周辺には近づかないようにしてください。具体的には50m…いや、100mほど距離を取ってくださると助かります」
赤マーカーで印のついた村の地図を子供の母親と確認する。しわくちゃの地図上、村の外れを示す小さな点に丸がついている。ザイールへ情報を渡している人間がいるとのことだった。
「それで…水と食料は足りてますか?ウォータートレーラーが一台こちらへ回せますよ」
「井戸で足りてるので大丈夫です。別の場所に送ってあげてください」
頷き了解の意思を表する。ヘルメットの中は自分が発した熱気と汗で満タンだ。キャンプでシャワーを浴びたいと思考が逸れる。
『ミスフィットリードよりチーム、老人の…痛てて…手伝いが終わった。そっちに戻る』
「ミスフィット1−2ラジャー、早く戻ってシャワーを浴びたいです」
知らせに安堵しながら欲望をダダ漏れにする。遠くからヘリのローター音が低く建物に反響していた。目に入りそうだった汗をプロトテックのグローブで拭き取る。完全に拭えるわけもなく、瞼から額にかけて伸ばしただけに終わる。
「ふふ、是非とも早くシャワーを浴びてください。アメリカから来た皆さんに取っては暑くてしょうがないでしょうしね」
「…英語話されるんですね」
「内戦前はキンシャサにいたんですが、親が心配で」
太陽が真上に昇り、空は抜けるように青く、影は短く濃く地面に落ちている。村の通りには人影もまばらで、石畳の熱がじわじわと空気をゆがませていた。人の歩く通りを避け、できるだけ一目につかない道を選び異国から来た二人は歩みを進めていた。
「スウヒャクネンブリクライカ、…ナニモカモカワッテイルナ」
「…」
先頭を歩く"彼女"は片言な独り言をぶつぶつとつぶやきながら周囲を執拗に見回しているが、一定の距離を開けて龍人が"彼女"の動向を、時々あくびをしながら監視している。
「なぁ、その恰好でその声は人間らしくないんじゃねぇか?」
「ニンゲンラシイ、ニンゲンデナイキミガイウノカ。トキニワタシハドンナコエヲシタライイ」
「少なくともその声は違う」
顎に指を当て、少し考え込む動作を挟んだ後、"彼女"の喉あたりから骨が折れるような音、肉が引きちぎれるような音が混ざってあたりに響く。"彼女"が再び口を開き、さっきの片言声とはまったく違う"人間の女性"が発声した。
「これで問題ないだろう」
「あぁ、用事が済んだならさっさと帰んぞ」
「なぜ?まだここに来て13時間29分44秒しか経過していない。長命の君が時間を気にするのか?」
ルェンを見る"彼女"の目が、時々瞳孔が2つや3つに分裂したり急に色が変わったりなど異質な変化を繰り返しているのを見てしまうとやはりこれは人間ではないのだと改めて認識させられる。"彼女"がする瞬きも、呼吸も、こうして見える全ての生命活動は、"彼女"にとっては不要になったもので意味をなさない。ただ、人間の真似をしているだけである。
「そうじゃなくてだな、…」
やや困惑しつつ、頭を軽く掻いた。
ある日突然シナノに呼び出されたかと思えば、「散歩の護衛」などと意味不明な命令を下された。シナノは大宰相の仕事でクレタ島へ、他の小隊の面々はシナノの護衛のため手を離せず、リューディアに至っては連絡にすら出なかった。これも仕事だ、とシナノはいうが…
「シナノから聞いてないのか?異性体があーだこーだって…」
「もちろん聞いている。この地の異性体は帝国との接触がないため情報が少なく、私のような異性体が居座ることがそれらを刺激してしまう…とか。だが何か問題があるのか?知見を広げる良い機会ではないか。同族の進化のために、私はこうして先導者となっている」
「あー、…ったく、気が済んだらさっさと帝国に帰るからな」
あきれたように、ルェンは再び歩みを進め"彼女"もそれと並んだ。
小麦畑は陽に照らされて金色にきらめき、畝の間を風が走るたびに、さざ波のように揺れている。
ー
ーッ
のどかなこの地には不自然な一発の銃声が通りを一直線に通り過ぎる。
銃弾は"彼女"の腕を正確に穿ち、腕は胴体から引き離され空を舞った。ルェンはこの異常事態、ー誰かから襲撃を受けたことを早急に理解し行動に移す。
「くっそ、言わんこっちゃない…、早く逃げんぞ!」
「時にルェン」
「なんだ?」
「人は銃とやらで撃たれたとき、どのようなアクションを実行する?」
「んなこと言ってる場合か!?」
焦るルェンとは違い、撃たれた"彼女"は痛がる様子も見せずその場に立ち尽くしている。ただ不思議そうに、血の一滴も流れ出ない腕の断面を一目見て、ふと通りの向こうの襲撃犯を視界に捉える。
金髪で長身の女性が一人、こちら側を凝視し、手にはアサルトライフルを携えていた。突然、銃は光を纏ったと同時に消失した。そこには何もなかったはずの空間から、黄金の輝きと共に光が集積し剣を形作る。かたどられた光は、彼女が一振りしたと同時に実体化し、白銀の光沢を放つロングソードとなった。
「よりによって人外か…あれ、面倒事になったまったなぁ…っておい!」
"彼女"の引きはがされた片腕が黒く液状化し、地を這って"彼女"の体へと戻る。肩の断面から黒い液体が噴き出たかと思えば液体には見えない挙動をし、数本の触手のようなものに分裂した。
「よかったなルェン、よい知見が得られたじゃないか」
お待たせしました()
通常がルェン、イタリックが"彼女"ことカッルのセリフになります。
基本的にカッルには人間の常識が通用しません()
アーサーネキの武器出現モーションは私のイメージですので、違ったらお申し付けくだされ
・スウヒャクネンブリクライカ
そのままの意味。正真正銘の生エーギルであるカッルは長命種です。
「全員集まったな。今回の仕事は兵站車列護衛だ。突っ込んでくる怪しい車は運転席を撃って確認しろ」
キンシャサ近郊に設置されたCANAT軍の兵站拠点には、大量の物資とそれをトラックへ積み込む兵士たちで溢れていた。マルチカムのACUを着用する軍人たちの中、半袖のシャツにプレキャリ、ジーパンという明らかに軽い出立ちの男が7人。野球帽を目深に被っている。
「IEDに当たらないかは祈っておけ。一応陸軍の地雷処理部隊が確認をしたそうだが、その後に仕掛けられてたらどうにもならん」
肩にPMC「OAEディフェンス」のパッチをつけた契約警護員が腕を組んで並んでいた。真っ黒のサングラスを光らせながら、壮年のチームリーダーがブリーフィングを聞かせていた。
「ファング2、3、4は俺とパックホース2に乗れ。5、6、7はパックホース3。正規軍の安月給に愛想尽かした俺たちだ。当分ここで稼がせて貰おう。20分後に銃と弾を持って集合しろ。MREと水は用意してある」
「イェッサー」
「仁、仕事の話があるが...」
「僕はやらない」
財団本部。残存確認ができる2名を除いて誰もいないオフィスに僕の声が響いた。
「久しぶりの前線任務なのに?」
「財団が動いても大して問題ない。だけど僕が動いた瞬間、世界に叩かれる。なら動かない方が財団のためじゃない?」
最後の一枚のレポートを書き上げて残りわずかコーヒーを喉に流し込む。はっきり言って前線任務はもうやりたくなかった。
「今回はそんなことはないときっぱり言える。だから大丈夫だ」
「ぶっちゃけ僕がいなくても財団は任務を完遂できるんでしょ?」
「......」
「どうやら図星のようだね」
PCの電源を消して、帰りの用意を始める。今日は残業したことを雪に言っていないから、帰ったら謝らないと。
「僕の体は戦闘をもう求めていないし、残り少ない人生を楽しめれば良いから」
キッパリ断ってガンケースを持ってエレベーターに向かう。
「そうか。なら俺も強制はさせない。ただお前がいるだけで残れる命が増えるとだけは覚えてほしい」
車に乗り込み、しばらくの間目を閉じる。
『んで、結局どうするつもりだ?余命はあと10年と宣告された狼傭兵さん?』
「そうだね...」
はっきり言って戦闘は求めていない。でも刺激は求めたい。
「どうせあと10年。人生踊りゃな損だな」
初めて引き金を引いた時を覚えている。7歳の時、父と祖父が突然去った母の話で喧嘩になった。キッチンを挟みながらの軽い口論だったと言うのに、いつの間にか一触即発の掴み合いになっていた。
ふと、祖父が22口径の拳銃を取り出した。父は狼狽えるばかりだったが、祖父は怒りに任せて引き金を引き切った。初めて聞く乾いた発砲音に、私は全身を震わせるばかり。父の体がフローリングに転がる音で我に帰った私は、彼が愛していた12ゲージを手に取る。チューブ内に仕込まれていた違法なフレシェットを薬室に送ると、祖父が震えた声を出した。「それは危ないものだ。下に置くんだよ、__」
人生で最もコンバットハイを感じたのはこの時だったかもしれない。素質、というものか。
「名前を呼ぶな、死ね」
ーーーーーー
「んぁ…?」
暖かな陽光が瞼越しに瞳を照らす。嫌でも覚醒した脳は私に朝食を食べるように指示を出してきた。寝る前と違った、背中を包むふかふかとした心地よい感覚に違和感を覚える。体に乗っていたサングラスを掛け、体重を横へ移動。
「おはよう、魔女様は目覚めが悪いようだな」
「いつもの事さ。気にすることはない…と、ソファで寝ていた気がするんだが、これは?」
「彼女が運んだんだ」
仮眠室から出た私を迎えたのは、デスクでキーボードを叩く彼女『アリシア』。と、見慣れた私の部下一人。ベッドへ私を運んだという張本人は得意げに笑っている。
「それは悪いことをした、感謝するよ。アリシアくんもここ での生活に慣れてきたようで何よりだ」
どうだかなと、彼女は軽く微笑んで返す。アフリカも、パナマも、イラクも、アメリカも、この瞬間だけは遠いような気がした。
地中海に浮かぶクレタ島。
そこに、世界初の軌道エレベーター――通称「コルムナ・アストライア」が建設されていた。
重力圏を貫く一本の柱。長さは地上から36,000km、静止軌道へ。
素材はカーボンナノチューブと高張力分子ワイヤーの複合体。
企業達が練った構想がついに今、人類はそれを実現しようとしていた。
ー、彼女は子供のころに見た映像が忘れられなかった。英国が初めて月面に着陸し、国旗を掲げたあの映像を。空の彼方をこの目で見ることが彼女を動かす原動力となった。自国が崩壊し、帝国として再編されたときも、彼女はずっと空を見続け、今もそれは変わらない。
二度の戦乱によって焼かれたクレタ島に対する帝国主導の戦後復興政策、その一環としてエレナ・ニーナのENジェネシスで私は野心的な計画を打ち立てた。
< 軌道エレベーター >
これがあれば世界はロケットに頼らずに人を宇宙へと送り込める。宇宙進出は加速し、更なる深淵を開拓し、不可視を視野に捉え垣間見えることができるはずだ。ーそして、宇宙の無重力を、黒い深淵に包まれた中に光り生きる星々を、夢にまで見た光景をこの目に見ることができる。
ー、。
式典の後、空の彼方へと消えるほどに高い軌道エレベーターを見つめる彼女の隣に、龍人が並んで問いを投げかけた。
『あなたのご尽力でクレタ…いいえ、帝国は新たな時代を迎えました。感謝を申し上げます』
「あなたのあの機械知性か。“人間が描く未来の道筋を補完する”……でしたか?」
『補完ではありません。“選定”です。最適経路を見極め、剪定する。そのために私はいるのですから』
機械は柔らかい笑みを浮かべる。
『…いつものように太陽が昇り、星の輝きが永久に貴殿の心にあらんことを』
偉業を前に、龍人を模した機械人形はそう言葉を残した。
シェリー・バターフィールド
旧連邦移民。大学で「宇宙」に関する研究を行い、論文の発表会にてエレナ・ニーナの興味を引きENジェネシスの設立にかかわった。軌道エレベーターの設計主任。彼女が求めたのは帝国の科学の発展でもなく、エレナ・ニーナら企業の権益の拡大でもなく、自らが心に秘めた子供のころの夢「未知の領域を自らの目に焼き付ける」の実現だけである。
コルムナ・アストライア
クレタ島ハニア近海の人工島に建設された軌道エレベーター。
Tu veram stellarum caeli in conspectu tu potest.
貴殿は真の星空を目の当たりにした。いつものように太陽が昇り、星の輝きが永久に貴殿の心にあらんことを。おやすみ、テラ。
山の中は昨日の雨で足場が悪く、強い自然の匂いを漂わせていた。
特災情報課に務める古村は心臓を締め付けるような威圧感に耐えながらメモ帳に情報を書き込んでいた。
「貴様らが黒鬼と呼ぶアレについて我が知ることはない。我はすべてを知るわけではない、長い年月で見てきたものを知っているだけだ」
岩に巻き付きながらこちらを見下ろす灰色の大蛇は、生ぬるい息を吐きながら古村に向けてそう言った。今週5体目となる無駄に威圧感にあふれた怪物たちへの聞き込みは確実に古村の胃に致命的なダメージを与えていた。
「...なんでもいいです。あれに似たやつや噂でもなんでも、些細なことでもいいんです」
「そもそも調査をするにしても場所を間違えているだろう。アレについて聞くなら奥羽...東北でするべきだろう」
「なぜ東北?アレと東北は何か関係があるのですか?」
「...? そうか、貴様らは知らないのか。アレの特徴は東北にある古い鬼の族にあるものだ。今はもう絶えただろうが少し前まではいくつかの集落を築いていた」
資料室で見た資料に黒鬼の出自は書かれていなかった。東北地方の鬼は様々な族に枝分かれし現在はその半数も残っていない、資料に残る前に消えた部族だとしてもおかしくはない。ただ東北地方はすでに聞き込みが完了した地域であり有益な情報は得られずに終わっている。
これ以上この大蛇は情報を持たないだろう。東北で発生した可能性について聞けただけでも大収穫だ。
「そうですか、ではこれにて失礼いたします。ご協力ありがとうございました」
山道を下りながら考える。今まで集まった情報では出現場所を予測することも有効な対処法も編み出すことができない。
ふと何かが見えた。薄い青色の髪、なにかが見ている。ただ怖い。足早に山を下り車に乗る。
帰り道に山で見えたものを思い出す。化け物には化け物をぶつけるしかないのだろうか。
灰色の大蛇:灰色の大蛇。岩のような鱗を持つ。日本に生息する大蛇の一体。しゃべる。
古村:特災情報課の職員。情報の整理・分析と収集が仕事。ここ最近ずっと圧力がすごい鬼の偉い人や大蛇と話してたため腹痛を発症した。
薄い青色の髪:通りすがりの竜。知り合いの大蛇を見に来ただけ。
龍!!!
ヤバィゾォ()
龍の発作ダァ
鎮静剤持ってきて‼︎!
龍を見ると発作が出るという世にも珍しい病
これは草
コンゴ民主共和国東部のとある道、共和国の車両隊が支援物資を運んでいた。
ヒューゴ「いやはやコンゴってのは暑いねぇ早く国に戻りたいよ…」
陸奥「そりゃあ赤道近いですからねぇ…」
ニード「そういや気になってたんすけど今回の任務では強化外骨格持ってこなかったんすね」
ヒューゴ「まぁ機関部に砂が入ってぶっ壊れるからな、イエメンのときも大変だったみたいだぜ?。あと単純に暑すぎて重騎兵が蒸し焼きができる()」
ニード「そりゃぁこわ…」
バァゴーーン!
車列の後方で爆発が起こったようで、護衛用のUAZ‐98が一両火柱を上げている。
ヒューゴ「車列止めろ!本部にも応援要請!」
「Понять!」
陸奥「あいつらどこの所属だ!」
兵士A「レイダーだっ!それよりも陸奥早く車両の裏に来い!」
陸奥「了解!耳撃たれませんように…撃たれませんように…」
兵士A「HQこちらスペード1-5。敵襲!直ちに増援を送ってくれ!」
HQ「こちらHQ。基地待機中のMi‐130Aを二機送る。到着予定は25分後。オーバー」
兵士A「了解」
ヒューゴ「本部はなんて?」
兵士A「25分後にグリズリー二機が航空支援に来る、それまではここで防衛線張れってよ」
スパァァン!スパァァン!
ニード「航空支援は速さと鮮度が大事じゃないのかよ!」
ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!
陸奥「陸軍隊員なら泣き言をいうな!」
ヒューゴ「こんなになるんだったら戦車一両でも持ってくればよったな…」
数分後…
兵士B「援軍はまだなのか!弾薬がそろそろ尽きるぞ!」
スパァン!スパァン!スパァン!
兵士A「もう少しだ!踏ん張れ!」
その瞬間空からミサイルの雨が降り、目の前の敵兵が木端微塵になった。
ニード「来たぞ!航空支援だ!」
パイロット「ヒーローは遅れてくる…なんちゃってな!アハハハ」
ヒューゴ「陸奥、無線貸してくれ。」
陸奥「はい」
ヒューゴ「ありがとベアーズ、後でビール奢ってやる。」
パイロット「よっしゃぁ!あっそういえばこの先のチェックポイントに補給部隊待機させてるらしいから弾薬と車両の補給しろってさ」
ヒューゴ「りょーかい。」
これからちょっと後、車列は目的地に向かって再び動き出していった。
ヒューゴ:国防陸軍第5歩兵大隊第二小隊の隊長。30代の男性で中尉。
陸奥:国防陸軍第5歩兵大隊第二小隊の隊員。20代後半くらいのオオカミ系獣人の女性。
ニード:国防陸軍(以下ry)の隊員。陸奥の同期でチャラい。
兵士A、B:国防陸軍(以下ry)の隊員たち。特に設定はない()
パイロット:第664飛行隊(ベアーズ)のヘリパイロット。
レイダー:無所属略奪ゲリラの一つ。勝手に作ってよかったのだろうか…
暖かなフロリダの風がエイボン・カーク・クリフォードに吹きかけ、彼は野原を踏み締めた。高低差のない平原はどこを向いても景色が良く、数分間歩いた末、ついに利用的な観測地点に辿り着いた。長いケースを下ろしそこから椅子を取り出して設置する。三脚をできる限り水平な位置に置きその上に望遠鏡を取り付ける。
もちろん危険が伴う行為だ。彼の身分を知るものなら、そして悪意持ったものがそこにいたならば彼はすぐに誘拐されていただろう。幸運なことにそのような存在は見当たらなかった。治安維持の重要性も彼は認識した。暇が出来次第、すぐさま取り組むべき改革の一つと言えるだろう。
そのような危険を犯してもなお彼がここに居続けていたのは単純な好奇心によるものだった。かつて自分のような男たちが地球をその広大な宇宙から眺めたという事実、そしてこの地から月へ飛び立つ三人の男たちを輩出したという栄光。不運にも持病が原因で空を飛ぶ夢を諦めた彼はならばせめて彼らを全力で支えるための道を選んだ。
時計を確認すると、そろそろ時間だ。宇宙センターの方向を向きながらコーヒーを楽しむ。宇宙センター内からこれを見るのも良かったがそれより野外で見る方が好みだった。轟音が耳に響き夜空が炎で赤く照らされる。技術を糧に突き進む未来は宇宙へと飛び立つ。おそらく同じような考えを持った者は帝国にも居るのだろう。ロケットが空を切り開く様を眺めた彼は再び決心した。
我々はいつか火星を旅してみせる。
・エイボン・カーク・クリフォード
フロリダ自治領首相、穏健技術主義者。
・宇宙センター
パークス宇宙センター。史実で言うところのケネディ宇宙センター
「あと何マイルですかね?」
「2マイル。すぐに着くから黙ってろ」
「アイアイサ」
M800多目的トラックの助手席で頬杖をつく。外の景色は緑と茶色の2色で構成されており、マンハッタン走っていた時のような目新しさは欠片もない。積荷は大量の医療物資と食料品で、キンシャサの配給施設へ持って行くと言う話だった。雨季が過ぎ去った中央アフリカに、青い空が微笑みかけている。殺意を込めて撃ったこともないライフルのセーフティを指で遊んでいると、最後尾の車両から連絡が入った。
『こちらドラゴン6-6、後方から不審車両1。警告中』
窓を少し開けると、湿った空気と後ろから響くフランス語の警告が入り込んできた。
「大丈夫で__」
視界が白に染まった。ついで襲ってくる激しい衝撃と熱波がフロントガラスを破り、破片が頬を突き刺して痛覚神経を刺激する…はずが何も感じない。自分の思考が著しく遠くへ落ちて行くことを感じるが、迫り来る死すら意識できなかった。
ーーーーー
「__軍曹…軍曹…起きろ!」
肩を叩かれる軽い痛みと大声で目を覚ます。かろうじて回復した聴覚と視覚が先ほどまでの平和な視界を取り入れることはなかった。
「…あぁ、そういう」
運転手だった先輩はIEDに近かったのか、皮膚は捲れ、左目のあたりに金属片が刺さっている。血となんらかの体液で構成された混合液が傷口周囲からジクジクと漏れ出し、焼け焦げ、煤に塗れたACUを染め上げて行く。死んでいる。
自分の左手に視線を落とすと、空虚があった。手首の断面からは血に染まった骨と赤々とした肉、乱雑に千切れた血管が覗かせている。
「外出るぞ、落ち着け。せーのっ!」
両脇の下に腕を入れられ、力尽くで車外へ引き摺り出される。未舗装の道路の脇に寝かされると、先ほどまで見ていた青い空が視界いっぱいに広がった。左端に登る黒煙が邪魔に思えた。
瞼が重い。
「寝るな!おい!」
顔を叩かれて意識が浮上する。と、同時に壮絶な痛みが左手を突き刺した。まるでよく焼かれた鉄を当てられた時のような鋭く鈍重な痛み。これまでの人生で最大の損失と代償を脳へ直接送りつけられる。幼少期の少年が自転車で転んだ時のような、何も気にしないようななき叫びを上げる。
「大丈夫だ、こっちを見ろ!」
青い空を遮り、部隊にいたコンバットメディックがこちらを覗き込む。手荷物は何かの粉が入った袋。あれは確か。
「_______!」
またしても壮絶に痛覚が刺激される。暴れる私の左腕を押さえつけ、彼女は粉末を傷口へ振りかける。惜しみなく、大量に。
「え、あ、根性なしだったか」
その時には再び意識を手放していた。
「カチッ」
乾いた金属音が足元から響いた瞬間、世界が止まった。
0.4秒後、PMN-2地雷が破裂する。
爆風と共に足首から下が消し飛んだ。
皮膚は裂け、筋繊維が捻れ、骨が砕けて散った。
スネの骨は白濁した破片になって肉と一緒に空中に舞い、脛の皮膚は靴の中に残ったまま、
焼け焦げた肉の断面からは泡立つような血液が断続的に吐き出される。
彼は悲鳴を上げようとしたが、肺が圧迫され、喉から出たのは犬の鳴き声に似た喘鳴だった。
「あ゛っ…ぅう゛…っっあ”あ”あ”あ”あ”ァ!!」
倒れた地面は赤く染まり、泥と血が混ざり、粘性の高い肉のスープのように変わる。
両手で膝下の“あった場所”を押さえるが、指が皮膚の下にずぶりと入る。
圧力で裂けかけた皮膚が破れ、筋肉の繊維がピロピロと音を立てて指に絡まる。
「どこだ!?どこが痛ぇ!?おい!どこがっ!!」
駆け寄ってきた仲間が叫ぶ。
彼は答えられない。
口を開けば断末魔の咆哮と嘔吐物と、舌の一部が同時に飛び出るから。
右目は爆風で硝子体が飛び出し、視神経が頬まで垂れている。
残った左目で彼は自分の脚を見てしまう――骨だけが刺さったような断面。
その中心に、まるで溶けたチーズのような筋組織がぶら下がっている。
助けようとする兵士の手に、自分の内臓の一部が貼り付いた。
爆風で腸が肛門から押し出されていたのだ。
細長く伸びた腸が、まるで蛇のように泥を這っている。
自分の体の中にあったそれを見た瞬間、彼は嗚咽し、自分の舌を噛み千切った。
「モルヒネッ!!早く!!早くッ!!!」
手当ては遅かった。
鼓動に合わせて吹き出していた血は、もはや泥と区別がつかない赤黒さになっていた。
目が見開かれたまま、彼の口がパクパクと動く。
声は出ない。肺が破れている。
「……こわい……」
最後の言葉は、声帯が崩れてもなお、口の動きで読み取れるものだった。
そう呟いた数秒後、彼の身体はけいれんを止めた。
片脚が無くなった兵士の死体は、血と泥に埋もれた戦場の片隅で、“肉の塊”に戻った。
ああ...なんて良い描写なのでしょうか...(恍惚)
人のいなくなった峠。月の光が濃い霧に遮られ、あたりは深い闇に包まれていた。喰い終わった死体から離れて、道路をふらふらと歩くと、霧の向こうに気配を感じた。飢えに操られるまま、気配の主を喰らうために歩き出す。たとえそれが自分よりはるかに高位の存在であっても、触れてはいけない化身だったとしても
霧の先にいたのは一人の少女だった。薄い青の髪、枯れ枝のような角、蛇のような尾。
少女が手を振ると風が吹いた。濃霧がかき消され、月の光が皮膚を焼くように降り注ぐ。凶器であり鎧だった霧が無力化された今、武器は手にもつ棍棒と執念だけだった。前へ進もうとするのを押し返すように風はますます強く吹き、雹が体を殴りつけている。棍棒は風に攫われ、執念は雹とともに砕け散った。
それでも、一歩、一歩と大地を踏みしめて近づく。赦しを得るために手を伸ばし、少女に触れようと前へ進む。しかし痩せ細った肉体は風に耐えきれず、悲鳴を上げ続けた。
限界が訪れたと同時に、突風が体を吹き飛ばし大樹へ叩きつけた。脊椎が砕け木の破片が体を切り裂く。
墜ちていく意識の中で、最後に見えたのは青い瞳だった。
まさか本当に見つかるとは...そう思いながら目の前の正気を失った鬼を見る。「全国各地にランダムに出る鬼を殺してほしい」という無茶苦茶な頼みを受け、あてもなくさまよっていた時に偶然遭遇してしまった。
飢えに狂い目の前の生物を喰うことしかできなくなった哀れな鬼、共食いの罰として目と言葉を奪われた罪人、飢饉が残した骸。
人間たちはあれを「霧の能力」と言っていたが「やませ」が正しい表現だろうか。飢餓を満たすために飢餓を呼ぶ霧と風で狩りをするなんて皮肉なものだ。
数百年の時間が一瞬で過ぎ去っていくように朽ち果てる死体を横目に電話をかける。
『もしもし鶴本?黒鬼見つけたから殺したよー。これで被害はなくなるんじゃない?たぶん』
黒鬼:全国にランダム発生する通り魔。ようやく死んだ。死因は脊椎が粉砕骨折。
峠:東北地方のとある峠。この日の最大瞬間風速は64m/s
少女:一般人間協力竜。名前はシノネ。風と雨を操れる。
「人外というのは生まれつき嫌われる存在僕ら のエゴだけだ。」
でも大多数はそんなことがなくなったが、いまだに嫌われる人もいる。
僕は地元で「悪魔」と呼ばれた。そして親も殺された。」
アフリカの深い夜の底で一人の獣人が車の中で小さく呟く。それを聞いていたのは誰でもなく、彼自身だけだった。
「僕は財団の職員だ。役目は人々を闇から遠ざけること。そして、その役目は死ぬまで続く。」
彼の目にはうっすらと涙が浮かんでいたが、それが幻想だったかのように消えていった。
「世界を守りたいが、親を殺した奴らの仲間も殺したい。でもそんな自分が嫌いだった。
だから戦場に立った。相手を殺し、自分の心も殺せるから。」
誰も彼の言葉に返答をしなかったが、彼はそれに対して特に気にしている様子はなかった。まるですでに回答を聞いたかのようだ。
「戦場には富も、権力も、正義も、何も存在しない。
あるのは
ハンドルに体の体重をかけ、不気味に笑う。
「なぁダスト、面白いだろ?世界平和という正義もだとしても、世界征服という権力だとしても、どちらも人のエゴには変わりようないんだ。これがお前が見たかった人間の姿ってやつだろ?」
彼は冷静そうに見えて、すでに狂乱の渦の中に沈んでいた。
「まぁどちらにしろ僕は自分のエゴで戦場で生き続けるよ。生きて理性がある以上、人ならざる者の僕ですらもエゴはあるんだ」
ハンドルから顔を上げる。白い肌に明るい月明かりが差し込んだ。
「だからさ、ダスト。
もう少し僕のエゴに付き合ってくれないかな?」
なんか書きたくなりました。どっかでもう一度仁君を暴れさせたいです()
本資料は、通称「VORTEX-9」と呼称される西太平洋深層に位置する未踏領域の調査プロトコル、および初期観測データを含む概説資料です。同地へと調査へ向かう場合は、帝国海洋研究機構及び帝国政府が派遣する調査船に同乗することが推奨されます。情報や利権の観点から他国の研究機関との同行および他国への寄港はおすすめできません。
同地は帝国領外、他国の利権関係が伴う地域のため長期間の調査は推奨されませんが、サンプルの回収は可能な限り行ってください。
なお、任務中に以下の兆候が確認・観測された場合は、即時中止・浮上・撤収してください。
・他国軍・機関との接触
・同一方位からの繰り返される無変調音波(Mシグナル)
・光源を持たない無数の発光反応
・「母体」
・深海部における「人型」
同探索は、エレナ・ニーナ、ANH、アルメリア海洋権益保証基金会の支援の下で海洋研究機構が実施しています。
母体…母体種「豊かの海」「静かの海」「島の海」などのこと。なお、「波の海」を除く。
光源を持たない無数の発光反応…「波の海」
マリアナ海溝…?太平洋艦隊増派しなきゃ()テイラーは紅茶を口にした。少し砂糖を入れすぎた気がしたが、なんとも言えない緊張感を解すのには適した量だった。目の前の男…元国民党出身で「血の川」と呼ばれる演説で知られるデレク・パウエル議員は彼女にとっても未知数な人物であったが、彼女が思っていた以上に話が出来そうな相手であった。こういう相手との場合は、出来る限り早く打ち解けるようにしておくのが良い。2人はしばらくの間紅茶を楽しんでいたが、パウエルが切り出した。
「いい夜ですな、首相。予測するに、私の今後について話すため私を呼んだのでしょう?随分と大胆だ」
『こういった内容を話す場合は夜に限りますね。国民党が解体された以上、貴方の行き先はおそらく地方政党でしょう?』
「そうなりますな、つまりあなたはそれを防ぎたいと」
再び紅茶を飲んだ。話していると、鏡を相手しているような気分になる。時代が違ければ彼女もパウエルと同じような人生を歩んでいたのかもしれない。パウエルが髭を擦ると、再び話し出した。
「もしあなたが私であれば、同じことをしたでしょうな。首相」
『私は本来なら国民党にいるべき人材でしょう。政治的な合致点も多いです。では何故貴方の忌み嫌う保守党にいるのか、あなたには分かりますか?』
「あなたの努力は認めます。おそらくは保守党の改革のためといったところでしょうか?私が成し得なかった伝統を保護する…、守旧派のことを考えると険しい道でしょうな」
『価値はあります。この国を政敵から、アカから、ナチから護り抜く。そのような強固な選択をできる者は貴方しかいないのです。パウエル議員』
パウエルは少し悩んだ様子を見せたが、その表情はすぐに消え去り、光が彼の顔を照らす。カップを持ち上げ、首相を見つめる彼は彼女に向け一言述べた。
大英帝国に乾杯。首相閣下
・デレク・パウエル
反移民を掲げる議員。元々保守党に所属していたが、「血の川」演説により移民政策を非難したことにより保守党から除名。その後国民党の副党首を務めていた。テイラーとの意気投合により保守党に帰還。
朝は静かだった。
ひんやりとした空気が頬を撫で、湿った草の匂いが鼻腔をくすぐる。
私は軽く伸びをして、カーテンを開ける。窓の外には、昨日より少し背を伸ばしたアザミの群れと、まだ眠たそうなニワトリたちの姿。
「さて、朝食にしようか」
独り言を言う癖が抜けない。もっとも、誰に聞かせるわけでもないから構わないだろう。
キッチンは簡素だが、よく手入れされている。調理器具は古いが、精密機械のように配置され、動線に無駄がない。
私の知性は、こういう些細な整頓にも反映される。あぁでも、あくまで“自然”に見えるようにね。
パンは昨日、村外れのマリーおばさんから分けてもらったもの。少し硬くなっていたけれど、水分を含ませて焼けば...。
ジュッ
良い音だ。
バターは低温保存していた手製のものを薄く塗る。焼きすぎず、しかし香ばしさを引き出す。
紅茶は昨日のうちに仕込んだキームン。濃く抽出して、今朝はジャスミンをほんの一摘み。香りの立体感を増すためだ。
知っていたかい? 酸化の分子構造は、この段階で既に味に影響を与えるんだよ。
「ふふ、聞いてるのは私だけなのにね」
朝食は、パンとベリージャム。サイドに刻んだハーブ入りのスクランブルエッグと、ハーブサラダ。
紅茶を注ぎ、深く一呼吸。
「いただきます」
口に含んだ瞬間、熱と塩気とバターの香りが一斉に花開く。
人間の味覚神経の活性経路は面白いよね。最も単純な快楽経路でありながら、最も深い記憶にも接続している。
だが、これはただの栄養摂取ではない。
私が“今朝も人間として目を覚ました”という確認行為だ。
食後、コートを羽織り、扉を開ければ...。
「あっ、先生!!おはようございます!」
子供の声が飛んできた。振り向けば、小さな男の子が手を振っている。近くに住む、ジョセフくんだ。
「おはよう、ジョセフ。もう元気に走り回っても平気かい?」
「うん、胸が痛いのも治ったよ!」
彼は、二週間前に胸膜炎を起こしていた。正式な病院にかかれば二日入院コースのところを、私は五日間かけてハーブ療法と呼吸指導で治した。
本当は抗生物質でもっと早く治せる。でもこの村にはそれがないからね。
「それはよかった。でも油断しないで、朝の空気はまだ冷たいから、上着を着るんだよ」
「うん!!じゃあね!」
笑顔で駆けていく背中を見送りながら、私はそっと、静かに口元をゆるめる。
通りを歩けば、あちこちから声がかかる。
「先生、昨日の湿布、効いたよ」
「また腰が痛くなってきたらお願いね」
「こないだの魚、分けてくれてありがとうねぇ」
「いえ、こちらこそ。皆さんが無事でいてくださるなら、それが何よりです」
言葉を交わしながら、私は考えていた。
この人たちは私がかつて何をしてきたのかを知らない。
どれだけの命を弄び、奪い、そして踏みにじってきたかも。
それでも、今、こうして手を振ってくれる。笑ってくれる。
私が“人間のふり”をしている限りは。
「...。さて、午前の診療に行こうか」
白衣のポケットには聴診器。カバンの中には自分で調合した薬草。
そして心の奥には、誰にも見せない“記憶の箱”がひとつ。
今日も朝が来た。
私の居場所はまだ''アレ ''に嗅ぎつけられていない。
それだけで私は生きていられる。
思いつき短編集。例のあの人のコピーの1人です(あんだけバンバン複製してたら、1人ぐらい逃げ出すヤツが居そうだな()と思い書いてみました)
人格ベースは3代目
『レッドオーシャン王立合衆国海軍を中心としたベルリン=パリ協定国艦隊は大量の戦力をコンゴへ投入しているものと見られ、これに対して北米連合は有志連合各国に戦力集結の要請を__』
「複数の空母、戦艦、おまけに新型の潜水艦ですか。輸送艦襲撃は沈静化しているものの、いつ再開するかもわからないと」
天井につけられた小さなモニターが、ネット配信のニュースを垂れ流す。この薄暗いブリーフィングルームはISAF海軍所属空母の一角に設けられた部屋であり、現在は海兵隊特殊部隊のメンバー4人が占領していた。金属製のテーブルの上に散らばった多くのファイルと紙。その頂点に敷かれた一枚の写真に、隊員たちは視線を注ぐ。
「これが、ベル=パリの揚陸部隊ですか。これまた大層なことですね」
金髪の男「レヴナー」が呟く。隊長含めた他のメンバーも静かに唸っている。写真には大量の艦艇が青い背景に写っており、右下には『Landsat 025 6/4』
と黒のデジタル的な字体で記されていた。
「すでに有志連合軍は沿岸部から撤退している。陸軍は地雷の敷設を終えたそうだし、あらゆる場所にこちら側の民兵が待ち伏せしている。IEDを使った、俺たちがやられた通りの戦闘の形というわけだ」
「いくらなんでも多過ぎやしませんかね。とんでもない物量で上陸していますよ」
そう言って2枚の書類を卓上に展開させたのは、先日までNGOのスタッフとしてミュアンダにいたシアーズ。こちらの紙には多数の戦車や上陸作戦中の艦船が映っていた。
「作戦について説明する。簡単な話だ」
隊長の一言で場が引き締まる。モニターが映す映像は原油価格のニュースへと変わっていた。
「この我々が呼ぶところの『チャーリー回廊』は狭いところで幅40kmほどしかない極めて狭い地形だ。その癖、コンゴ内陸部と沿岸を繋ぐ重要な要所になる。」
新たな紙が卓上に展開される。今度はテーブルを覆うほどに大きな地図だった。全員の視線がミュアンダ-キンシャサ間のハイウェイへ注がれる。
「キンシャサ近郊で防衛作戦が行われるが、真正面で勝てるとは思わない。そこで参謀本部が決めたのは補給路の断絶と戦力の切り離しだ」
ひょっとして:ウィスキー回廊
いや考えすぎか…
うお流石…よくわかりましたねぇ…
ウィスキー回廊の戦車戦はフェイバリットミッションです!
え、マジでウイスキー回廊だったのか()
「はアアアアアアア、、、、、、」
”珍しく”彼女はため息をつく。それも当然だろう、せっかくの休暇が急な召集で潰れてしまったのだ。無理もない。
グラグラと揺れる視線を命令書に向け、心を落ち着かせる様にして目を通す。
「合衆国国内に侵入が確認された人外2名の捕獲」
命令は非常に明快。彼女の能力的にも、全くもって造作のない事だったが、今日は違った。
「もうさあ、、、、殺しちゃおうかしら、、、、、、」
心に湧き出た言葉がコップからこぼれた水のように口からこぼれていく。今回の任務は珍しく一人で遂行する。周りに同業者はいない。もう、いっそのこと、、、そう思い始めた時だった。
聞きなれない発音の会話、、、、、
ペストマスクをかぶった変人と、もう一人、竜人だ。
「とっとと終わらせて、、マカロン食べますか、、」
意思を固めるように息を大きく吸い込む
上司への言い訳と、報告書への言い訳二つを考えながら、”武器庫”からアサルトライフルを取り出し、静かに射撃姿勢を取る。
カチリ
のどかな風景とは不釣り合いな、人工の風切り音が空気を引き裂いた。
吹き飛ぶ対象の腕、ペストマスクの方を射撃されたのを察知したもう一人が、ペストマスクを連れて逃げるそぶりを見せる。
龍人の方に銃口を向け、、、しかし目を見開いた。
血が出ていない、ペストマスクの素振りからも焦りも動揺も感じられない、今まで銃弾がそもそも貫通しない、出血しても問題ない、、というのは見たことがあるが、出血しないのは初めて見る。
ならば、、、、
武器庫から新たな武器を出す。腕を吹き飛ばされても問題ないのであれば、身体そのものを轢断して、内部から焼き払ってしまえばいい。ロングソードを顕現させながら、ゆっくりと二人に近づく。
ペストマスクの肩に、吹き飛ばした腕だったものが戻り、数本の触手として再生する。
もはや驚きもせず、一気に距離を詰め、ペストマスクの脳幹目掛けてソードを振り落とした。
次はリバさんか…?
午前4時。まだ夜の冷気が地上に残る時刻。
ミュアンダ市の下水処理区画から約1キロメートル離れた旧市街地下の接続トンネル。その入口に迷彩服に身を包んだ数人の工兵部隊が姿を現した。
「よしここから先だ、作業内容は簡単。対象区画の水を抜くだけでいい」
指揮官の低い声が、静かに響いた。
誰も返事はしない、ただ互いに頷くだけだ。軍属とはいえこの任務の詳細は共有されていない。指令は曖昧で、上層部も場所と内容以外は沈黙を保っていた。だがそれでも、戦地では「余計なことを知るな」は鉄則である。
「ポンプ設置。最終確認を行う」
熟練の工兵が、トンネルの端に設置されたバルブに工具を当てる。
周囲は薄暗い。足元の水は膝下ほどの深さ。重い湿気が鼻にまとわりつく。
「ここ、民間の排水管と繋がってるはずだろ?」
新入りの若い工兵が、ささやくように呟く。
「なんで軍がやるんだ。都市開発でもなさそうだし...」
「黙っとけ。仕事だけしてろ」
先輩が短く返す。
「作業開始。ポンプ稼働」
ごう、と機械音が鳴り響く。ホースの先端から下水が吸い出され、上部に設けられた排水バルブへと送り出されていく。
「水位2%低下、問題なし。この調子で数時間はかかるな...」
下水の水全部抜く作戦始動!!
それどこのイスラエル軍ですか()
役立たずになった配水管がロケット弾に改造されて撃ち込まれるんだろうな…私が単なる兵糧攻めで終わらせるとでも...?()
ミュアンダ市のこの日、空には一片の雲もなかった。
風は微弱で陽は鈍く港には平時の音が響いていた。路地裏では子供がサッカーして遊び、パン屋はいつも通り生地を練り、犬が陽だまりで丸くなっていた。
だが誰も知らなかった。この都市の下水道に既に水はなかったことを。
最初の兆候が始まる。市場の通気孔から白い気体が昇った。特に騒がれることはなかった。煙草の煙か、排熱かその程度の認識だった。
それから約20分。
誰もが咳き込んだ。
街中の通りで、建物で、学校で。
子供が目を擦り、老人が鼻を押さえ、母親が顔をしかめた。
それはやがて恐怖へと変わる。呼吸が苦しい。目が焼ける。皮膚が痛い。誰も正体を知らない。知らされない。「事故?」「毒?」「病気?」とささやき合いながら、市民は戸を閉ざし、窓を塞ぎ、建物の奥へ奥へと逃げた。
だが、逃げ場はない。
午後、ついに限界を迎える者が出始めた。
子供の呼吸が浅くなり、老人が意識を失い、扉の向こうで叫び声がこだました。
「外へ出よう!!」
「ここはもうダメだ!!」
人々はドアを開け、路地に飛び出し、まだ焼け残った空気を吸いに走った。誰もが思った、外に出れば、助かると。
太陽が出ている、風がある、人の声が聞こえる。それだけで希望だった。
彼らは知らなかった。その行為が、死への合図であることを。
上空に、黒い影が現れる。ローター音を震わせながら現れた3機の武装ヘリ。機体側面には鉤十字に似た紋章。下部のハッチが開き白い球状の弾が落とされた。
白リン弾。
空中で炸裂し灼熱の雨になり人々の上に降り注ぐ。
皮膚に貼りつき、骨を焼くまで燃え尽きず、服に、髪に、目に入り、人々を火で包む。
子供が走る。母が覆いかぶさる。
男が水をかけるが、白リンは水で消えない。
逃げ出してきた人々は焼かれた。そして生き残った者たちに向けて次の武器が向けられた。
ヘリガン掃射。
ヘリの腹部が傾き、三連装のガトリングが回転する。
通りを、人を、壁を、瓦礫を貫く。
言葉も、叫びも、祈りも届かない。
抵抗などなかった。武器もなかった。
ただ外に出ただけの市民が、射線上にいたという理由だけで殺されていく。
誰が命じたか。なぜなのか。誰に向けてか。
その問いを口にした者は一人残らず死んだ。
司令部からの報告はこうだ。
「ミュアンダ旧市街、制圧完了。民兵拠点の制圧確認。抵抗の痕跡なし」
軍用催涙ガス、催吐ガス、気化剤、CO2ガスを混合したものを水を抜いた下水道を通して市街全域に流し込み、建物から出てきたところを白リン弾とヘリガンで攻撃した感じです()
あの上陸部隊を前にして市街に残ってる奴は勇気あるゲリラに違いありません民間人へ対する退避勧告が出てから一週間。
上下水道の水位が妙に低いと報告があったのは数日前。最初は「兵糧攻め」だと誰もが思った。都市の上下水を封鎖して市民と一緒に民兵ごと弱らせる。そういうやり方は常套手段ともいえる。
俺はその時も特に疑わなかった。もう10年近く民兵をやってきた。20代の連中は「水道が止まった」と騒いでいたが俺は一人、ガスコンロの湯でタバコをふかしながら「来るなら来い」と思っていた。
午前中、隊員の何人かが咳き込み始めた。
「風邪か?...、いや変な臭いがする」と騒ぎ出した若いのがいた。
俺は最初、それも気にしなかった。だが、段々と咳が止まらないやつが増えていった。
地下の空気が重い。湿気ではない。
明らかに何かが、下水の奥から登ってきている。
「おい、出ろ。これは...、やられてるぞ!!」
そう叫んだのは俺だった。
何人かがマスクを引っ張り出し、布を濡らして顔を覆う。
外に出ようとするが、問題は、どこが安全か誰にもわからなかったことだ。
建物の中はガスで満ちていく。だが外はどうなってる?
俺たちは分散して動いた。俺の部隊は5人。小さな商店の裏口から裏路地へ出た。
だがすぐに異常に気づいた。
白い霧が地面を這っていた。
「これは催涙ガスか?」
咳き込みながら仲間のひとりが倒れた。顔が赤く腫れ、呼吸が浅い。喉を押さえて倒れている。
このままじゃやられる。外へ、もっと風の通る場所へ逃げるしかない。
俺たちは通りに出た。
そこで見たのは空に浮かぶ黒い影。
ローター音。あのマーク...。親衛隊!!
「協定国軍だ!!」
ヘリから投下された球状の物体。
それが白リンだと気づいたのは、数秒後。
上空から放たれた小さな球が、空中で炸裂し、白い火の粉となって降ってきた。
「走れぇええッ!!」
俺は叫んだ、背中が焼けた。横で誰かが倒れる音がした。女の子が泣いていた。母親が覆いかぶさっていた。白リンは、それすらも焼いた。
俺は誰も助けられなかった。
それでも、生きていた。気づけば瓦礫の影に身を隠し、焼け落ちた車の下で呼吸を整えていた。
そして、聞こえた。
ガガガガガガッ
音じゃない。衝撃だ。腹に響く、三連装のガトリング。地面が跳ね、壁が崩れ、人が吹き飛ぶ。
ヘリガンだ。
空から見下ろして、人を撃つ。
民兵だろうが、市民だろうが関係ない。銃を持っていなくても、ただ立っているだけで敵とみなされる。
俺の仲間はどこにいる?答える声はなかった。
夕方、街は死んでいた。俺は立ち上がれなかった。焼けた背中。折れた肋骨。焦げた防弾チョッキ。
それでも俺は、生きていた。
おぉ我々にできないことを平然とやってのけるアルゴン軍ェ…
シビレて憧れてくれても良いのですよ()
(憧れたら民主主義国家人生終わるナリ…)
🇺🇸「おっ、そうだな」
白リン弾…子供…母親…うっ頭が()
ドバイへようこそ
最後に全てが幻覚だったことに気づきそう()
白リン弾を相手のゲリラにシュゥゥゥーッ!!
超!エキサイティン!!()
老人と若者が建物を出て車へ向かうと、すぐさま若者が荷物をしまい、キーで扉を開ける。リアドアが勢い良く閉じられ、老人は鎮座する。運転手が慌てた様子でエンジンをかけ続けている。痺れを切らし1人の老人、ネイサン・E・J・バルフォアは席を軽く叩いた。
「早くしろ、エンジンをつけるくらいで何を手こずっている。奴らが何処にいるか分からん」
『只今やっております。ご主人様』
異常に腹が立ったがこれ以上言っても仕方がないと腕を組み再び座り直す。くそ、あの女、これまで何度も保守党を裏から支援してきてやったのに貰うだけ貰って簡単に裏切りやがった。足が上下に揺れ、振動が車中に伝わる。
国家民主主義法などというふざけた法案のせいで私の政治キャリアは無茶苦茶だ。今や彼はただの力の無い老人となっていた。かつての理想系であるボヴェドノスツェフとは似ても似つかない、弱く脆くクソを搾り出すだけの男。せめてそれならかつてを安全に振り返れる場所が欲しい。彼にとってその場所はもうこの国ではなかった。
ようやくエンジンがかかり、彼は安心した。できれば人目につかないようなところから亡命をしたい。足がつくのは嫌だ。亡命するなら帝国なんかに匿ってもらうのがいい、出来るだけ遠く、安全な。
「カーディフへ向かえ、高速代は考えるな。一番早いルートで」
轟音が骨を打ち鳴らした。
運転手が鈍いアクセルを踏んだ瞬間、業火が放たれ、炎に触れた箇所から順に皮膚が爛れ、骨が露出するのを感じる。バルフォアは自身の命の終わりを前にして、ただ憎しみを抱くことしかできなかった。
過去は葬り去られる。
(ネイサン・E・J・バルフォアが暗殺された!
君主党が保守党 - 国家非常事態宣言に変更される。)
・ネイサン・E・J・バルフォア
君主党党首、貴族保守主義者。国家民主主義法によりMI5によって暗殺。
「ーだからこそ、我々は自身の祖先が維持してきた愛すべき土地を守るための努力をしなければならないのだ!」
演壇に立つウォリックの様子は変わらず、まるで自身が最後のアングロ・サクソン人かのように群衆に向け声高に訴えかける。国民党が体たらくにより解体されしまった今、彼には夢があり、それの実現のためには支持者が必要だ。
英国独立党。それはまさに夢のように理想的な構想だった。アジア人、黒人などの人種から英国を独立した唯一の国家とする。彼が言葉を放つたびに群衆は彼により、徐々に勢い付いた。素晴らしい。これが国家のあるべき姿だ。
若い純粋なアングロ・サクソン人がそれぞれ自身も白い肌を擦り合わせながら、その高潔な魂を高揚させる。腕を振り上げ、なおも彼は声を上げて改正公民権法の欠陥を指摘する。邪悪が牙を剥いた。
パン
腹部と胸部に内臓に直接パンチを加えられたような痛みが走ると、彼は悲鳴を上げる間もなく演壇から崩れる。血液と脊髄液の混合物が滴るのを防ぐためなんとか手で押さえつけていたが、下半身になんの感触もない。若者が男たちに捕らえられ格闘する様子が見えるも、彼にはもうどうでも良かった。彼が見たのは、妻が彼に寄り添って必死な声を浴びせる姿のみだった。
暴君は常にかくの如し。